ウイルスベクター関連品質試験の受託試験
遺伝子治療用製品等(ウイルスベクター関連)を研究開発・製造・販売する製薬企業で、次のようなことをお考えではないでしょうか。
- in vivo 遺伝子治療用製品に関連する品質試験を実施したい
- in vivo ウイルス治療用製品(腫瘍溶解性ウイルス)に関連する品質試験を実施したい
ユーロフィン分析科学研究所では、GMP省令準拠で管理された分析機器を使って、遺伝子治療用製品等(ウイルスベクター関連)の品質試験が実施可能です。
遺伝子治療とは、疾病の治療を目的として遺伝子、又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することを言います。[参考:厚生労働省「遺伝子治療臨床研究に関する指針」]
遺伝子治療用製品等とは、再生医療等製品のうち遺伝子治療用製品、及び遺伝子導入細胞からなるヒト細胞加工製品を言います。[参考:厚生労働省「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保に関する指針」]
遺伝子治療用製品等の技術は、in vivo 遺伝子治療と、ex vivo 遺伝子治療に大別されます。
[参考:厚生労働省「遺伝子治療(in vivo)に対する法的枠組みについて 特別研究班の中間報告の概要」を参考に作成]
in vivo 遺伝子治療とは、目的遺伝子を搭載した遺伝子治療薬を投与する方法です。
目的遺伝子の搭載には、ウイルスベクター、非ウイルスベクター(プラスミド単独、又はプラスミドとリポソーム等のキャリアーとの複合体)が利用されています。
この他、ベクターを利用せず、遺伝子組換えウイルスを直接投与する方法(in vivo ウイルス治療)もあります。
一方、ex vivo 遺伝子治療とは、遺伝子導入細胞を投与する方法です。
遺伝子導入細胞は、標的細胞を取り出し、培養、増幅し、ベクターによる目的遺伝子を導入することで製造されます。
昨今、これら遺伝子治療製品等の研究開発は、年々活発になって来ています。
国内外の臨床品目数、及び承認品目数は、以下の通りでした。
※括弧内は、国内を示します。
[出典]日本医療研究開発機構「2019年度 再生医療・遺伝子治療の市場調査、2019 年度再生医療・遺伝子治療の市場調査業務 最終報告書」
in vivo 遺伝子治療の対象疾患は、がん、内分泌・代謝、中枢神経、眼の順に多いです。
使用ベクター種は、アデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus:AAV)が大半を占めています。その他は、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、センダイウイルス、細菌、プラスミドなどです。
in vivo ウイルス治療の対象疾患は、がんです。
in vivoウイルス治療は、具体的には腫瘍溶解性ウイルスを指しています。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍組織内で選択的に増殖、拡散し、腫瘍組織を破壊することを目的としています。
使用ウイルス種は、低毒性等の特徴を有するアデノウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルスなどで、それらを用いた臨床試験が多いです。
ex vivo 遺伝子治療の対象疾患は、がんが大半を占めています。
また、国内外の市場規模に目を向けると、in vivo 遺伝子治療、in vivo ウイルス治療、ex vivo遺伝子治療において、年々拡大が予測されています。
※単位:億円
※括弧内は、国内を示します。
[出典]
1)首相官邸 健康・医療推進本部「令和元年度補正予算調査事業 医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連の産業化に向けた課題及び課題解決に必要な取組みに関する調査報告書」、「医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連の 産業化に向けた課題及び課題解決に 必要な取組みに関する調査」
2)日本医療研究開発機構「2019 年度再生医療・遺伝子治療の市場調査業務 最終報告書」
in vivo 遺伝子治療では、2020年の予測値と比較して、2025年には約6.0倍、2030年には約15.5倍に成長する見込みです。
同様に、in vivo ウイルス治療では、2025年には約4.7倍、2030年では約6.7倍に成長する見込みです。
また、ex vivo 遺伝子治療でも、2025年には約8.2倍、2030年では約14.3倍に成長する見込みです。
これらのことを踏まえると、今後さらに遺伝子治療用製品等(ウイルスベクター関連)の研究開発は活発になってくると思われます。
