RBS/HFS/PIXE/NRA|ラザフォード後方散乱/水素前方散乱/粒子励起X線/核反応分析
分析概略
RBS(Rutherford Backscattering Spectrometry:ラザフォード後方散乱分析)では、He等の軽いイオンをMeV程度の高エネルギーに加速して固体に照射することで固体元素の原子核により後方側に散乱されたイオンのエネルギーを測定することで、固体中に含まれる原子の組成・量・深さ方向分布を分析することができます。HFS(Hydrogen Forward Scattering Spectrometry:水素前方散乱分析)を併用することによりHを含めた薄膜の組成・深さ方向分布が高精度で分かります。さらにPIXE(Particle Induced X-Ray Emission:粒子励起X線分析)・NRA(Nuclear Reaction Analysis:核反応分析)を組み合わせることも可能です。
*各分析手法の分析深さはSMART Chartからご覧いただけます。
加速粒子分析手法
- RBS: Rutherford Backscattering Spectrometry(ラザフォード後方散乱分析)
- HFS: Hydrogen Forward Scattering(水素前方散乱分析)
- PIXE: Particle Induced X-ray Emission(粒子励起X線分析)
- NRA: Nuclear Reaction Analysis(核反応分析)
対象分野
半導体・エレクトロニクス・自動車・航空宇宙・鉄鋼・先端材料・エネルギー
対象試料の事例
- シリサイド膜:WSiPt、Si、TiSi、CoSi、CrSi、NiSi、PdSi
- 金属・合金:Al、Ti、Cu、Mo、W、Pt、Ag、AlCu、PtMn、TiW、PtFe、IrMn
- バリア膜: TiN、TaN
- 絶縁膜・コーティング膜:SiO、SiN、SiON、HfSiO、FSG、BSG、BPSG、HSQ、SiOC、polyimide、Teflon、DLC、SOI、BST、STO、PZT、SBT
- 半導体薄膜・酸化物半導体薄膜:SiGe、 AlGaN、InGaN、IGZO
原理/特徴
RBS/HFS/PIXE/NRAの高加速イオンビームプロセス
特徴:RBS
He+ ・He2+などの軽いイオンを数MeVのエネルギーに加速し分析磁場を通してイオン種とエネルギー揃え、試料表面に照射。固体中の原子核によりラザフォード後方散乱されたイオンのエネルギーを検出します。
- 非破壊で深さ方向(1um程度)の組成分析が可能
- 結晶性評価(元素の格子位置・結晶欠陥)が可能
- 絶対定量が可能
- 構成原子の物理量(散乱確率)が判明しているため標準試料による定量が不要
検出器構成:RBS
特徴:HFS
- He はHより重いためHに対するHeの後方散乱は生じない
- Hは弾性的な反跳により前方に散乱される
検出器構成:HFS
特徴:PIXE
PIXEは加速されたイオン(He+など)によって標的原子の内殻電子が電離されると、同一原子の外殻電子が遷移します。その過程に中に軌道間のエネルギーの差に対応した特性X線・オージェ電子が放出されます。PIXEでは特性X線を測定する事により元素を分析することができます。
- Na〜Uまでの元素を高感度に分析が可能
特徴:NRA
RBSでは入射粒子の運動エネルギーが低いため標的原子のクーロン斥力により原子核内に入りこむ事はできません(ラザフォード散乱)。NRAではクーロン障壁越えたエネルギーの粒子を照射し、原子核内の核反応によって放出されるγ線をも含めた粒子のエネルギーと強度が測定可能です。
- 重元素とは核反応が生じないため、重元素中の軽元素を高感度で測定可能(B、C、N、Oなど)
装置構成
- He+ ・He2+などの軽いイオンを数MeVのエネルギーに加速し分析磁場を通してイオン種とエネルギー揃え、試料表面に照射
- RBSの通常の条件では2.2 MeVの He2+ イオンを使用
分析事例
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RBS & HFS:SiN薄膜の評価 |
RBS & NRA:TiO2薄膜の評価 |
RBS & PIXE:スチール薄膜の評価 |
分析に適した試料量/形状
- 形状:薄膜の膜厚〜1um、面積2mm■以上