細胞・遺伝子治療用製品等の製造をサポートするセルバンク試験のqPCRにおけるマイコバクテリウム属の検出
ユーロフィンバイオファーマサービスの「ニュースレター(2022年10月号)」が発行されました。
ユーロフィングループは、食品・製品・環境・アグロ・ジェノミクス・クリニカルダイアグノスティック・医薬品・材料等、幅広い分野に関わる分析及び検査サービスをグローバルに展開しています。
世界54カ国に900以上のグループラボがあり、グループ法人数は1,000社を超え、200,000通りに及ぶ分析項目・手法を採用、年間4億5,000万件を超える試験を実施しています(2022年3月現在)。
医薬品分析は、ユーロフィンバイオファーマサービスが担当しています。日本国内においては、当社「ユーロフィン分析科学研究所(E-ASL)」が受託を行っています。
バイオファーマサービスでは、お客様に最新情報をお届けするため、年3回ニュースレターを発行しています。
2022年10月号では、以下6つの技術情報を紹介しています。
一部のサービスは、当社ラボが海外ラボとの仲介となり受託しています。
- 細胞・遺伝子治療用製品等の製造をサポートするセルバンク試験のqPCRにおけるマイコバクテリウム属の検出
- Eurofinsはワクチン開発の分析サービスを強化
- 医薬品メーカーの監査プロセスを簡素化
- Eurofins BPT Italy(イタリア)はウイルスに対する有効性試験のための設備とケイパビリティを拡充
- 患者にとってより安全な製薬用水や最終製剤の提供に寄与するルージュに含まれる金属の試験
- 欧州医療機器規則 (MDR)の適応性評価はできましたか?技術文書のギャップを特定し、解消する最後のチャンス
本技術コラムでは、「1.細胞・遺伝子治療用製品等の製造をサポートするセルバンク試験のqPCRにおけるマイコバクテリウム属の検出」を紹介します。
細胞・遺伝子治療(CGT:Cell and gene therapies)は、最も急速に発展している治療分野の1つであり、まさにヘルスケアイノベーションの中核をなすものです。
細胞・遺伝子治療用製品等の製造には、多くの場合、ヒトのドナー細胞や患者自身の細胞など、哺乳類細胞(セルバンク)を使用します。
哺乳類細胞は、ウイルス、微生物、真菌、その他の病原体やマイコバクテリウムによる汚染を受ける可能性があります。
マイコバクテリウムはヒトに結核を引き起こします。世界保健機関(WHO)の調査によると、2020年には世界中で1,000万人が結核を発症したと推定されています。
マイコバクテリウムは、長年ワクチン業界で懸念されてきましたが、現在では遺伝子治療業界でも懸念されてきています。これらの微生物が存在しないことを確認する試験は、米国食品医薬品局(FDA)のワクチンガイダンス(2010年)やWHOの動物細胞培養の評価のAnnex3など、さまざまな規制文書で概説されています。FDAのガイダンスに従って、細胞がマイコバクテリウム属に感染しやすい種由来である場合、適切な試験を実施する必要があります。
Eurofins BioPharma Product Testingは、ワクチン及び細胞・遺伝子治療用製品等の製造に使用する細胞株におけるマイコバクテリウム属の存在の検査に使用するプラットフォームであるリアルタイムPCR法を最適化し、バリデーションを実施しました。
このアッセイは、M. bovis、M. tuberculosis、M. microti、M. caprae、M. pinnipedi、M. africanum、及びM. canetti(人と動物に影響を与える病原性の菌種)を含む結核菌群(MTBC:Mycobacterium tuberculosis complex)DNAを検出することができます。
バリデーションは、FDA ICH調和3極ガイドラインQ2(R1)に基づいており、標準試験は現行の適正製造基準(cGMP:current Good Manufacturing Practices)に対応して実施されています。
PCR法の検出限界(LOD:limit of detection)は、PCR反応あたり16コピーの核酸であり、広範な適合性/干渉試験は不要です。マトリックス干渉の評価は、各アッセイのコントロールを伴う標準サンプル試験に含まれます。この迅速な標準アッセイは、1週間以内という、非常に短いターンアラウンドタイムで完了します。
従来のマイコバクテリウムの試験法はin vitroアプローチを用いていました。CGT業界の変動の加速に伴い、試験処理量の増加と必要なTATに対応するためには、革新的なアプローチが必要です。
Eurofins BioPharma Product TestingのマイコバクテリウムコンプレックスのPCR検出法は、必要はサンプルが1~2 mLのみで、試験成績書は10日以内に発行することができます。
細胞株がウイルスベクター及びワクチン製造に使用しても安全であることを確認するためには、マイコバクテリウムに加えて、微生物学的試験(無菌性)、マイコプラズマ試験、及び外来性のウイルス試験のすべてが必要です。
Eurofins BioPharma Product Testingは、規制要件を満たし、臨床試験や商業用分子製品の安全性確保のために取り組んでいる世界中のクライアントに、GMPに準拠したバイオセーフティ試験のフルパッケージを提供することができます。
関連サービス
ニュースレター(2022年10月号)のその他の記事は、下記よりご覧ください。
- Eurofinsはワクチン開発の分析サービスを強化
- 医薬品メーカーの監査プロセスを簡素化
- Eurofins BPT Italy(イタリア)はウイルスに対する有効性試験のための設備とケイパビリティを拡充
- 患者にとってより安全な製薬用水や最終製剤の提供に寄与するルージュに含まれる金属の試験
- 欧州医療機器規則 (MDR)の適応性評価はできましたか?技術文書のギャップを特定し、解消する最後のチャンス