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ウォータープルーフ化粧品は危険?PFASが含まれる商品に要注意

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投稿日:2024年8月1日

日焼け止め

化粧品は直接肌に触れる製品であるため、含有成分には注意しなければいけません。特に一部のウォータープルーフ化粧品には、世界各国で規制の強化が議論されているPFAS(有機フッ素化合物)が含まれている可能性があるため注意が必要です。

この記事では、ウォータープルーフ化粧品にPFASが含まれている理由や、PFASが含まれない化粧品を選ぶ方法などについて解説します。

 

INDEX

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)とは

実験

PFASとは、炭素とフッ素を人工的に合成して作った化学物質であり、約1万種類以上が存在するとされています。

PFASは熱や薬品に強く、撥水・撥油性が高い特徴を持った化学物質です。それらの特徴を活かして、これまでに撥水加工剤や電子機器の材料として使われてきました。

しかし、難分解性・高蓄積性・長距離移動性などの性質を持っていることから、一度環境中に放出されたPFASが世界中に広く残存し続けることが問題視されています。

PFASについて詳しく知りたい方は、こちらのページもご覧ください。

 

 関連記事:PFAS(有機フッ素化合物)とは?問題視される理由や具体的な規制を解説

PFASとは

 

PFASが健康に与える影響

食品安全委員会が2024年2月にまとめた「評価書 有機フッ素化合物(PFAS)」によると、PFASの一種であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(ペルフルオロオクタン酸)では、以下の4点について関連は否定できないと評価されました。

 

  • 血清ALT値の増加
  • 血清総コレステロール値の増加
  • 出生体重の低下
  • ワクチン接種後の抗体応答の低下

 

また、発がん性については、ヒトに当てはまるかどうかは判断できないと評価しています。

 

一部のPFASは製造・使用が禁止に

現在、PFASの中で特に規制対象となっている物質は、PFOS、PFOA、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)です。

PFOSは、2009年に実施されたPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の第4回締約国会議において、附属書B(制限)への追加掲載が決定されました。国内においては、2010年4月に化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)における第一種特定化学物質に指定され、2018年2月の化審法改正により、事実上全ての用途で製造・製品への使用が禁止されています。

PFOAは、2019年に実施されたPOPs条約の第9回締約国会議において、附属書A(原則禁止)への追加掲載が決定されました。国内においては、2021年に化審法における第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入等を原則禁止しています。

PFHxSは、2022年6月に開催されたPOPs条約の第10回締約国会議において、附属書Aに追加されることが決定されました。国内においては、2023年11月に化審法における第一種特定化学物質に指定されています。これにより、一部の例外を除き国内での製造・輸入・使用が原則禁止されています。

 

 

PFASフリー商品とは

マスカラ

PFASフリー商品とは、商品の製造過程においてPFASを使用していない商品のことを指します。しかし、現状その評価基準はかなり曖昧なものになっています。

PFASフリーと記載されていたとしても、1万種類以上あるPFASの全てを含んでいないわけではなく、企業・メーカーによっては「国内で規制対象になっているPFASを含んでいない」という意味で使用している場合があります。また、自社の工場における加工工程で使用していないだけで、原材料にはPFASが含まれている可能性もあります。

PFASフリーと記載されている商品を見かけた場合、販売元の企業やメーカーがどの範囲までをPFASフリーと判断しているのか確認することが推奨されます。

 

PFAS MEDIAにおけるPFASフリーの基準

PFAS MEDIAでは、製品におけるPFASフリーの基準について、以下のように定義しています。

PFAS MEDIAにおける「PFASフリー製品」の定義
完成した製品、および製造工程において、REACH規則・POPs条約・化審法で規制されている9項目と、今後規制されるPFHxAの計10項目が含まれていないこと。

〈10項目〉

PFOA、PFNA、PFDA、PFUnA、PFDoA、PFTrDA、PFTeDA、PFHxS、PFOS、PFHxA

 

 

PFASが含まれるウォータープルーフ化粧品とは

 ファンデーション

一部のウォータープルーフ化粧品は、PFASフリーとして販売されているものもあります。この章では、PFASフリーのウォータープルーフ化粧品の概要や使用される理由について解説します。

 

そもそもウォータープルーフとは

ウォータープルーフは防水・耐水性の効果を意味しており、化粧品においては、塗布した化粧膜が汗や水で取れない効果のことを指しています。

化粧をした後に汗をかいたり、雨に濡れたりした場合でも化粧崩れを防止して維持できるため、ウォータープルーフ化粧品は多くのユーザーに支持されています。

 

ウォータープルーフ化粧品にPFASが使われる理由

PFASは、高い撥水・撥油性を持つ化学物質です。そのため、皮脂や水でも落ちない快適な化粧品を作るため、多くの化粧品メーカーでPFASが使用されてきました。
論文*で発表されている化粧品765品目を定性調査した結果では、765製品中11種類の PFAS が見つかったとされています。その中でも、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン) とPFD(パーフルオロデカリン)がそれぞれ製品の 25.9% と 22.2% に含まれていました。

*Per- and polyfluoroalkyls used as cosmetic ingredients - Qualitative study of 765 cosmetic products - ScienceDirect

 

現在ではPFASを使用した化粧品は減少している

現在は日本を含む世界各国で、PFASの使用を制限する動きが強まっています。化粧品の販売企業やメーカーでは、PFASの代替物質を使用したウォータープルーフ製品の開発も行われています。

特に化粧品は肌に直接触れる製品でもあるため、人体への影響も懸念されている一部のPFASを使用した化粧品は、今後使用されなくなる可能性は高いでしょう。

 

PFASフリー化粧品の事例

化粧品などを販売している海外のメーカーで、PFASフリー製品を扱っている事例をいくつか紹介します。

化粧品やパーソナルケアのPFASフリー製品を販売する会社
小売業者
  • Beautycounter (all products)
  • Credo (all products)
  • H&M (all store brand products)
  • Sephora (Clean at Sephora products)
  • Whole Foods Market (all products)
メーカー
  • Annmarie Skin Care (all products)
  • California Baby (all products)
  • Crunchi (all products)
  • Fluency Beauty (all products)
  • Hydropeptide (all products)
  • Otter Wax (all body and skincare products)
  • Reed + Gwen (all personal care products)
  • Type:A deodorant (all products)

引用:PFASフリー製品|グリーンサイエンス政策プロジェクト

 

 

化粧品を選ぶ際はPFASの有無を確認しよう

化粧品を選ぶ際には、含有成分にも注意する必要があります。特にウォータープルーフ製品の場合、撥水性・撥油性を高めるためにPFASを使用している可能性があります。

近年の研究では、一部のPFASが人体の健康に影響を及ぼす可能性が示唆されており、今後日本のメーカーにおいてもPFASを使用しない化粧品が研究・開発されるかもしれません。

ウォータープルーフ化粧品に含まれるPFASが心配な方は、PFASフリー化粧品を販売している企業の商品を選んで購入することも選択肢の一つとなるでしょう。

 

 

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記事の監修者

eurofins

ユーロフィン日本環境株式会社
品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

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