EBSD|電子後方散乱回折分析
分析概略
EBSD(Electron Back Scatter Diffraction Patterns:電子後方散乱回折分析)はSEMの電子線・後方拡散回折を利用した分析の一つで、試料の結晶情報(結晶系・グレインサイズ・配向性など)を得るのに有効な分析手法です。結晶分析ではXRD・EBSD・TEM・PEDのいずれかを用いることが多いです。XRDでは結晶の平均的な情報が得られるのに対し、EBSDでは個々の結晶粒ごとの結晶方位まで評価が可能になります。空間分解能は最大100nmほどとなり、それ以上の分解能が必要な際にはPEDをおすすめします。
対象分野
半導体・エレクトロニクス・自動車・航空宇宙・鉄鋼・先端材料・エネルギー・メディカルデバイス
対象試料の事例
- 半導体のナノスケール領域
- 金属・合金
- セラミックス
- 磁性材料
用途事例
- 結晶粒の面方位分析・測定
- 結晶解析・結晶性評価
- 配向測定
- 双晶(粒界)評価
原理/特徴
試料法線に対して約70°の電子線を照射し、反射電子に含まれる電子回折パターンを検出します。EBSDは結晶構造に関する情報が既知であること(XRDのような未知試料の同定は不可)、分析情報は試料表面50nm程度のため試料表面が鏡面であることが必要になります。
- 結晶方位解析
- 結晶の形状(角度による粒界の定義)
- 結晶粒の相関角度・回転軸・測定
- 結晶粒径分布の測定
- 結晶方位マップ(グレインサイズ・集合組織・結晶相の識別と分布・ひずみ解析・結晶粒界解析)
- 3D結晶方位情報:極点図、逆極点図
比較:ESBDとXRDとPED
EBSD | XRD | PED |
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分析事例
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結晶方位マッピング |
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