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PFOSを含有する泡消火器とは?規制動向と背景について解説

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投稿日:2024年6月4日

消火、アクシデント

2009年のPOPs条約により、原則的な使用・製造が禁止されたPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)。日本国内でも「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」によって同様の処置が取られています。しかし、法律で規制される以前に製造されたPFOSを含有する泡消火器は世の中に残存しており、国でも取り扱いに関する遵守義務を定めています。

現在では、PFOSを含有する泡消火器はどのような状況にあるのでしょうか。この記事では、PFOSを含有する泡消火器を巡る社会動向と現在の状況について解説します。

 

INDEX

 

 

PFOSは泡消火器に使用されている?

PFOSは、2010年に化審法により基本的な製造と使用が禁止されました。法令を受けて、各メーカーも2010年4月までに製造を終了しています。

PFOSの用途は多岐に渡っており、その中の一つが業務用の泡消火薬剤です。燃料火災をはじめとした大規模な火災への効果が大きいことから、軍用基地・空港・石油コンビナートなどで使用されてきました。

急な代替や廃棄が難しいため、規制が強化された現代においても、例外的にPFOSを含有する消火器の使用が認められています。

一方で、一般的な家庭用の粉末消火器には使用されていません。現在ニュースで取り上げられているのは、業務用のスプリンクラー等で使用される泡消火薬剤であるため、情報の取り扱いには注意する必要があります。

 

PFOSを含有する泡消火器の在庫量推移

PFOSを含有する泡消火器の在庫量は、環境省が調査を実施しています。2016年に実施した調査では全国で396.4万 L、2020年に実施した調査では338.8万 Lであり、4年で約15 %減少しています。また、泡消火薬剤中のPFOS含有量は全国合計で17.82 tです。

 

PFOSを含有する泡消火器が残っている理由

PFOSを含有する泡消火器が残っている大きな理由として、コストの影響が挙げられます。業務用の泡消火器は、コンビナートや基地の火災に備えて設置されているため、膨大な数があります。

それらを交換・廃棄するには多額の費用がかかるため、現在も在庫が多い状況にあるのです。ただし、PFOSの消費期限が8年〜10年に設定されている消火器製品が多いため、今後は交換が迅速に進んでいくことが予想されています。

2020年には、全国の消防機関にPFOSを含有していない泡消火器へ変更するようにと、環境省から通達が出されました。今後新しい消火器への交換と流通が進むことで、徐々にPFOSを含有していない消火器が主流になるでしょう。

 

 

PFOSを含有する泡消火器の扱い方

消火栓

PFOSを含有する泡消火器の扱い方は、法令で定められています。化審法で定められているのは、以下の8つの項目です。

 

  • 保管
  • 移替え
  • 表示
  • 漏出処理措置
  • 点検
  • 訓練等における措置
  • 帳簿
  • 譲渡、提供

 

また、廃棄物処理法では、処理と収集運搬の方法が定められています。

PFOSを含有する泡消火器を保有・使用する企業は、環境への影響を考慮した法令を遵守する必要があります。

 

PFOSを含有する泡消火器の対象品番

PFOSを含有する泡消火器は、一般社団法人 日本消火器工業会が2013年に公表しています。PFOSを含有する泡消火器が100種類、泡消火剤が18種類です。例えば、以下のような表にまとめられています。(一部抜粋)

 

  製品名 消火器型式番号 容量(L) 充填薬剤
型式番号
販売者
1 機械泡 消火器 消第53~33号 3 薬第53~10号 (株)初田製作所
2 機械泡 消火器 消第54~8号 3 薬第53~10号 (株)初田製作所
3 機械泡 消火器 消第54~9号 6 薬第53~10号 (株)初田製作所
4 機械泡 消火器 消第54~10号 8 薬第53~10号 (株)初田製作所

参考:PFOS含有消火器一覧表|一般社団法人日本消火器工業会

 

PFOSを含有する泡消火器の保管方法

PFOSを含有する泡消火器は、保管方法が化審法によって定められています。具体的には以下の通りです。

 

  • 保管場所の指定。雨水等による流出を防止するために屋内保管。
  • 保管方法の指定。密閉式の堅固な容器で保管。PFOSの流出防止のため、床面をコンクリート又は合成樹脂等で被覆する。
  • 表示の規制。容器及び保管場所の見やすい箇所に、PFOS含有泡消火薬剤等ということを示す表示が必要。

 

さらに、定期的な検査も義務付けられています。半年から一年のサイクルで実施する義務があり、5年間分の記録が必要になります。

もし法令に違反し、改善命令を通達された後も改善がみられない場合、6ヶ月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処される可能性があります。

 

PFOSを含有する泡消火器の廃棄方法

PFOSを含有する消火器の廃棄方法も廃棄物処理法で定められています。廃棄する場合、その基準を満たす業者に依頼する必要があるので注意しましょう。

 

 

PFOSを含有する泡消火器に関する社会動向

テクノロジー

2009年にPOPs条約の附属書AにPFOSが記載され、日本国内でも化審法によってPFOSの原則的な製造と販売が禁止になりました。それを受けて、2010年4月1日よりPFOSを含有する泡消火器の製造と販売は行われなくなりました。

 

PFOS規制の歴史
2009年 POPs条約の第4回締約国会議で附属書Aに追加。原則的な製造と輸入が禁止
2009年4月 化審法公布。日本国内における原則的な製造と輸入が禁止
2010年4月 PFOS含有の消火器の製造・販売を終了

 

PFOSフリーの泡消火薬剤の開発

2010年にPOPs条約の附属書AにPFOSが追加されて以降、多くの消火器メーカー、化学メーカーはPFOSフリーの消火薬剤の開発に着手しています。現在、製造されている泡消火器には、PFOSの意図的な含有はなくなっています。

 

 

PFOSを含有する泡消火器はこれから代替が進む

PFOSの法的な規制を受けて、泡消火器へのPFOSの意図的な含有はなくなりました。また、各社でPFOSフリーの泡消火薬剤および消火器の開発が進んでいます。

PFOSを含有する泡消火器の消費期限は約10年であり、最後に製造されたPFOSが含有された泡消火器の交換時期にさしかかっています。そのため、今後の数年で泡消火器の交換が進むと予想されています。

 

 

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

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