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PFAS汚染マップは公開されている?環境省の調査結果と全国の実態

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投稿日:2025年2月27日

採水

PFAS(有機フッ素化合物)は、近年国際的に規制が進められている残留性有機汚染物質の一つです。

日本国内でも様々な地域で国が定める暫定目標値を超えるPFASが観測されているため、自身が住む生活圏の検出情報を知りたい方も多いでしょう。

この記事では、PFASの汚染状況を確認できるPFAS汚染マップの情報や、全国の環境調査の実態について詳しく解説します。

 

INDEX

 

PFAS(有機フッ素化合物)とは?

水 PFAS

PFAS(有機フッ素化合物)は、撥水性・撥油性・耐熱性などの特性を持つ化学物質で、主に工業製品の製造・加工等に使用されてきました。

しかし、化学的安定性の高さから環境中で分解されにくい特徴も持っており、飲料水や土壌に蓄積することで、人体への健康リスクが懸念されています。

特に、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)や、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、各国で規制が進められているPFASの一種です。

PFASについてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

 

 【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで

PFAS

 

 

 

PFAS汚染マップが必要な理由

調査員による採水

国内でも地下水からPFASが検出された等のニュースが多数報告されているため、PFAS汚染の報告がある場所について具体的な情報を知りたい方も多いでしょう。ここでは、PFAS汚染マップが必要とされている理由について説明します。

 

PFASが健康に与える影響

PFAS汚染マップが必要とされる理由の一つに、一部のPFASが環境や人体に与える影響への懸念があります。

2024年6月に公開された食品安全委員会の資料「有機フッ素化合物(PFAS)の食品健康影響評価について」によると、PFASが及ぼす健康リスクについて以下のように指摘されています。

 

  • 血清ALT値の増加、血清総コレステロール値の増加、ワクチンの抗体応答の低下に関して、関連は否定できないものの証拠は不十分である。
  • 出生時体重の低下への関連は否定できないものの、知見は限られており、出生後の成長に及ぼす影響についてはまだ不明である。

 

また、IARC(国際がん研究機関)によれば、PFOAは「グループ1(ヒトに対して発がん性がある)」、PFOSは「グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)」に分類されています。

PFASの有毒性については依然として研究段階ではあるものの、健康になんらかの影響を及ぼす可能性があることが指摘されています。

PFASが健康に与える影響については、こちらの記事もご覧ください。

 

 【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)の人体への影響は?

悩む女性

 

過去に高濃度の汚染があった

環境省は2020年に水質汚濁防止法の改正を行い、公共用水域と地下水に関してPFOS及びPFOAの暫定目標値を50 ng/Lと設定しました。

その後、全国の水域で水質中に含まれるPFASに関する検査等が実施されていますが、最近でも暫定目標値を超える濃度のPFASが検出された事例が報告されています。

例えば、2024年12月17日にさいたま市ホームページで発表された内容では、2024年11月6日に実施した測定調査において、浦和区内の一部の事業所敷地内にある湧水から18,000 ng/L(暫定目標値の360倍)のPFOSとPFOAが検出されました。さらに、その湧水が天王川雨水幹線に放流されていたことが明らかになっています。検出のあった事業所内ではPFOSとPFOAの取扱い実績なく、汚染源は不明とされています。

また、千葉県の市原市が2024年8月に平蔵川周辺200m圏内の井戸を調査した事例では、調査対象となる43本の井戸のうち、4本の地下水から最大11,000 ng/L(暫定目標値の220倍)にあたるPFOSとPFOAが検出されています。

公共用水や地下水から高濃度のPFASが検出されることで、汚染源の近隣で生活する住民にも健康的な被害を与える可能性が想定されます。

また、このような事例が発生すると、「自分たちが住む地域もPFASに汚染されているのではないか?」という不安を抱えながら生活しなければなりません。

 

 

全国のPFAS汚染状況は?

調査員による採取

全国のPFAS汚染状況を確認する場合は、情報の正確性を考慮して、官公庁が発表している資料等を参考にすることを推奨します。

ここでは、2020年に実施された全国のPFAS汚染調査資料の詳細や、PFAS汚染に対する措置、PFAS汚染マップについて紹介します。

 

水質の全国調査を実施している

環境省は、2019年と2020年に全国的なPFAS汚染調査として「有機フッ素化合物全国存在状況把握調査」を実施しました。

また、その後も水質汚濁防止法に基づいて「公共用水域等水質測定(常時監視)」を毎年実施しており、公共用水域のPFASを継続的に調査しています。

 

各水道事業者で測定している

日本では公共用水だけでなく、水道水に含まれるPFASに関しても継続的に測定を実施しています。

厚生労働省は2020年の水道法改正に基づいて、水道水中に含まれるPFOS及びPFOAの暫定目標値を50 ng/Lと定めて、各水道事業者等で管理するように通知しています。

水道水で暫定目標値の超過が確認された場合は、水質検査の強化や水源の切替、水処理技術の導入などの濃度低減化措置が要請されます。

あくまでも国の要請であるため、法的な強制力や罰則等はないものの、2020年以降も全国の水道事業者等で水道水中に含まれるPFASの測定は継続されています。

 

PFASマップ

 

国が公開しているPFAS汚染マップ

環境省が2023年に公開した資料「PFOS、PFOA の国内の検出状況」において、公共用水域等水質測定(常時監視)と、有機フッ素化合物全国存在状況調査の結果をまとめたマップが公開されています。

 

 

PFASが検出されたエリアを知ることも大切

PFASは化学的安定性が非常に高い化学物質です。そのため、河川や地下水を一度汚染すると、分解されずに半永久的に蓄積され続けます。

PFASに汚染されている水を生活用水として使用することで、自分でも気づかないうちに曝露するリスクもあるため、注意しましょう。

現在、全国各地で水質中に含まれるPFASを測定しており、各種データを確認することでPFASの曝露を防ぐのに役立ちます。ただし、誤った情報には十分に注意しましょう。

インターネット上には様々な情報が出回っていますが、中には正確性に欠ける情報も含まれています。誤った情報に惑わされないためにも、できる限り政府が公開しているPFASマップを確認して、自身の生活圏内の数値を確認することが大切です。

 

 

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記事の監修者

品質保証グループ

ユーロフィン日本環境株式会社 品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

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