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ベテラン臨床検査技師の『病理医ドラマ・フラジャイル』考 その④|これって何?バイオコラム 番外編

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こんにちは、臨床検査技師のまこりんです。
さて、『フラジャイル』(http://www.fujitv.co.jp/FG/index.html )第5話は、「保険適用」の話題でした。

「人生の選択肢がお金のあるなしで決まる」・・・重いですね。
確かに保険適用外の治療は、みなさんご承知のとおり費用が莫大にかかるものが多くあります。そんな中でも、各学会の尽力によって、薬事承認上は適応外であっても、保険適用の対象となるよう行政に働きかけ、成果が出ているものもあります。 (厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/topics/110202-01.html )

さて、今回の診断は【後腹膜 副腎外褐色細胞腫】、ドラマの中での解説では「腫瘍の一種 副腎外に褐色細胞腫ができる珍しい病気 悪性のものは【がん】で予後不良」とのことでした。副腎腫瘍については独立行政法人国立病院機構四国がんセンターのホームページにわかりやすい解説がありました (http://www.shikoku-cc.go.jp/hospital/medical/class/urology/cancer/adrenal_gland/#Link01 )。


予後不良、つまり「生存率が低い」ということです。この患者に対し、化学療法(CVD、I-MIBD)は行われていましたが、未治療の局所切除不能または転移性の高分化型中腸型神経内分泌腫瘍に対する抗腫瘍効果を検討した臨床試験(PROMID試験)において有効性を示したオクトレオチド治療 (国立研究開発法人国立がん研究センター希少がんセンターホームページ http://www.ncc.go.jp/jp/rcc/01_about/neuroendocrine_tumor/index.html#04 )は行われていませんでした。オクトレオチドについては、上述した未承認薬・適応外薬の要望が提出されています (厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-74.pdf )が、希少がんに対する治療法の選択肢は現実的にまだまだ少ない状況であると言わざるを得ません。より多くの選択肢から患者さんが治療を選択できるようになってほしいものです。当社もコンパニオン診断によって個々の患者さんに適した治療の提供に貢献できるよう、製薬企業の皆さまと一緒になって日々仕事に励んでおります。
 

ところで、今回は臨床検査技師の業務にもスポットが当てられました。
標本の作製と一口にいっても、これは大変な作業です。
病理組織診における標本作製から診断まではおおよそ、以下の工程で行われます。

① 手術材料(摘出臓器)の切り出し:病変部のマクロ所見から組織を切り出す
  ↓
② パラフィン包埋:組織へパラフィン(ろう)を浸透させパラフィンブロックにする
  ↓
③ 薄切(未染色標本作製):パラフィンブロックを3μm厚(調理用ラップの約1/4の薄さ)にスライスし切片をスライドガラスへ貼付する
  ↓
④ 染色(HE染色):未染色標本を色付けする
  ↓ 
⑤ 病理診断:病理医による顕微鏡下でのHE染色標本観察を行い診断する
  ↓
⑥ 病理診断報告書を作成する

 

当社では毎日数百検体のホルマリン固定組織から、年間約10万枚のHE標本を作製しています。壮望会第一総合病院では毎日どれくらいの検体があるのかは分かりませんが、たった一人で対応しなければならないのは、業務を分かっているだけに想像したくありません(笑)。

 

※ 当コラムは、あくまでも個人的見解による内容となっております。予めご了承ください。

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。