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PFASは食品包装にも使用されていた?世界の規制動向と議論について

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投稿日:2024年9月30日

包装容器

1万種類以上の化学物質の総称であるPFAS(有機フッ素化合物)は、私たちの生活に身近な日用品にも多く使用されています。一部の企業では食品包装等にも使用されている可能性が指摘されており、健康への影響や使用のリスクに注目が集まっています。この記事では、食品包装におけるPFASの使用状況や規制の動向について解説します。

 

INDEX

 

 

一部の食品包装紙にはPFASが使用されていた可能性がある

サンドイッチやハンバーガーなどのファーストフードの包装紙には、持ち運びの利便性や食品の保存性を向上させることを目的に油や水を弾くコーティングが施されています。そのコーティング剤として、各国の法律で製造・販売・使用が規制されていないPFASが使用されている可能性があります。

現在、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)で規制の対象となっているのは、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)などの一部のPFASです。

ただし、規制対象以外のPFASにも、高い耐油性・耐水性を持つ化学物質はあります。日用品などへの使用事例も確認されており、外食業界においても同様に使用されている可能性が高いと推測できます。

 

かつてはPFOAが食品包装紙に使用されていた

食品包装紙には、かつてPFOAが使用されていました。PFOAは環境への長期滞留性と人体への影響の懸念から、2019年にPOPs条約によって原則的な製造と使用が国際的に禁止されているPFASです。

そのため現在では、食品包装紙の製造・流通の工程に関して、PFOAが意図的に含有されることはありません。

現在は食品業界を含む様々な業界で、PFOAなどの有害性が指摘される一部のPFASの代替物質が研究・開発されています。

 

紙コップを対象とした調査ではPFASは検出されず

PFASに関する研究や対策が盛んに行われているアメリカでは、多くの製品においてPFASの含有調査が実施されています。

2017年にアメリカの研究チームが実施したファーストフードの食品包装材についての調査では、全米で400点以上のサンプルを調査した結果、紙コップからのPFASの検出は確認されませんでした。

調査の対象となった複数のファーストフードチェーンにおいては、紙コップへのPFASの含有は一般的ではないと推測できます。

 

 

アメリカの食品包装におけるPFAS規制

街並み

PFASに関する研究が先進しているアメリカでは、国際的な規制に先立って食品包装におけるPFAS規制が議論されています。

 

FDAによる特定のPFASの含有規制

アメリカでは、FDA(アメリカ食品医薬品局)が食品包装に使用されるPFASの廃止に向けて、企業に呼びかけを行っています。その結果、2020年にFDAは多くの企業が特定のPFASを食品接触用途で販売することを自主的に停止したことを確認しています。

2024年には、食品包装用の耐油材として使用されるPFASがアメリカ国内で販売中止となったことを発表しました。

 

州ごとの食品包装のPFAS含有規制

アメリカでは州ごとに法律が定められており、PFASの規制に関しても州の裁量によって同様に定められます。食品包装に関しては、現時点でPFAS含有を規制している州があります。

カリフォルニア州では、PFASを含む食品包装・配布・販売を禁止する法律が2021年に議決されました。同法律は2023年から適用されています。

 

 

欧州で食品包装におけるPFAS不使用の議論が開始

ヨーロッパでは2023年に開催された欧州議会にて、包装廃棄物を減らすための規則についての見解を採択しました。

その中では、食品包装紙におけるPFASの使用を禁止する内容について述べられています。まだ規制の実施には及んでいませんが、今後どのように議論が進むのか注視する必要があります。

 

 

食品包装におけるPFAS不使用の自主取り組みも開始

ファストフード

食品包装におけるPFAS不使用が世界中で議論される中、米国の大手ファーストフードチェーンA社は、包装紙へのPFAS使用を全世界でやめることを宣言しました。また、別のファーストフードチェーンB社では、2025年までに食品包装に使用されるPFASを排除すると公表しています。企業の自主的な取り組みにより、食品包装における脱PFASが始まりつつあります。

 

 

日本の食品包装におけるPFAS規制動向

日本においては、特定のPFASは化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)にて原則的な製造と使用が禁止されています。そのため、食品包装においても特定のPFASは使用されていません。その代わりに、現時点で法規制されていないPFASは使用されている可能性があります。

日本国内で製造されている食品包装にどのようなPFASが含有されているか、その濃度などについては、詳細な調査が行われていないため不明です。

現在、内閣府が組織する食品安全委員会において、PFASに対するワーキンググループが結成され、人体の健康に及ぼす影響などについて議論されています。

 

 

PFASを含有する食品包装紙は問題視されつつある

アメリカやヨーロッパ諸国では食品包装におけるPFASの使用について議論が進んでおり、一部のPFASは人体に影響を与える可能性が示唆されていることから、企業側もPFASを使用しない方向に向けて動き出しています。

日本国内におけるPFASの製品使用に関する議論は、現状海外ほどは進んでいません。しかし、今後議論が活発化して研究が進むことで、将来的に化審法によるPFAS規制が厳しくなっていく可能性もあります。今後の動向に注視しましょう。

 

 

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記事の監修者

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

PFAS分析を行うユーロフィングループのネットワークを活かして、国内外の様々なPFASにまつわる情報を配信しています。

 

 

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