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第十八改正日本薬局方(JP18)第一追補のポイントを解説

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令和367日から、第十八改正日本薬局方(JP18)が施行されています。

日本薬局方の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第355号)が、令和41212日に公布され、同日からJP18第一追補が施行されることになりました。

JP18第一追補の施行に伴い、令和6年6月30日までに承認事項一部変更承認申請等の必要な措置を行うとともに、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35 年法律第145号)に抵触することがないよう、遅滞なく改正後の基準に改める必要があります。

本技術コラムでは、製薬メーカー等でJPに従った試験に従事する方のため、第一追補のポイントについて、一般試験法、医薬品各条及び参考情報の概要を解説します。

 

第一追補の一般試験法の新規収載・改正のポイント

一般試験法の新規収載は、以下3点です。

  • 2.00 クロマトグラフィー総論
  • 2.27 近赤外吸収スペクトル測定法
  • 2.28 円偏光二色性測定法

 

クロマトグラフィー総論は、日米欧三薬局方検討会議(PDG : Pharmacopoeial Discussion Group)で、調和合意された内容が新設されました。

本章では、以下6セクションの内容で記載されています。

  1. はじめに
  2. 定義
  3. システム適合性
  4. クロマトグラフィー条件の調整
  5. 定量
  6. その他の留意事項

 

近赤外吸収スペクトル測定法は、JP18参考情報<G1-3-161>より、移行して新設されました。

近赤外吸収スペクトル測定法は、試料による近赤外領域(133334000 cm-1)における光の吸収スペクトルを測定し、その解析を行うことにより、物質の定性的又は定量的評価を行うための分光学的方法です。非破壊的分析法としても広く活用されています。

本章では、以下5セクションの内容で記載されています。

  1. 装置
  2. 測定法
  3. スペクトルに影響を与える要因
  4. 装置性能の管理
  5. 定性又は定量分析への応用

 

円偏光二色性測定法は、JP18参考情報「バイオテクノロジー応用医薬品(バイオ医薬品)の品質確保の基本的考え方」<G3-1-180>において、特性解析の目的物質の二次構造や高次構造に関する情報が得られる分析手法として軽く触れられているたけでした。

今回、一般試験法として一つの章として新設されました。

円偏光二色性測定法は、光学活性な化合物の光の吸収波長領域において,左右円偏光の吸収度合いが異なる現象(円偏光二色性)を利用して,光学活性物質の構造解析,構造確認,鏡像異性体やジアステレオマーとの識別などに用いられる方法です。

本章では、以下3セクションの内容で記載されています。

  1. 装置
  2. 測定法
  3. 装置性能の確認

 

一般試験法の改正は、以下8点です。

項目

改正概要

2.01 液体クロマトグラフィー

2.00 クロマトグラフィー総論の新規収載に伴う改正

2.02 ガスクロマトグラフィー

2.00 クロマトグラフィー総論の新規収載に伴う改正

2.22 蛍光光度法

「蛍光分光光度計」から「分光蛍光光度計」に変更

2.58 粉末X線回折測定法

日米欧三薬局方検討会議(PDG)で、調和合意された内容を反映

3.04 粒度測定法

日米欧三薬局方検討会議(PDG)で、調和合意された内容を反映

2.1.操作」以降を改正

(下記は一部改正箇所を抜粋しています。)

  • 「・・・直径200 mmのふるいを用いる.」→「・・・直径200 mm又は203 mm (8インチ)のふるいを用いる.」
  • 「直径76mmのふるいを用いる場合は,試料量は200 mmふるいの場合の約1/7とする.」→「直径75mm又は76 mm (3インチ)のふるいを用いる場合は,試料量は200 mm又は203 mmふるいの場合の約1/7とする.」
  • 「200 mmふるいでは試料の質量は5 g未満でなければならないこともある.」→「200 mm又は203 mmふるいでは試料の質量は5 g未満でなければならないこともある.」
  • 「ふるい分けは,いずれのふるいについても,ふるい上質量変 化が直前の質量に対して5%(76 mmふるいの場合には10%)又 は0.1 g以下となったとき,終了する.」→「・・・5%(75 mm又は76 mmふるいの場合には10%)又 は0.1 g以下となったとき,終了する.」

9.01 標準品

項の追加及び削除

9.41 試薬・試液

項の追加、削除及び改正

9.42 クロマトグラフィー用担体/充填剤

項の追加

 

 

