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飲料水と水道水のPFAS規制の違いは?浄水処理の方法と水源の種類

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投稿日:2024年11月21日

水を飲む女性

PFAS(有機フッ素化合物)は、残留性有機汚染物質に指定されている化学物質です。水に溶ける性質を持っており、一度曝露すると体内に長期間蓄積する特徴があるため、飲料水を介して体内に入らないように注意する必要があります。

飲料水を通じた曝露を防ぐためにも、日常生活で利用する水道水の浄水プロセスや、飲料水へのPFAS規制について詳しく知りたい方も多いでしょう。

この記事では、飲料水の定義や水道水の浄水プロセス、飲料水のPFAS規制の動向について詳しく解説します。

 

INDEX

 

飲料水とは何か?

水を注ぐ

国内における飲料水のPFAS規制について解説する前に、まずは飲料水の定義について改めて確認しましょう。

飲料水とは、飲用に適した水のことを指します。日本の場合は、水道水の水質基準が厳しいため、水道水も飲料水として飲めます。ここでは、飲料水の種類や水道水について解説します。

 

飲料水の種類

一般的に飲用として飲まれている代表的な水として、以下の種類が挙げられます。

 

  • 水道水
  • ミネラルウォーター
  • 海洋深層水
  • RO水
  • アルカリイオン水

 

それぞれ、採水場所や浄水処理法の違いによって名前が異なります。そのほか、水に含まれるミネラルの含有量に応じて軟水や硬水といった種類に分類されます。

 

区分
硬度(カルシウム・マグネシウム等)
軟水 60 mg/L未満
中軟水 60 mg/L以上120 mg/L未満
硬水 120 mg/L以上180 mg/L未満
超硬水 180 mg/L以上

出典:厚生労働省|カルシウム・マグネシウム等(硬度)

 

日本では水道水も飲料水

世界には浄水処理施設の不足や、経済的・衛生的な問題によって、水道水を飲料水として飲めない国もあります。しかし、日本は水質基準が厳しいため、水道水もそのまま飲むことができます。

しかし、浄水処理で除去しきれなかったカビ臭さや、消毒用の塩素の匂いなどが強く感じられることもあるでしょう。

水道水を美味しく飲みたい場合は、汲み置きや煮沸のほか、蛇口に浄水器を設置する方法があります。

 

 

安全な水道水が作られる浄水処理プロセス

夕方の風景

日本の水道水は飲用に適していますが、その水質を保つ水道水を作るためには、水源や浄水処理プロセスが重要になります。

ここでは、安全な水道水を作る方法について解説します。

 

飲料水の水源は主に3種類

水道水として使用される水源は、主に以下の3種類があります。

 

  • 地表水
  • 伏流水
  • 井戸水

 

地表水とは、河川やダム湖、湖などの陸地表面に存在する水のことです。日本の水道水源の約74 %は地表水から作られており、その他は井戸水や伏流水が使用されています。

伏流水とは、河川等の地表水が周辺の砂層などの中に浸透して流れる水のことです。地中でろ過が行われるため、濁りが少ないのが特徴です。

 

水源によって浄水処理が異なる

浄水場に取り入れる水の水質は水源によって異なるため、水質に応じた浄水処理を行っています。浄水場で行う浄水処理の方法は、以下の4つの方法に分類されます。

 

  • 急速ろ過と高度浄水処理
  • 緩速ろ過
  • 膜ろ過
  • その他の除去設備

 

急速ろ過は、小さな濁りや細菌類などを含んでいる水を薬品で凝集・沈殿させ、その上澄みを速い速度でろ過池の砂層に通すことによって浄水する方法です。

一方、緩速ろ過とは、ゆっくりした速度でろ過池の砂層に水を通し、砂層の表層部に設置した生物ろ過膜の浄化作用によって浄水する方法です。

急速ろ過や緩速ろ過などの浄水処理を基本として実施していますが、必要に応じてその他の除去方法を組み合わせて水道水を作ります。

 

水道水の水質管理

水道水の水質は、水道法で定めた51項目からなる「水質基準項目と基準値」によって管理されています。

さらに、そのほかに27項目の「水質管理目標設定項目と目標値」が定められており、その中には、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の暫定目標値も含まれています。

 

項目 基準
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA) ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の量の和として0.00005 mg/L以下(暫定)

引用:環境省「水質基準項目と基準値(51項目)」

 

 

水道水以外の飲料水に対するPFASの規制

ペットボトルの水

飲料水として利用されている水道水には、PFOSとPFOAの暫定目標値が定められています。

一方で、ミネラルウォーター類は清涼飲料水として扱われ、水道法ではなく食品衛生法が適用されます。しかし、2024年8月時点では、食品衛生法上での水質基準にPFOSやPFOAの項目は記載されていません。

実際に2022年に神戸市で製造されたミネラルウォーターから、水道水の暫定目標値を上回るPFASが検出された事例も発生しています。

 

飲料⽔におけるPFAS規制の最新情報について、分かりやすくまとめた資料を配信しております。
(飲料⽔中のPFAS規制を進めている国や、各国の最新基準値、現在までのPFAS規制の動向など)

ぜひこちらからダウンロード下さい。

 

 

 

飲料水に対するPFAS規制の違いに注意する

浄水施設のインフラが整っている日本では、水道水も飲料水として利用できます。水道法で厳しい水質基準を設定しているため、日本の水道水は安心して飲めます。
特に水道水に含まれるPFASについては、水道法でPFOSとPFOAの暫定目標値が設定されているので厳しく管理されていますが、気になる方は、家庭用の浄水器を利用するのも選択肢のひとつです。
様々な種類があり、最近はPFAS除去において一定の効果が認められた製品も販売されています。
詳しくは下記の記事でご確認ください。

 

関連記事:PFAS(有機フッ素化合物)対策に有効とされる浄水器の選び方とは?

飲料水

 

一方で、ミネラルウォーターは食品衛生法の対象です。食品衛生法では、PFASの水質管理基準がないため、製品に含まれるPFASの検査については各企業の裁量に委ねられています。

ミネラルウォーターなどの飲料水を選ぶ際には、会社で独自に行っている水質検査の結果や採水地などの情報を確認しましょう。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析については

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記事の監修者

ユーロフィン日本環境株式会社 野島 智也さん

ユーロフィン日本環境株式会社

横浜PFAS事業部 PFASグループ 
研究開発チーム

Specialist 野島 智也

<経歴>

2012年 筑波大学 理工学群 化学類 卒業
2014年 筑波大学 数理物質科学研究科 化学専攻 博士前期課程 修了
2014年にユーロフィン日本環境株式会社入社し、ダイオキシン分析に従事。

2020年からは有機分析チームの分析要員としてPFOS・PFOA分析の立ち上げに従事し、その後、R&Dグループとして国内の分析法、EPA法、ISO法等を立ち上げる。

2023年には独自法による排ガス中のPFAS一斉分析法を立ち上げる。

 

 

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