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ベテラン臨床検査技師の『病理医ドラマ・フラジャイル』考 その③|これって何?バイオコラム 番外編

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こんにちは、臨床検査技師のまこりんです。
さて、『フラジャイル』(http://www.fujitv.co.jp/FG/index.html )第4話は、「鑑別診断」がテーマでしたね。

鑑別診断とは、

―病気を診断するにあたり、その症状や検査の結果から可能性がある複数の病気を比較しながら、合理的に特定する診断のことをいう。―

(カラダにe-サイト healthクリック  http://www.health.ne.jp/word/d2340.html )
 

今回、取り上げられた子宮頚部悪性腺腫(MDA)とLEGH(lobular endocervical glandular hyperplasia)の見極めは、大変困難なものとされています (日本産科婦人科学会雑誌http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6009-214.pdf)。

岸医師は、
 ・腫大部位にズレがある
 ・悪性の割には病変がやや高位
 ・細胞の顔つき

を根拠としてLEDHであるという診断を行いますが、中熊医師はこれを否定も肯定もしませんでした。

岸医師の診断を裏付ける、以下の記述も見られます。

―LEGHが子宮狭部から頚部の高位に病変中心が存在する傾向があるのに対して通常の内頚腺型腺癌は子宮膣部中心に広がる傾向がある悪性腺腫は頚部全体に広がっている例が多い。― (WikiPathologica)

 

このように、極めて診断の難しい局面に立たされるのも病理の宿命です。

しかしながら、この環境下でも、中熊医師は言います。
「2人の病理医が診断すれば、それだけで診断の精度が上がると思ってる?」と。

当社では、複数の病理医が必ずダブルチェックを行います。これは、多数決で診断を確定することを目的としているものでは決してありません。病理でいうところの精度管理は、すなわち【見落としの防止】に集約されます。主診断医の診断は極めて重要ですが、医師も一人の人間ですので、ヒューマンエラーが発生しないとは言い切れません。ゆえに、その防止に努めているわけです。このバイコラム番外編その①で病理医の圧倒的不足をお伝えしましたが、病理医間によるダブルチェックを実施できる当社は恵まれた環境にあると言えます。

このように、
「病理医はいつだって不安と闘いながら、独りで責任を背負ってなきゃ」ならず、
「病理の診断ひとつで人の人生が変わる」のです。

私には、尊敬する病理医から常日頃言われている言葉があります。

「病理は直接患者とは接しないが、病理診断依頼書の先に患者が1人1人いることを肝に銘じて仕事にかからなければならない。」

このような重要な仕事に自分自身が携われることは、臨床検査技師冥利に尽きると感じるとともに、あらためて責任の重さに背筋が伸びる思いです。

 

※ 当コラムは、あくまでも個人的見解による内容となっております。予めご了承ください。

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。