ベテラン臨床検査技師の『病理医ドラマ・フラジャイル』考 その⑤|これって何?バイオコラム 番外編
こんにちは、臨床検査技師のまこりんです。
第6話は、「診療相談外来」すなわちセカンドオピニオンからの話題展開でした。
セカンドオピニオンとは何でしょうか。
例えば、セカンドピニオン外来を設置している北海道大学病院では、
― セカンドオピニオン外来は、当院以外の医療機関に診療されている患者さんに対して、患者さんの主治医から提供していただいた資料を基に当院の専門医が、診断内容や治療方針について意見や判断をお伝えし、その後の患者さんの治療の参考として頂く事を目的としています。 ―
と位置付けています (北海道大学病院ホームページ 「セカンドオピニオン外来について」 http://www.huhp.hokudai.ac.jp/hotnews/detail/00000250.html )。
病理でいうところのセカンドオピニオンの方法は、
― 一般的に行われているのは、標本を別の病理医に見せて報告書をもらうという方法です。たとえば、担当医に頼んで、手紙と標本を他の病理医に送ってもらい、診断してもらう手順は以前から行われています。このような場合、報告書は主治医に対して書かれ、主治医から結果が説明されますから、「病理医から直接話を聞く」のとは異なります。また、診療情報提供書(紹介状)と病理標本を持って、他の病院の診療科(内科や外科など)の外来を受診される場合も同じです。必要に応じて臨床の外来担当医がその病院の病理医に標本の診断を依頼し、得られた結果をその臨床担当医がお伝えすることになるのが一般的です。―
となっています (一般社団法人日本病理学会ホームページ 「病理診断に関するセカンドオピニオンを求める場合」 http://pathology.or.jp/ippan/outpatient-03.html )。
平成20年に、「病理診断科」が医業に関して広告できる診療科名(診療標榜科名)となりました。また病理診断科として開業される医師も出てきています。当社の病理診断科も患者さんの要望に応えていくため、あらゆる可能性を模索しているところです。
ただ、いくら有益なセカンドオピニオンといえども、いたずらに受けてはかえって逆効果です。日本病理学会では以下のような提唱を行っています。
― 特にがんの場合、病理診断が最終診断となり、治療方針が決定されます。(中略)病理診断だけをみると、所見によってはあっちの病院で「がん」と言われ、こっちの病院では「がんではない」と言われることも起こりえます。その結果、患者さんが「がんではないと言って欲しい」というような、ご自分の望まれる診断を求めて、病院めぐりをするような事態を招くことだけは避けなければなりません。病気は、なるべく早く治療を開始した方が良い結果となる場合がほとんどです。そのような場合には、直接病理医に会って、なぜ病院によって診断名が違ったのかという説明を含めて、お話を聞かれることをお考えください。―
(一般社団法人日本病理学会ホームページ 「病理診断に関するセカンドオピニオンを求める場合」 http://pathology.or.jp/ippan/outpatient-03.html )
さて、今回は検査の重要性も取り上げられました。ドラマでは、診断を確定するにあたって必要な検査が実施されていませんでした(通常ではなかなか考え難い状況ではありますが…)。
【臨床検査】とは、様々な説明が可能ですが、以下にわかりやすい記載がありましたのでご紹介します。また、検査の種類についても記載がありますので、ご興味のある方は下記サイトをご確認ください。
― 医師が病気を診断し治療していくためには、患者様のからだの状態を知らなければなりません。 からだの状態を知るためには、それにまつわる様々なサインを確認していくことが大切です。 この様々なサインを確認するために診察がおこなわれ、それらを確かめるために臨床検査がおこなわれます。―
(川崎医療短期大学臨床検査科ホームページ 「臨床検査とは」 http://www.kawasaki-m.ac.jp/jc/origin/mt/kensa.html )
患者さんの病気に対する治療を的確に行うための診断の確定、その診断を確定するための臨床検査、この二つをより早く確実に、かつ、患者さんの負担をできるだけ少なく実施することが重要です。
これからも当社は、病理検査専門のプロ集団であることを肝に銘じ、患者さんのために業務に専心してまいります。
※ 当コラムは、あくまでも個人的見解による内容となっております。予めご了承ください。
なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。