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PFASの一種であるPFBAとは?主な使用用途や健康への影響

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投稿日:2024年10月11日

PFBA

欧州の一部の国では、飲料水に含まれるPFBA(ペルフルオロブタン酸)が規制の対象となっています。一方日本では、現時点でPFBAの製造・流通等を規制する法律はありません。

この記事では、有機フッ素化合物の一種であるPFBAの概要や使用用途、健康への影響について詳しく解説します。

 

INDEX

 

PFBAの特徴とは?

PFBAは、PFAS(有機フッ素化合物)の一種で、日常生活の様々な製品に使用されてきた化学物質です。ここからはPFBAを含むPFASの特徴と、PFBAの用途について解説します。

 

PFBAを含むPFASの特性

PFASは、撥水・撥油性や熱・化学的安定性などの特徴を持った化学物質です。PFASに分類される化学物質は1万種類以上もあるとされており、その中の一つがPFBAです。

PFASには、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があることから、一度放出されると自然環境中に広く残存してしまうことが問題視されています。

 

PFBAの用途

PFBAは、汚れ防止布地、紙製食品包装、カーペットに使用されるPFASの一種であり、他のPFASが分解する過程で生じる物質でもあります。また、PFCA(長鎖パーフルアルキルカルボン酸)の代替品として写真フィルムの製造にも使用されています。

 

 

PFBAが人体に及ぼす影響

採水

PFBAが人体に及ぼす影響については、現在も世界中で研究が進められています。EPA(米国環境保護庁)が開発したデータベース「IRIS(Integrated Risk Information System)」には、化学物質による健康への影響について記載されています。その中で、PFBAに関する最終評価について記載されている内容は以下の通りです。

 

  • 経口で一定量を暴露すると、甲状腺、肝臓、発達に影響が出る可能性が高い
  • 発がんを評価するには情報が不十分

 

 

PFBAに対する各国の規制動向

水分析

一部の国では、飲料水に含まれるPFBAの量を規制しています。ここでは、PFBAの規制について、各国の動向や国際条約での規制状況について解説します。

 

飲料水における海外のPFBA規制動向

環境省が発表した資料「PFOS、PFOA 以外の PFAS に係る国際動向」には、飲料水に含まれるPFBAの目標値について各国の状況が記載されています。

各国のPFBAの規制内容に関しては以下の通りです。

 

国名

対象物質 目標値等 TDI(耐容一日摂取量)等
デンマーク PFBS、PFHxS、PFOS、PFOSA、6:2FTS、PFBA、PFPeA、PFHxA、PFHpA、PFOA、PFNA、 PFDA 100 ng/L 30 ng/kg/d
ドイツ PFBA 10,000 ng/L 3,000 ng/kg/day

参照:環境省「PFOS、PFOA 以外の PFAS に係る国際動向」

 

国際条約では規制対象になっていない

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)や、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)などの一部のPFASは、環境や人体への有害性が懸念されていることから、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の規制対象になっています。

POPs条約とは、残留性有機汚染物質の製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減などを規定している条約です。2024年8月時点での加盟国数は186ヵ国であることから、POPs条約の規制対象になった化学物質は、多くの国で規制が進められます。

ただし、現時点でPFBAはPOPs条約の規制対象を記した附属書には記載されていません。

 

 

日本国内でPFBAの規制は定められていない

現在、日本国内で製品や飲料水に含まれるPFBAを規制する法律はありません。しかし、環境省の資料「PFAS に関する今後の対応の方向性令和5年7月」では、今後はPOPs条約の規制対象になっていない物質も評価していくことが記載されています。

PFASの規制が進むアメリカやEUの動向によっては、今後PFBAが化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)の規制対象になる可能性はあるでしょう

 

 

PFBAに代表されるPFASの規制動向に注視しましょう

PFBAはPFASの一種であり、写真フィルムの製造などに使用されてきた化学物質です。人体への影響については未だに不明点が多いものの、アメリカのEPAでは、甲状腺、肝臓、発達に影響が出る可能性について言及されています。

デンマークやドイツなどの一部の国では、飲料水に含まれるPFBAを規制しています。しかし、2024年8月時点では、日本の飲料水などにおけるPFBAの規制はありません。

一方で、今後の動向によっては、国内でPFBAの規制が始まる可能性もあります。国内だけでなく、海外の動向にも注意しつつ、早めに対策を立てていきましょう。

 

 

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記事の監修者

緒方さん

ユーロフィン日本環境株式会社

ラボラトリー事業部 POPsグループ 

PFAS・PCBチーム 緒方 駿

<経歴>

2017年 日本分析化学専門学校 生命バイオ分析学科 卒業
卒業後、リンパ球バンク株式会社に入社し、ANK療法に必要な細胞の培養などを行う。
その後2019年から田村薬品工業株式会社にて医薬品の理化学試験、微生物試験及びバリデーション取得などに従事。
2022年よりユーロフィン日本環境株式会社でPFAS分析や分析法導入などを行う。

 

 

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