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RoHS(ローズ)指令とはどんな規制なのか?10の対象物質を解説

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投稿日:2024年5月14日

古い電子機器リサイクル

EU諸国で販売される電気・電子機器製品を対象に定められているRoHS(ローズ)指令。各メーカーは製品に含有される化学物質の濃度を調査し、その上限を把握して守る必要があります。

環境に対する負荷が厳しく規制される近年において、メーカー関係者はよく耳にする機会も多いでしょう。しかし、RoHS指令は専門的な規則のため、前提知識がないと理解するのが困難です。

そこで本記事では、RoHS指令の規制内容や対象物質、他の規制との違いについて詳しく解説します。

 

INDEX

 

 

 

RoHS(ローズ)指令とは?

RoHS指令とは、EU諸国で販売される電気・電子機器に適用される規制です。

正式名称は、「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」といい、日本語に翻訳すると「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合指令」となります。

最終的な製品に適用され、法的な強制力を持ち、破った際の罰則も定められている規則です。

現在適用されているRoHS指令は、2回の改正を経て、10物質が規制されています。また、製品を市場へ投入する前に、RoHSへの適合性評価を実施し、適合宣言を行った上で「CEマーク(※EU加盟国の基準を満たした製品に付ける基準適合マーク)」を貼付することが必要です。            

 

RoHS指令は日本でも適用される?

RoHS指令は、ヨーロッパ圏およびEU加盟国の取引における規制です。そのため、日本で販売する電気・電子機器には適用されません。(※2024年2月現在)

ただし、日本で製造された製品をヨーロッパの国へ輸出する場合は規制の対象となるため、注意が必要です。

なお、日本で販売される電気・電子機器には資源有効利用法(資源の有効な利用の促進に関する法律)が適用されます。

 

RoHS指令を守らないとどうなる?

RoHS指令を守らず、EU当局に通告された場合、市場における商品の回収やリコール、輸入禁止、加盟国の国内法に基づき罰金などの刑を受けることになります。

その場合、ヨーロッパにおける企業ブランドのイメージ低下は避けられず、ヨーロッパにおける企業活動に多大な影響が発生する可能性が高くなります。

 

RoHS指令を守るために求められること

RoHS指令は、ヨーロッパで販売されるほぼ全ての電気・電子機器に適用されます。

新商品の場合、市場へ投入する前に調査を実施しますが、クリアした後も定期的な調査が必要になります。製品の輸出を行う場合は、下記2点を定期的に実施しましょう。

 

  • 最終製品でのRoHS調査
    RoHS指令は、最終製品に適用されます。もし1回規制をクリアしたとしても、完成する製品のロットによっては、化学物質の含有量が変動する場合があります。定期的に外部検査機関などで製品中のRoHS適合調査を実施するようにしましょう。

 

  • 部品の含有量調査
    最終製品でのRoHS指令適合のためには、製品に使用される部品の調査も必要になります。RoHS指令では均質物質、つまり「機械的に分離出来ない均一材料」を単位として、特定有害物質の含有が意図的、非意図的にかかわらず、最大許容濃度未満であることが規制されています。
    もし、基準値を上回る物質が部品に含有される場合、最終製品も基準値を上回る可能性があります。

 

そのため、それぞれの部品にどの程度の規制物質が含有されているのか、もしくは含有されていないのかを把握する必要があります。

部品単体での化学物質の含有量調査も定期的に実施しましょう。

 

 

RoHS指令で対象となる主な製品

修理

RoHS指令の対象となる製品は、AC1000 V、DC1500 V以下の定格電圧を持つ電気・電子機器です。具体的には、以下のようにカテゴリーが定められています。

 

製品カテゴリー 具体的な製品例
大型家電製品 冷蔵庫、洗濯機など
小物家電 ドライヤー、掃除機など
ITおよび通信機器 パソコンなど
消費者機器 デジタルカメラ、ビデオカメラなど
照明器具 照明など
電機・電子工具 インパクトドライバー、はんだなど
おもちゃ、レジャー、スポーツ用品 テレビゲームなど
医療機器 マッサージ機など
産業用監視および制御機器を含む監視および制御機器 感知器など
自動販売機
その他