国内におけるウイルスベクター関連のガイドライン
国内においては、ウイルスベクター関連のガイドラインとして、「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保に関する指針」(薬生機審発0709第2号 令和元年7月9日)があり、製造販売承認申請にあたって参考とするように指示されています。
本指針では、遺伝子治療用製品等(再生医療等製品のうち遺伝子治療用製品、及び遺伝子導入細胞からなるヒト細胞加工製品)の品質及び安全性の確保のために必要となる基本的な技術的事項について定められています。
本指針は、以下6章で構成されています。
- 第1章:総則
- 第2章:遺伝子治療用製品等の概要及び開発の経緯等
- 第3章:品質
- 第4章:非臨床試験
- 第5章:治験における留意事項
- 第6章:遺伝子治療用製品等の第三者への伝播のリスク等の評価について
第1章では、本指針の目的、適用対象、用語の定義がまとめられています。
第2章では、遺伝子治療用製品等について、明らかにすべき点がまとめられています。
第3章では、遺伝子治療用製品等の構造、特性、製造方法及び品質管理の方法、安定性等についてまとめられています。
本指針に関連するガイドラインとして、以下が挙げられています。
- ICH-Q5 生物薬品の品質
- 生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の規格 及び試験方法の設定(平成13年5月1日付け医薬審発第571号厚生労働省医薬局 審査管理課長通知)
第4章では、遺伝子治療用製品等をヒトに投与した際にヒトで予測される薬理学的及び毒性学的な影響に関する試験がまとめられています。
第5章では、治験実施の正当性、治験実施計画、被験者の追跡調査計画等の留意点がまとめられています。
第6章では、「ICH見解:ウイルスとベクターの排出に関する基本的な考え方」を参考に、患者に投与したベクターが、投与を受けた患者以外の第三者へ伝播するリスクを含む、ヒトに与える影響を評価するよう記載されています。
各種ガイドラインの最新版は、厚生労働省又は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)のHPにてご確認ください。
ウイルスベクター関連品質試験の提供サービス
当社では、ウイルスベクター関連のガイドラインである、「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保に関する指針」の「第3章 品質 4.特性解析並びに規格及び試験方法」に基づいた品質試験サービスを提供しています。
対象試料は、in vivo 遺伝子治療用製品やin vivo ウイルス治療用製品等です。
カテゴリー別の試験項目は、以下の通りです。
ウイルスベクター関連品質試験をE-ASLに依頼するメリット
- ウイルスベクター関連品質試験を包括的にサポート
- バイオセーフティ室(BSL-2 /P2対応)完備し、幅広いウイルスベクター種に対応可能
- GMP省令準拠で管理された分析機器を保有
ユーロフィン分析科学研究所(E-ASL)では、ウイルスベクター関連の品質試験項目について、当社の海外ラボも活用しながら包括的にサポートできます。
当社は、低分子医薬品やバイオ医薬品の試験法開発・品質試験に長年従事しており、これらで培ってきた経験やノウハウを、ウイルスベクター関連にも活用しています。
当社では、BSL-2/P2に対応したバイオセーフティ室を完備しています。
これにより、BSL-1で取り扱い可能なアデノ随伴ウイルス(AAV)だけではなく、BSL-2で取り扱い可能なアデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、センダイウイルス等、幅広いウイルスベクター種に対応可能です。
また当社は、GMP省令に準拠した組織を構築しています。その運営下で、プロトコルの作成、試験、サンプルの保管、施設・機器・システムの管理を実施しています。
例えば、Bio-Rad社のDroplet Digital PCRシステム(ddPCR)や、サーモフィッシャー社のリアルタイムPCRシステム(qPCR:定量PCR)を保有しています。
ddPCRは、ターゲット DNA やRNA を高精度、高感度で定量できます。ウイルスベクター関連品質試験では、確認試験であるウイルスゲノムの測定に利用します。
qPCRも、DNAの定量ができます。ウイルベクター関連品質試験では、ウイルスゲノムの測定の他、純度試験のプラスミドDNA、宿主由来DNA等、幅広く利用します。
ウイルスベクター関連品質試験をお考えであれば、ぜひ当社をご活用ください。ご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。