PFASとは、人工的に合成された有機フッ素化合物の総称です。
PFOS、PFOA、PFHxSやGenXなど約1万種類以上あるといわれており、環境中で分解されにくく、一度体に取り込まれると排出されにくいことから「forever chemicals(永遠の化学物質)」とも呼ばれています。
水や油をはじくという特性から、撥水・撥油加工や汚れをつきにくくする製品のコーティング剤として様々な生活用品に使用されてきました。
私たちが日常生活で使用している電化製品、衣類、備品に数多く含まれています。現在、人体への様々な毒性が明らかになり、世界中で急速に規制範囲が広がっています。
工場排水や消火剤、産廃処理等から土壌、地下水、公共用水、水道水等に汚染が広がっていると考えられ、順次日本でも暫定基準や分析・処理法の開発が進んでいます。
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日本のPFAS動向タイムライン
日付 | 内容 |
2024/1/31 | 内閣府食品安全委員会はPFASの健康影響評価について評価書案を作成し、PFOS・PFOAを生涯にわたり摂取しても健康に影響がない基準値として、それぞれ1日に体重1kgあたり20 ng/Lに基準を設定 |
2023/12/1 | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法)によりPFHxSを第一種特定化学物質に指定。製造・輸入・製品への使用を禁止に。施行は公布後2カ月以内 |
2023/1/31 | 内閣府食品安全委員会はPFAS を食品健康影響評価の対象とすることを決定 |
2022/12/1 | 水質汚濁防止法施行令が改正され、PFOS・PFOA等の4物質が指定物質に指定。指定物質を製造等する施設には、事故により指定物質を含む水が排出された場合の応急措置、都道府県知事への届出が義務付け。2023年2月施行 |
2021/4/21 | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法)によりPFOAを第一種特定化学物質に指定。製造・輸入・製品への使用を禁止に。2021年10月22日施行 |
世界のPFAS動向タイムライン
日付 | 内容 |
2024/4/10 |
【米国EPA】法的拘束力のある飲料水基準値を最終決定
PFOS・PFOAは4ng/L、PFHxS・PFNA・HFPO-DA(GenX Chemicals)は10 ng/Lに
また、全米の公共水道システムに3年以内に飲料水中のPFAS量測定と情報公開を求め、基準を超えた場合、5年以内に削減対応を求める
|
2024/3/4 | 【欧州】食品と接触する包装におけるPFASの禁止を、欧州理事会と欧州議会が暫定的合意 |
2024/2/8 | 【米国EPA】資源保護回収法(RCRA)規制の変更を提案し、連邦規則集の有害成分リストに、9種類のPFASを追加 |
2023/11/13 | 【米国EPA】2020年の国防権限法に基づき、有害物質規制法(TSCA)に則したPFAS含有製品の報告と記録管理に関する規則を施行 |
2023/7/4 | 【欧州】欧州の化学物質管理規制(REACH規則)において、特定の目的でPTFE及びPVDFを規制 |
PFAS よくあるご質問
1万種類以上あるとされるPFASの中で、代表的なPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)。
PFOSは、主に半導体工業や金属メッキ、フォトマスク(半導体、液晶ディスプレイ)、写真工業、泡消火薬剤などの用途に使用されていましたが、環境中で分解されにくいことから2010年に化審法(化学物質審査規制法)の「第一種特定化学物質」に指定されたことで一部の用途を除き、製造・輸入・使用が禁止となりました。
その後2018年に改正され、例外なく全ての用途で使用が禁止されています。
PFOAは、防汚・撥水・ツヤ出しなどを目的に、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服などの用途で主に使用されてきました。
こちらは2021年に化審法の「第一種特定化学物質」に指定されています。
国内通知法は4項目、EPA method 537は22項目、EPA method 1633は40項目の分析が可能です。
具体的な項目は、以下の表をご確認下さい。
表中※印の有るものは公定法に弊社が独自に追加して導入している項目
分析対象項目 | 短縮名 | CAS番号 | EPA Method 537 | EPA Method 1633 | 環境省通知法 |
Perfluorobutanoic acid | PFBA | 375-22-4 | ○※ | ○ | |
Perfluoropentanoic acid | PFPeA | 2706-90-3 | ○ | ||
Perfluorohexanoic acid | PFHxA | 307-24-4 | ○ | ○ | ○※ |
Perfluoroheptanoic acid | PFHpA | 375-85-9 | ○ | ○ | |
Perfluorooctanoic acid | PFOA | 335-67-1 | ○ | ○ | ○ |
Perfluorononanoic acid | PFNA | 375-95-1 | ○ | ○ | |
Perfluorodecanoic acid | PFDA | 335-76-2 | ○ | ○ | |
Perfluorododecanoic acid | PFDoA | 307-55-1 | ○ | ○ | |
Perfluoroundecanoic acid | PFUnA | 2058-94-8 | ○ | ○ | |
Perfluorotridecanoic acid | PFTrDA | 72629-94-8 | ○ | ○ | |