 

RoHS指令の対象となる10物質

RoHS指令の対象となる物質は以下の10物質です。

物質名 濃度
0.1 wt%
水銀 0.1 wt%
カドミウム 0.01 wt%
六価クロム 0.1 wt%
ポリ臭素化ビフェニル(PBB) 0.1 wt%
ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE) 0.1 wt%
フタル酸ビス(2-エチルへキシル)(DEHP)            0.1 wt%
フタル酸ジブチル(DBP) 0.1 wt%
フタル酸ブチルベンジル(BBP) 0.1 wt%
フタル酸ジイソブチル(DIBP) 0.1 wt%

 

 

RoHS指令で適用除外となる有害物質

例えば規制物質項目の一つである鉛は、代替不可能な物質という理由で、用途により適用除外の条件が定められています。

物質名 濃度
鋼材に含まれる鉛 0.35 wt%
アルミニウムに含まれる鉛                                       0.4 wt%
真鍮に含まれる鉛 4 wt%

 

 

RoHS指令が制定されている理由

電子機器ごみ

RoHS指令は、電気・電子機器を廃棄する際に、人体・環境への有害な影響を少なくするために制定されました。成り立ちや改正の歴史についても理解しておきましょう。

 

RoHS指令の変遷

RoHS指令は、以下のように制定・改正が行われた歴史があります。

西暦 規制 内容
2003年 RoHS指令公布(通称:RoHS1)
2006年 RoHS指令適用 鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・ポリ臭化ビフェニル・ポリ臭素化ジフェニルエーテル6物質含有制限
2011年 RoHS指令の改正 指令の対象となる機器の拡大、CEマークの貼付の義務化
2015年 改正RoHS指令の改正(通称:RoHS2) フタル酸4物質の含有制限を追加
2019年 RoHS2の適用開始

 

RoHS指令と他の規正との違い

ヨーロッパにおいて、RoHS指令と混同されやすい法令として、WEEE指令とREACH規則があります。これらの違いについても正しく理解しましょう。

 

RoHS指令とWEEE(ウィー)指令の違い

WEEE指令は、RoHS指令と同時に公布された、ヨーロッパにおける電気・電子機器のリサイクルに関する法律です。

正式名称は、「Directive on Waste Electrical and Electronic Equipment」といい、日本語では「電気電子機器廃棄物指令」となります。

RoHS指令は生産時の有害物質の含有量に焦点を置いていますが、WEEE指令はリサイクルやリユースを推進することで廃棄量を減らすことに焦点を置いています。

 

RoHS指令とREACH(リーチ)規則の違い

REACH規則は、2007年に公布されたヨーロッパにおける化学品の情報登録に関する規則です。

REACHとは「Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals」の頭文字をとったもので、化学物質の登録、評価、認可、制限の制度です。

特定の物質の使用制限や、使用のための認可、及び使用する化学品の総量を報告する規定があります。こちらは電子・電気製品だけではなく、ヨーロッパで販売される製品の全てが対象です。

 

 

RoHS指令の内容は今後変化する可能性あり

RoHS指令は、これまで2度にわたって規制内容が改正されています。化学物質が人体や環境に与える影響の研究は日進月歩で進んでいることから、今後も規制の内容が変化する可能性も考えられます。将来的にEU諸国で製品の取引を行う可能性がある場合は、法規制の内容や罰則についての動向を細かく確認しておきましょう。

 

 

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記事の監修者

ユーロフィン・プロダクト・テスティング株式会社 金子 貴義さん

ユーロフィン・プロダクト・テスティング株式会社

代表取締役 金子 貴義 

<経歴>

大学卒業後、環境調査・検査業界に15年余従事、2015年より現ユーロフィン・プロダクト・テスティング株式会社にて工業製品の環境負負荷物質管理に携わったのち、2019年よりPFAS等化学物質や食品包装等の海外法令調査・コンサルティングの実施、および管理に従事。

 

 

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