第一追補の医薬品各条のポイント

新規追加が11品目、改正が82品目、削除が2品目ありました。

重要なポイントは、医薬品各条の横断的改正として、重金属試験及び個別金属不純物試験の削除がなされたことです。

これは、一般試験法の2.66 元素不純物が適用される医療用医薬品製剤及びその構成成分(原薬、添加剤等)では医薬品各条の重金属及び個別金属不純物試験の規定に基づく管理が不要となったためです。

 

当社でもJP18ICH-Q3D)に準じた元素不純物試験が実施可能です。

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

 

第一追補の参考情報の新規収載・改正のポイント

参考情報の新規収載は、以下5点です。

  • 液の色に関する機器測定法<G1-4-181>
  • クロマトグラフィーのライフサイクル各ステージにおける管理戦略と変更管理の考え方(クロマトグラフィーのライフサイクルにおける変更管理)<G1-5-181>
  • せん断セル法による粉体の流動性測定法<G2-5-181>
  • 微生物試験における微生物の取扱いのバイオリスク管理<G4-11-181>
  • 製剤に関連する添加剤の機能性関連特性について<G9-1-181>

 

液の色に関する機器測定法は、日米欧三薬局方検討会議(PDG)で、調和合意された内容が新設されました。

色の測定において、機器分析法は目視による色の主観的な観察よりも客観的なデータを得ることができます。適切な保守管理及び校正を行うことで機器分析法により正確で、精度よく、更に経時的に変化しない一定の色の測定値を得ることができます。

本章では、以下4セクションの内容で記載されています。

  1. 原理
  2. 分光光度法
  3. 色調の測定
  4. L*a*b*色空間内の位置の評価

 

クロマトグラフィーのライフサイクル各ステージにおける管理戦略と変更管理の考え方は、一般試験法の2.00 クロマトグラフィー総論の補足として新設されました。

本章では、以下6セクションの内容で記載されています。

  1. 試験の目的に適う試験結果を与える分析法
  2. クロマトグラフィー案の策定と開発
  3. 適格性評価の準備段階
  4. 分析性能の適格性評価
  5. 分析法の継続的な検証
  6. 参考資料

 

せん断セル法による粉体の流動性測定法は、粉体の流動性評価に有用な試験法の一つとして新設されました。

粉体の流動性は,質量や含量均一性などの製剤特性に関連することから、医薬品の品質に大きな影響を与えます。そのため、製剤処方及び製造工程、並びに製造装置を適切に設計するために重要な評価項目とされています。

本章では、以下5セクションの内容で記載されています。

  1. 原理
  2. 装置
  3. 測定
  4. データ解析
  5. 結果の報告

 

微生物試験における微生物の取扱いのバイオリスク管理は、一般試験法の微生物学的試験、生薬試験法、参考情報のG3.生物薬品関連、G4.微生物関連等の実施に際して考慮すべき微生物の安全な取扱いにおける基本要件を示すために新設されました。

本章では、以下5セクションの内容で記載されています。

  1. 用語の定義
  2. 微生物取扱いにおけるリスクアセスメント
  3. 微生物取扱いにおけるリスク低減対策
  4. バイオリスクマネジメントレビューと更新
  5. 参考情報

 

製剤に関連する添加剤の機能性関連特性についてでは、製剤の製造工程・保管・使用において、有効成分及び製剤の有用性の向上に密接に関連する添加剤の物理的・化学的特性である「添加剤の機能性関連特性(Functionality Related CharacteristicsFRC)」について解説するため、新設されました。

 

参考情報の改正は、以下5点です。

項目

改正概要

化学合成される医薬品原薬及びその製剤の不純物に関する考え方<G0-3-181>

JP18収載の通則34及び2.66 元素不純物の関連事項に伴う改正

システム適合性<G1-2-181>

「分析システム変更時の考え方(分析システム変更時の管理)」の削除

日本薬局方収載生薬の学名表記について<G5-1-181>

医薬品各条の改正内容を反映

錠剤の摩損度試験法<G6-5-181>

日米欧三薬局方検討会議(PDG)で、調和合意された内容を反映

製薬用水の品質管理<GZ-2-181>

導電率を指標とする品質管理の記載内容の見直し

4.5.理化学的モニタリング」以降を改正

 

本技術コラムは、20221231日時点の情報に基づいています。

これらJP18に準ずる試験は当社でも受託可能です(一部試験を除く)。

ご質問やご相談はお気軽にお問い合わせください。

 

 

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