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PFOSの基準値とは?規制内容と国内の検出状況を調査

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投稿日:2024年7月24日

採水

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、日本を含めた世界中で規制が強化されつつある化学物質です。特に水道水や地下水などに含まれるPFOSは、日本独自に目標値等を定めて管理しています。この記事では、PFOSの規制内容や基準値について解説します。国内のPFOS検出状況や、海外における規制の実態について理解を深めましょう。

 

INDEX

 

 

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とは

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、私たちの生活の様々な場面で活用されてきた化学物質です。しかし、その特徴によって人を含む多くの動植物へ影響を及ぼすことが分かり、現在では製品の製造に使用されなくなりました。ここでは、PFOSの特徴や用途、健康に及ぼす影響について解説します。

 

PFOSの特徴

PFOSは、PFAS(有機フッ素化合物)の一種です。環境中で分解されにくく、高い蓄積性を持っているため、一度環境に放出されると周辺の土壌や河川、生物の体内などに長期間蓄積し続けます。

また、環境中へ放出されたPFOSは、分解されること無く長距離を移動できるのも大きな特徴の一つです。それによって、汚染が広範囲に拡大してしまう危険性を持っているのです。

 

PFOSの用途

PFOSは、撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を持っていることから、様々な用途で使用されてきました。

PFOSが使用された具体的な事例としては、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤などが挙げられます。

現在は、国内におけるPFOSの製造や輸入が規制されているため、それらの製品製造にPFOSが使用されることはありません。

 

PFOSが健康に及ぼす影響

PFOSが健康に及ぼす影響について、動物実験では、肝臓の機能や体重減少等に影響を及ぼす可能性が指摘されています。人間の場合は、コレステロール値の上昇、発がん、免疫系等との関連性が報告されているため、注意が必要です。ただし、体内への摂取量との関係性についてはまだ確定的な知見が無く、現在も国際的に研究が進められています。

 

 

PFOS規制の内容について

男性技術員

PFOSは世界中で規制の対象になっています。国際的な条約であるPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)では、PFOSが附属書Bに指定され、製造・使用・輸出入が制限されています。

また、国内では、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)に基づいて、2010年からPFOSの製造・輸入が禁止されました。

 

PFOSの水質基準値と現状は?

日本では水道水と地下水等において、それぞれPFOSの暫定目標値と指針値を設定し、全国的な調査を実施しています。ここでは、日本の水道水や地下水等におけるPFOSの現状について解説します。

 

水道水中のPFOS目標値と現状

厚生労働省では、2020年に水道水に含まれるPFOS及びPFOAの合計値を50 ng/L以下とする暫定目標値を設定して、全国の水道事業者等による管理をお願いしています。

2021年に実施した水道統計では、全国1,247地点の給水栓水のうち、2地点で水質管理目標値を超えるPFOS及びPFOAが確認されました。水質管理目標値を超えた地点では、当該水源からの取水停止、水源切り替え等の措置を講じています。

 

地下水等の水環境のPFOS指針値と現状

厚生労働省が水道水に含まれるPFOS及びPFOAの暫定目標値を設定した年と同年に、環境省も公共用水や地下水における指針値を、PFOS及びPFOAの合計値として50 ng/Lと定めています。

2021年に実施した公共用水・地下水質測定結果(常時監視結果)によると、公共用水域では816地点中38地点で50 ng/Lを超えるPFOS及びPFOAを観測。地下水では、317地点中43地点で50 ng/Lを超えるPFOS及びPFOAが観測されました。

 

 

世界のPFOS基準値と日本の比較

採水と試験管

世界各国でPFOSの規制は強化されています。諸外国の目標値を確認すると、日本の飲料水に対するPFOS及びPFOAの暫定目標値は、比較的厳しく設定されていることが分かります。

 

【各国の水道水中のPFOS目標値】
日本 50 ng/L(※PFOAとの合算値)
米国 4 ng/L
英国 100 ng/L
カナダ 600 ng/L
ドイツ 100 ng/L

 

EPA(米国環境保護庁)は、2024年4月に水道水中のPFAS規制について、PFOSとPFOAそれぞれの基準値を新たに4 ng/Lとすることを発表しました。米国が日本よりも厳しい目標値を設定したことで、国内におけるPFOS規制も今後大きく変化する可能性があります。 

 

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PFOS基準値を正しく理解して情報を精査しましょう

日本では、水道水と地下水等の環境において、PFOS及びPFOAの合算値で50 ng/Lという暫定目標値または指針値が設定されています。

2021年に地下水や公共用水で実施された水質調査では、多数の地点で指針値を超えるPFOSが検出されました。このような国内の調査事例や、海外での規制状況を受けて、指針値や目標値は今後見直される可能性があるかもしれません。PFOSを取り巻く現状を理解すると共に、その規制動向には今後も注意していきましょう。

 

 

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記事の監修者

eurofins

ユーロフィン日本環境株式会社
品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

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