Perfluorotetradecanoic acid | PFTA | 376-06-7 | ○ | ○ | |
Perfluorobutanesulfonic acid | PFBS | 375-73-5 | ○ | ○ | |
Perfluoropentanesulfonic acid | PFPeS | 2706-91-4 | ○ | ||
Perfluorohexanesulfonic acid | PFHxS | 355-46-4 | ○ | ○ | ○ |
Perfluoroheptanesulfonic acid | PFHpS | 375-92-8 | ○ | ||
Perfluorooctanesulfonic acid | PFOS | 1763-23-1 | ○ | ○ | ○ |
Perfluoro-1-nonanesulfonate | PFNS | 68259-12-1 | ○ | ||
Perfluoro-1-decanesulfonate | PFDS | 335-77-3 | ○ | ||
Perfluorododecanesulfonic acid | PFDoS | 79780-39-5 | ○ | ||
1H,1H, 2H, 2H-Perfluorohexane sulfonic acid | 4:2FTS | 757124-72-4 | ○※ | ○ | |
1H,1H, 2H, 2H-Perfluorooctane sulfonic acid | 6:2FTS | 27619-97-2 | ○※ | ○ | |
1H,1H, 2H, 2H-Perfluorodecane sulfonic acid | 8:2FTS | 39108-34-4 | ○※ | ○ | |
Perfluoro-1-octanesulfonamide | FOSA | 754-91-6 | ○ | ||
N-methyl perfluorooctanesulfonamide | NEtFOSA | 4151-50-2 | ○ | ||
N-ethyl perfluorooctanesulfonamide | NMeFOSA | 31506-32-8 | ○ | ||
N-methyl perfluorooctanesulfonamidoacetic acid | NMeFOSAA | 2355-31-9 | ○ | ○ | |
N-ethyl perfluorooctanesulfonamidoacetic acid | NEtFOSAA | 2991-50-6 | ○ | ○ | |
N-methyl perfluorooctanesulfonamidoethanol | NEtFOSE | 1691-99-2 | ○ | ||
N-ethyl perfluorooctanesulfonamidoethanol | NMeFOSE | 24448-09-7 | ○ | ||
Perfluoro-3-methoxypropanoic acid | PFMPA | 377-73-1 | ○ | ||
Perfluoro-4-methoxybutanoic acid | PFMBA | 863090-89-5 | ○ | ||
Hexafluoropropylene oxide dimer acid | HFPO-DA | 13252-13-6 | ○ | ○ | |
Nonafluoro-3,6-dioxaheptanoic acid | NFDHA | 151772-58-6 | ○ | ||
4,8-Dioxa-3H-perfluorononanoic acid | ADONA | 919005-14-4 | ○ | ○ | |
Perfluoro(2-ethoxyethane)sulfonic acid | PFEESA | 113507-82-7 | ○ | ||
9-Chlorohexadecafluoro-3-oxanonane-1-sulfonic acd | 9Cl-PF3ONS | 756426-58-1 | ○ | ○ | |
11-Chloroeicosafluoro-3-oxaundecane-1-sulfonic acid | 11Cl-PF3OUdS | 763051-92-9 | ○ | ○ | |
3-Perfluoropropyl propanoic acid | 3:3FTCA | 356-02-5 | ○ | ||
2H,2H,3H,3H-Perfluorooctanoic acid | 5:3FTCA | 914637-49-3 | ○ | ||
3-Perfluoroheptyl propanoic acid | 7:3FTCA | 812-70-4 | ○ | ||
合計項目数 | 22 | 40 | 4 |
分析法によって必要試料量は異なります。
国内通知法は1検体あたり、水質の必要試料量は1L x 2本、土壌の必要試料量は乾重量200gです。
EPA method 537は1検体あたり、水質の必要試料量は250ml x 2本となっております。
EPA method 1633は1検体あたり、水質の必要試料量は500ml x 2本、
土壌の必要試料量は乾重量20g程度ですが均一性の観点から弊社では200g程度の採取をお願いしております。
実験試料や土壌以外の他の固形物に関しては、必要試料量が異なりますので、別途お問い合わせください。
EPA method 1633の分析は日本(横浜)のラボで分析しており、納期は15営業日で分析速報を提供しております。
PFAS土壌の分析方法は暫定法が通知されており、以下URLのメソッドに則ったPFAS土壌分析法で分析いたします。
▼土壌中の PFOS、PFOA 及び PFHxS に係る暫定測定方法
その他、EPA method 1633による40項目分析にも対応しております。
公定法としては現在米国で開発中の段階で、将来的には弊社でも対応できるよう開発中です。
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