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免疫チェックポイント阻害薬|これって何?バイオコラム 第3回

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こんにちは。もも太です。NHKのサイエンスゼロという番組はお気に入りの番組!少し前でしたが、免疫チェックポイント阻害抗体によるがん治療を紹介していました。最初に「免疫チェックポイント阻害」と聞いた時、それって何?どこの阻害?と思ったのでした。

 

そこで第3回目は、『免疫チェックポイント阻害薬』をとりあげます。

今やこの話題は、驚異のがん治療薬として業界で大いに盛り上がっています。日本発のPD-1抗体ニボルマブが、単剤でメラノーマをはじめとする多くのがんで高い治療成績を収めているのです。素晴らしい!

実はこの治療に関わる分子機構の発見者は京大の本庶佑(ほんじょ たすく)先生を中心としたグループです。本庶先生はこの業界では誰もが知る高名な免疫学者です。ご高齢になられましたが、「良い仕事が出来た」と、いつものように厳格な表情で誇りとも感じられる喜びを語っておられました。先生はがん学者ではありませんが、免疫の重要性を信じ、逆転の発想で克服された格好で、この点も痛快です。

免疫細胞は異物を排除するアクセルと、免疫過剰にならないようブレーキを持っています。多くの学者がアクセル増強によるがん根治を目指していたが、その効果は実に小さかったのです。先生は反対に、多くの研究を重ね、このブレーキがキーであると示されたのです。ここが免疫チェックポイントで、今やPD-1/PD-L1経路として、がん細胞が免疫細胞T細胞からの攻撃を回避できる機序として知られるようになりました。つまり、がん細胞の増殖戦略は、T細胞のPD-1ブレーキを、自身の持つPD-L1というリガンドを結合させることによって、免疫T細胞の免疫応答(細胞傷害活性)を弱らせて生き残っていたのです。そこで逆に、この免疫チェクポイントのPD-1に反応する抗体(ニボルマブなど)で蓋をするように阻害させると、PD-L1と結合できなくなり、見事にT細胞ががん細胞を攻撃するようになったのです。これはノーベル賞級の発見です!!!

人体は本当に巧妙に出来ています。一方、がん細胞も抜け目ないので新たな攻撃戦略を獲得して、また逃れる術を身につけるかもしれません。しかし、免疫チェックポイントはPD-1分子だけでなく、他にもありそうです。がん治療薬の開発は免疫学へと大きく舵を切り方向転換したのは間違いないと感じます。今後多くの製薬企業も益々この 「免疫チェックポイント阻害薬」に注目し、新たな抗体医薬品の開発に本腰をいれるのも間違いないのではと感じます。

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。