接合部解析 - はんだ・実装材料
SEM、FIB-SEM、SIM、TEM等、さまざまな分析手法によるアプローチにより、はんだ等実装材料との接合部の剥離解析を受託します。クラック、ボイド、合金相・結晶粒やその内部、初期のカーケンダルボイドなどを高度な分析技術によって解析します。
はんだ接合に対する要求は、年々厳しくなっています
高密度実装のための微細化やRoHS指令等に対応するための鉛フリー化、Sn-Bi系新材料や新技術の採用など。
はんだ接合の問題解決には、さまざまな分析手法によるアプローチと豊富な経験・知識が求められます。
こんなお悩みはありませんか?
- クラックがどこで発生したか、はんだの内部なのか、合金相なのか、合金相と母材の界面なのか、をキチンと知りたい
- 同じように作ったハズなのに、クラックの発生率に差がある。原因を知りたい
- クラックは発生していないけれど、今後発生しそうかどうか知りたい
- 普段から断面機械研磨してSEM観察をしている。でも本当にそれだけでいいのか少し不安
- お客様や上司に「もっと良く調べろ」と言われた。何をすればいいのか分からない
- 分析データは持っているけど、それが何を意味するか分からない
はんだ接合部分析の方法
断面研磨-SEM観察
1 - 50mmくらいの広い範囲を大まかに見たい場合
- 大きめのクラックやボイド
FIB加工-SEM/SIM観察
10 - 100μmくらいの範囲を細かく見たい場合、10nm程度の大きさのものを見たい場合
- 小さいクラックやボイド
- 合金相や結晶粒
TEM分析
1 - 10μmくらいの範囲を非常に細かく見たい場合、1nm以下の大きさのものを見たい場合
- 初期のカーケンダルボイド(大きさ10nm)
- 合金相や結晶粒の内部
※ SEM: Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡
※ FIB: Focused Ion Beam、集束イオンビーム
※ SIM: Scanning Ion Microscope、走査型イオン顕微鏡
※ TEM: Transmission Electron Microscope、透過型電子顕微鏡
どれか一つに限ったものではありません。お客様のお悩み・ご要望に合わせて最適な分析方法をご提案いたします。
分析事例 | 接合部解析 - はんだ・実装材料
断面研磨-SEM観察
- 研磨ダレの発生により、小さなボイドや細いクラックが埋まってしまい見えなくなることがあります。
- 硬い材料と軟らかい材料があると、境界部に段差が発生し、クラックがあるように見えることがあります。
FIB加工-SEM/SIM観察
FIB装置を使い、断面観察したい所に穴を掘って、穴の側面をきれいに仕上げてSEM/SIM観察します。ダレや段差は発生しません。また、真空中で加工しそのまま観察するため、酸化の影響等もありません。細かい所を詳しく調べるのには適しています。合金相の形成状況やボイドの発生状況を明瞭に観察できます。
電解Niめっき上のはんだ接合部
無電解Ni-Pめっき上のはんだ接合部
研磨面FIB加工SEM/SIM観察
機械研磨してSEM観察している時、微小なクラックらしきものを発見した場合、本当にクラックなのか調査する必要があります。そんな時、当社の研磨面FIB加工SEM/SIM観察が最適です。
研磨面をFIBで鉋をかけるように平坦化し、通常のFIB加工SEM/SIM観察と同様、合金相の形成状況やクラック、ボイドの発生状況を明瞭に観察できます。
TEM分析
分析エリアは10μm以下と小さくなりますが、非常に細かい所まで観察/分析が可能です。直径10nm以下のボイドや厚さ10nm程度の合金の層も観察できます。 また、スポット径1nmでEDX分析が可能です。非常に小さい結晶粒などの組成を知ることができます。
電解Niめっき上のはんだ接合部のTEM分析例
- 概ね上からSn相/(Cu,Ni)6Sn5相/(Ni,Cu)3Sn4相/Ni という構成になっています。
- Sn相の内部には棒状のNi3Sn4金属間化合物が多数析出しており、方向が揃っています。
- (Cu,Ni)6Sn5相は、Cu6Sn5金属間化合物で、Cuの約40%がNiに置き換わったものに、微量のAuが混ざっています。また、(Cu,Ni)6Sn5相内部、(Cu,Ni)6Sn5相/(Ni,Cu)3Sn4相界面には、大きさ100 - 200nmのボイドが点在しています。
- (Ni,Cu)3Sn4相は、Ni3Sn4金属間化合物で、Niの約20%がCuに置き換わったものです。また、大きさ10 - 30nmのカーケンダルボイドが大量に発生しています。
電解Niめっき上のはんだ接合部のTEM分析結果
無電解Ni-Pめっき上のはんだ接合部のTEM分析例
- 概ね上からSn相/(Ni,Cu)3Sn4相/Ni3Sn-P相/Ni3P相/Ni-P という構成になっています。
- (Ni,Cu)3Sn4相は、Ni3Sn4金属間化合物で、Niの約20%がCuに置き換わったものです。棒状の結晶粒が縦方向に成長していて、結晶粒間に大きさ200nm程度のボイドが発生しています。また、一部にAg3Sn、AuSn4の結晶粒も有ります。
- Ni3Sn-P相は非常に薄い相で、ここに、大きさ10 - 30nmのカーケンダルボイドが発生しています。
- Ni3P相は、Pリッチ相とも呼ばれています。縦スジ状の空隙が大量に発生しており、Ni-10at%Pめっきから、Niが抜けてこのような状態になったと考えられます。
無電解Ni-Pめっき上のはんだ接合部はNi3P相が形成されることが特徴で、これまでの経験からも、Ni3P相やNi3Sn-P相のカーケンダルボイド群がクラックの発生場所になった事例が多く見られます。
無電解Ni-Pめっき上のはんだ接合部のTEM分析結果
当社にお任せください
実績と経験
はんだ接合部の解析に豊富な実績と経験があります。
わかりやすいご報告
分析結果の報告だけでなく分析データの意味するところ、何に注意すべきか等考察を含めてご報告します。
試料加工技術
FIB加工時の熱影響を防止するため冷却ステージを所有しています。低融点はんだのFIB加工観察も問題なく対応可能です。