MIB-1 Index(ミブワン インデックス)|これって何?バイオコラム 第6回
こんにちは。もも太です。
先日読んだ新聞記事によると、あるタレントさんが乳がんで右乳房の全摘出手術をうけたことをきっかけに、乳がん検診の受診希望者が急増しているそうです。乳がんへの関心が高まっている今、乳がんの検査・診断における重要な指標である
『Ki-67スコアリング(MIB-1 Index)』って何?第6回目は病理組織診の専門用語解説です。
「MIB-1 Index」とは、病理組織切片の免疫染色において、「Ki-67(ケーアイロクジュウナナ)」と呼ばれる増殖マーカーのタンパク質に対して作製されたモノクローナル抗体※1のうち、「MIB-1」というクローン名の付いた抗体で染色した後、陽性細胞の頻度や程度を数値化し、インデックスとして表したもので、このインデックスが高いほど増殖能が高く、がんが活性化しているという状態を表します。
「Ki-67」は、細胞周期関連核タンパク質の一つで、細胞周期の中で増殖中の細胞の核に発現します。すなわち、ゲノムDNAの複製と分配が行われるG1期、S期、G2期、およびそれに引き続く細胞質分裂が行われるM期において発現しますが、増殖を休止しているG0期においては発現しないため、細胞増殖ならびに細胞周期のマーカーとして用いられるのです。
この「Ki-67」の発現量と腫瘍の悪性度には正の相関が見られるため、開発されたモノクローナル抗体「MIB-1」が、腫瘍組織における増殖細胞を検出するマーカーとして検査に用いられています。今日では「MIB-1(ミブワン)」という呼び方が、「Ki-67」の代名詞的に使用されることの方が多いようです。
実際に「MIB-1」抗体で免疫染色を行うと、がん細胞の核が茶褐色に染色されます。「MIB-1 Index」においては、がん細胞における標識率(陽性率)で評価します。例えば、“ホルモンレセプター陽性の乳がんではKi-67の標識率で増殖能を判定し化学療法を付加するか”など、診断に有用である例が報告されています(文献1)。
※1 モノクローナル抗体: 一つのクローン細胞群がつくる抗体で1種類の抗原に対して、ただ1か所にのみに結合する1種類の抗体。抗原特異性が高いため特定のタンパク質をターゲットにする検査・実験等に使用される。
文献1: Cheang MC, Chia SK, Voduc D et al: Ki67 index, HER2 status, and prognosis of patients with luminal B breast cancer. J Natl Cancer Inst 101: 736-750, 2009
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