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規制が厳格化するPFASへの対策とは?メーカー担当者が押さえたい注意点

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投稿日:2024年7月24日

バーチャル工場

PFAS(有機フッ素化合物)への規制は徐々に厳格化しています。日本では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法)により、2010年にPFASの一つであるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の原則的な製造と使用の禁止が定められると、2021年にはPFOA(ペルフルオロオクタン酸)、2024年にはPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)に同様の規制が適用されました。日々の変化が激しいPFAS規制の情勢に対して、製品の製造・輸出入を行うメーカーはどのように対策を進めるべきなのでしょうか。この記事では、製品製造や輸出入における、PFASへの対策と注意点について解説します。

 

INDEX

 

 

PFASが規制されている理由とは

一部のPFASが規制されている理由のひとつに、環境に長期的に残留する性質を持ち、動植物や人体へ影響を与えることだといわれています。PFASは化学的な安定性・利便性の高さから、多くの工業製品や日用品、それらの製造工程で使用されてきました。

しかし、PFASの中でも特に使用機会の多かったPFOSが環境中に長期間残留することが研究で判明。POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の附属書Aに追記され、国際的な製造と使用の禁止処置が取られました。

さらに、研究が進むにつれて、PFOAも同様の特性を持つことが明らかになりました。その結果、PFOAは2017年にREACH規則で閾値が定められ、2019年にはPOPs条約で原則的な製造と使用が禁止となっています。

 

PFAS規制の動向と基準

これまでのPFASに関する規制の動向は下記の通りです。

西暦 化学物質 規制内容
2009年 PFOS POPs条約 附属書Aに追記。原則的な製造と使用が禁止。
2010年 PFOS 国内化審法にて原則的な製造と使用が禁止。
2017年 PFOA REACH規則で閾値が設けられる。
2019年 PFOA POPs条約 附属書Aに追記。原則的な製造と使用が禁止。
2020年 PFOS・PFOA 環境省により、飲料水に係る目標値が設定。
2021年 PFOA 国内化審法にて原則的な製造と使用が禁止。
2022年 PFHxS POPs条約 附属書Aに追記。原則的な製造と使用が禁止。
2024年 PFHxS 国内化審法にて原則的な製造と使用が禁止。

 

 

PFAS規制への対策方法

日本国内でも規制の範囲が年々拡大しつつあるPFAS。規制に対する基本的な対応方法としては、原料や材料などの確認や、製造過程で使用する原水と廃水、完成品のPFAS含有量を調査することなどが挙げられます。

 

原料や材料など調達の際の確認

製品におけるPFOS・PFOAなどの含有の有無は、原材料の調達の際から始めることが重要です。サプライチェーンにおける原料・部品に規制物質の使用がないことが確認されていれば、基本的に最終製品に含有はされていないと考えられるためです。ただし、コンタミネーション(不純物の混入・汚染)などを通じて、製造工程において、含有されてしまうケースもあるので注意が必要です。

まずは、SDS(Safety Data Sheet:安全データシート)の確認をした上で、PFASの分析や総有機フッ素分析によってスクリーニング分析をいただくことも可能です。

 

工場の製造工程での使用有無の確認

PFASにおいて、特にPFOAやPFHxSは工場の製造工程でも使用されてきました。もし製品の原材料として使用されていない場合でも、製造工程で使用される器具などにて使用されていると最終製品への混入も発生します。製造過程において、どのような器具を使用しているのかを調査し、記録を保管することも重要です。

 

製造過程に使用する原水や廃水の確認

製造過程使用する原水や廃水、また工場から排出される排水においても、PFOS・PFOAが含まれる可能性があります。PFOS・PFOAが含まれる原水を使用した場合、最終製品に付着し、場合によっては、REACH規則などで定められている閾値を上回ることも考えられます。見落としやすいポイントなので、確認を欠かさないようにしましょう。

 

製品での含有量調査を実施

規制への適合は完成した製品で確認する必要があります。原料・部品・製品へ原材料として含有していなかったとしても、製造工程において環境中に存在するPFASが付着し、REACH規則などで定められている閾値を上回る可能性はあります。お気になられる場合は、製品中に含まれるPFASの含有量を定期的に確認することをお勧めします。

 

 

PFAS規制に対応する際の注意点

メモを取る

PFASの規制は常に変化を続け、その対応には各メーカーも苦慮しています。PFASの規制に適切に対応するには、どのような対策をすべきなのでしょうか。ここでは、基本的な注意点を解説します。

 

原材料として使用していなくともPFASが含有されるケースがある

PFOS・PFOAなどのPFASは環境中においても存在します。そのため、原材料として使用していなかったとしても、環境中のPFASが製品に混入し、製品に含有される可能性があります。

 

代替物質の開発には時間が必須

代替物質の開発には、原料・材料メーカーとの協議が必須です。また、最終製品の性能も代替前と同等であることが求められます。コストや物性などを考慮した上で試作を重ねながら調整する必要があり、代替物質の開発には数年以上の時間がかかることも考えられます。

 

定期的に監査を実施

監査を定期的に実施することで、材料・工程などの変化点の見逃しを少なく抑えられます。

 

エビデンスを残す

対策と監査を実施した場合でも、意図せずに閾値を上回る可能性はあります。その場合は、変化点を確認し、早急に対策を取る必要があります。その時に参考になるのが、材料・原料のSDS、監査記録などのエビデンスです。細かく記録を残すようにルールを整備しましょう。

 

 

PFASの規制対象物質は拡大する可能性がある

PFASは1万種類以上あり、環境や人体への影響が確認されていない物質も多数あるため、全ての有害性が確認されているわけではありません。しかし、2019年のIARC(国際がん研究機関)の研究結果では、PFOAの人体に対する発がん性があるとして報告しています。

PFASによる自然環境や人体に対する有害性や影響は徐々に明らかになっており、今後PFASが及ぼす影響に関するデータの研究が進むと、規制物質はその前駆体などを含めてさらに拡大する可能性があります。

 

将来的な規制を見込んで代替物質の開発に着手する

PFOS・PFOA・PFHxSなどは高い化学的な安定性を誇るため、多くの業界で使用されてきました。現在、脱PFASをテーマに代替品の開発に着手する企業が増えています。将来的な規制を予測して、代替物質の開発を検討するのも有効な対策です。

 

 

PFASに関する規制への対策は定期的に見直す必要あり

PFASの情勢は刻一刻と変化しています。各国の規制の動向を追いかけつつ、数年先の状況を予測してPFASに関する規制への対策を進める必要があります。製品製造や輸出入に携わる企業の担当者は、情報のキャッチアップと合わせて、定期的に対策方法を見直すようにしましょう。

 

 

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

PFAS分析を行うユーロフィングループのネットワークを活かして、国内外の様々なPFASにまつわる情報を配信しています。

 

 

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