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PFAS(有機フッ素化合物)の人体への影響は?

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投稿日:2024年5月14日

悩む女性

ニュースなどでPFAS(有機フッ素化合物)という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。「井戸水からPFASが検出されたので、周辺の住民に飲まないように伝えた」などの情報を耳にすると、あまり良い話ではないことは分かります。しかし、PFASとはどういった物質なのか理解できていない場合、なぜ危険なのか、人体にどのように影響するのかが釈然としないはずです。この記事では、PFASが人体に及ぼす影響について詳しく解説します。

 

INDEX

 

 

そもそもPFAS(有機フッ素化合物)って何?

研究する男性

最初に、PFASとは何かについて詳しく解説します。

 

有機フッ素化合物の総称

PFASとは、炭素とフッ素を人工的に組み合わせて作った化学物質(ペルフルオロアルキル化合物またはポリフルオロアルキル化合物)の総称です。日本語では有機フッ素化合物といいます。

熱や薬品に強く、水や油を弾くという性質があるため、生活用品をはじめ様々な用途で使用されてきました。PFASが使われている生活用品の具体例をいくつか紹介します。

 

  • フッ素加工のフライパン
  • 水を弾く材質のコート、ブルゾン
  • 洗剤
  • 泡消火剤
  • カーペット

 

一口にPFASといっても様々な物質があり、それぞれ性質が異なります。ただし、PFAS自体が炭素原子とフッ素原子が強力に結びついた物質であるため、自然界で分解されにくい特徴を有する点には注意しなくてはいけません。

また、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)という3種類のPFASは、健康に悪影響を及ぼすことが明確に指摘されています。日本を含めた世界各国で輸入・製造が原則禁止されているのが実情です。

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)の人体への影響は?

医師の診察

PFASは人体にどのような影響を及ぼすのか、以下の3つの観点から具体的に解説していきましょう。

 

  • 発がん性
  • ホルモンかく乱作用
  • その他の病気

 

発がん性

世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)によれば、PFOAはグループ1(ヒトに対して発がん性がある)、PFOSはグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に分類されています。PFHxSについては、現時点で国際的な主要機関での評価はなされていませんが、今後の動向を注視する必要がありそうです。

PFASにより引き起こされる可能性があるがんとして、乳がん、腎臓がん、精巣がんなどが挙げられています。

 

ホルモンかく乱作用

PFASにはホルモンかく乱作用も指摘されています。体内でのエストロゲンやアンドロゲンなどのホルモンによる情報伝達に影響し、ホルモン濃度が乱れることで様々な病気や不調が引き起こされると考えましょう。具体的な病気・不調の例をまとめました。

女性 生理不順、妊孕性の低下、不妊、子宮内膜症等の疾患、性的成熟の早期化
男性 精子の性質の低下、不妊、性的成熟の早期化

 

その他の病気

がんやホルモンかく乱作用によるもの以外にも、PFOSやPFOAにより様々な病気が引き起こされる可能性がある点が指摘されています。確実性が高いものと、中程度のものをまとめました。

確実性が高いもの 乳腺の発達遅延、免疫力の低下、低体重出生、甲状腺疾患、血中コレステロール値の上昇、肝疾患、腎臓がん、潰瘍性大腸炎、前立腺がん
確実性が中程度のもの 脳神経の発達遅延、肥満、性的成熟の早期化、乳がん、不妊増加、流産・死産のリスク増加、妊娠中の血圧上昇、精子の数と運動能力の減少、精子の質の低下

参考:PFAS毒性健康リスク.indd (kokumin-kaigi.org)

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)をめぐる裁判とは

天秤と男性

アメリカでは、施設の周辺住民や地域に工場が存在する自治体が、PFASを製造・使用していた工場・企業を相手取り裁判を起こす事例が、多数報告されています。

アメリカでは、大手化学メーカー・A社がPFASによる飲料水汚染の責任を問う裁判の原告に対し、最大125億ドル(約1兆8000億円)を支払う和解案で暫定合意したと報道されました。

また、日本でも公開された映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』は、同じく大手化学メーカー・B社のPFOA汚染をめぐる裁判を描いた作品です。

 

 

ただちに健康に影響があるものは少ないが注意が必要

パソコンをソファで触る女性

PFASは、約1万種類以上が存在するとされています。人体への有害性が確認されているPFASはそのうちごく一部です。PFASが使われた製品を使うこと自体、ただちに健康には影響しません。

現在、人体に害があるとされているPFOS・PFOAはすでに日本での製造・輸入が禁止されています。PFHxSについても、2024年6月から製造・輸入が禁止される見込みです。

しかし、日本でも地下水や井戸水からPFASが検出されたという事例が報告されています。水道水を飲む際は浄水器を通す、自治体の広報やテレビ・新聞のニュースをチェックするなど、最低限の注意をすることが望ましいでしょう。

 

 

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記事の監修者

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

PFAS分析を行うユーロフィングループのネットワークを活かして、国内外の様々なPFASにまつわる情報を配信しています。

 

 

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