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HPV併用検診|これって何?バイオコラム 第2回

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こんにちは。ジェネティックラボ先端医療事業本部のもも太です。

初回のコラムには様々な反響がありました。ワタクシと同じく「それって何?」と感じることが多いというお仲間が結構いることがわかりましたので、張り切って行くことにします!

 

第2回目は子宮頸がんの検査、『HPV併用検診(えいちぴーぶいへいようけんしん)』です。

今回は内容の専門性も高いので、この道ウン十年のキャリアを持つ、臨床検査技師のまこりんに解説をお願いしました。
 


 

はじめまして。ただ今ご紹介にあずかりました、臨床試験担当のまこりんです。今日はもも太に代わりまして、“最近広まってきたHPV併用検診”についてできるだけ分かり易く説明させていただきます。

まず始めに、子宮頸がん検診の流れを説明します。①問診→②内診→③細胞診→④検診終了となります。細胞診とは読んで字のごとく、「実際に細胞をみて診断する」ことです。子宮頚部の粘膜から採取した細胞を染色し(細胞はとても小さく透明なのでそのままでは見えにくい)顕微鏡で異常がない か確認するのです(その確認する人を細胞検査士:スクリーナーと呼びます)。

子宮頸がんの原因がHPV (Human Papillomavirus)というウィルスであることがよく知られるようになってからは、子宮頸がん検診において細胞に異常が起きていないかを調べるだけではなく、HPVの感染も同時に調べること(HPV併用検診といいます)が増えつつあります。

さて、HPVの感染を調べる「HPV検査」ですが、いろいろな種類の検査試薬があり、どの検査試薬を用いるかによって得られる情報が異なります。ほとんどの検査試薬は14種類のHPVを見つけることができます(14種類のうちどの種類かはわかりません)が、なかには16型、18型というタイプを「特定する」ことができるものもあります。実はこの「特定する」こと(HPV型判定=HPVジェノタイピング)がとても重要であることは、まだあまり知られていません。何故HPV型判定が重要かというと16型と18型がHPVのなかで、特に「あぶないウィルス」だからです。

子宮頸がんの原因がHPVであるとお話ししましたが、「HPVの感染=子宮頸がんではありません」。感染してもがんになりやすいタイプ、なりにくいタイプ等様々な特徴があるのです。その中で16型、18型は、もっともがんになりやすいタイプのウィルスなのです。つまり一番危険なタイプということになります。

このように、HPVの感染やそのタイプを知ることはリスクの大きさ・見逃しを防ぐ有効な手段です。HPV併用検診が広まってきたとはいえ、一般的な子宮頸がん検診では細胞の異常しか見ないことがまだまだ多いのが現状です。子宮頸がん検診を受診する際には、ぜひ医療機関・医師にHPV検査についても相談してみてください。
 



なるほど。HPV併用検診で、万が一、HPVに感染していることがわかっても、その型があぶないタイプ以外であれば心配することはないし、また、あぶないタイプであっても必ず子宮頸がんになるというわけではないので、まずは知ることが大切ですね。

当社でも、医療機関や研究機関からの依頼を受けHPV型判定を実施しており、ホームページでより詳しい説明をしています。よかったら見てみてください。

①HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定):16型、18型、その他のハイリスク型の感染を調べる検査

 → HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)

②HPVタイピング解析:6、11、16、18、30、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66型の16種類の感染を調べる検査

 →  HPVタイピング解析

 

ところで、当社の細胞診は、LBC(Liquid Based Cytology)と呼ばれる方法を採用しているぞ!? 「これって何?」

早速聞いてみると、以前の細胞診では子宮頚部の粘膜から採取した材料を、スライドガラスに直接塗沫したものを検体としていたようです。ところが1987年、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルに細胞診の偽陰性が多いという旨の記事が掲載され大問題となり、これをきっかけに以後広まった、検体の新しい採取法を用いた細胞診であるとの事でした。

採取した細胞をLiquidつまり液体の中でぐちゃぐちゃとして、全ての細胞をふるい落とし回収するという方法で、これによって従来法では採取された材料が検査に20%くらいしか使われなかったのに対して、LBCでは100%使用されるようになり、格段に見落としが無くなるようになったということです。

また専用の検査機器で処理するため、誰が検査しても同じ標本が作製され、検体処理の標準化が実現できるといわれています。さらには、LBCは同じ標本を複数枚作製できることから、HPVを始めとする遺伝子検索ばかりでなく免疫染色などにも対応できます。このように多くのメリットを合わせ持っているLBC優れた新しい細胞診だと感激しました!

(参考:子宮頸がんにおける液状細胞診とHPV核酸検出検査(簡易ジェノタイプ判定) )



なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。