JavaScript is disabled. Please enable to continue!

Mobile search icon
PFAS分析(PFOS/PFOA/PFHxS等) >> PFAS MEDIA >> TSCAの規制内容とは?法律の概要や報告の必要性について解説

TSCAの規制内容とは?法律の概要や報告の必要性について解説

Sidebar Image

投稿日:2024年5月21日

商品の検品

米国との輸出入をする際に理解しておくべき法律の一つがTSCA(有害物質規制法)です。事前にこの法律を理解しておくことで、スムーズに米国との輸出入を行えるでしょう。

TSCAの規制対象となる化学物質は定期的に見直されており、最近ではPFAS(有機フッ素化合物)もデータ報告規制の対象となりました。

この記事では、TSCAの規制の内容や報告すべき情報について、分かりやすく解説します。

 

INDEX

 

 

TSCA(有害物質規制法)とは

アメリカと裁判

TSCAの概要を理解するには、規制対象となる化学物質のインベントリーやEPA(米国環境保護庁)との関係を把握しておく必要があります。ここでは、TSCAの基本的な情報について詳しく解説します。

 

TSCAの概要

TSCAは「Toxic Substances Control Act(有害物質規制法)」の略称で、有害物質の製造や輸入を規制する米国の法律です。化学物質の製造もしくは輸入をする場合に必要な事前通知や許可取得の義務、情報提供義務などを定めています。

TSCAが公布されたのは1976年で、2016年に大幅な改正が実施されました。2016年の改正では、EPAの権限を強化するとともに、EPAによる既存化学物質のリスク評価等のアクションに期限を設けるなどの大幅な改正が実施されています。

 

TSCAのインベントリーとは

TSCAでは、規制対象となる物質リスト(インベントリー)を設定しており、約半年ごとに更新しています。

インベントリーを更新するのはEPAで、2024年3月時点での収載物質数が合計86,741物質で、そのうち42,293物質が現在米国で流通しているアクティブ物質です。

インベントリーには機密区分と公開区分があり、機密区分に掲載されている物質であれば、名称等は届出者以外に公開されません。2024年2月に実施されたインベントリー更新では、約900物質が機密区分から公開区分に移され、化学物質名が公開されました。

 

TSCAに基づくEPA(米国環境保護庁)の取り組み

これまでにEPAはTSCAに基づき、様々な規制を進めてきました。EPAの取り組みについては、以下の表をご参照ください。

TSCAに基づくEPAの主な取り組み
TSCAワーク・プラン 優先的にリスク評価すべき化学物質をリストアップして、順次評価を実施していく。
科学物質データ報告(CDR)制度 TSCAインベントリーに収載されている物質を一定量以上製造・輸入する者は4年ごとにEPAに報告する。
製造前届出(PMN) 新規化学物質を製造又は輸入する者は、90日前までにEPAに届出を提出して審査・承認を受けなければいけない。
重要新規利用規則(SNUR) EPAの定める重要新規利用のために化学物質を製造、輸入、加工しようとする者は、90日前までに重要新規利用届出(SNUN)を提出しなければいけない。

 

 

米国向け輸出の際にはTSCAに注意

コンテナを確認する2人の男性

米国へ化学物質を輸出する際には、事前にTSCAをはじめとする各種関連規制の内容を理解しておく必要があります。ここでは、米国へ輸出する際に注意すべきTSCAの規制について解説します。

 

TSCAによる輸入規制

TSCAでは、化学物質を「既存化学物質」と「新規化学物質」に分類して、商業用に米国で製造・加工・輸入される物質を規制しています。

既存化学物質とは、TSCAのインベントリーに収載されている化学物質のことで、公開区分に分類されている物質には「CAS登録番号」が記載されています。

新規化学物質とは、インベントリーに収載されていない化学物質で、この化学物質を製造・輸入する米国内の輸入者は、90日前に製造前届出(PMN)をEPAに提出しなければいけません。ただし、一部の要件を満たせばPMN提出を免除できる「PMN免除規則」もあります。

 

TSCAのデータ報告規則にPFASが含まれる

EPAは、2023年1月にTSCAインベントリー収載で、インアクティブ物質として特定されている300種類以上のPFASに対して重要新規利用規則(SNUR)の提案規則を公表しました。

この決定によって、該当するPFASを輸入・製造・加工する際には、90日前に重要新規利用届出(SNUN)をEPAに提出することが求められるようになりました。

また、2023年11月にはPFASの報告規則も発表されています。この規則によって、2011年から報告対象のPFASを製造・輸入した者には、1年後の2024年11月以降に製造量や輸入量などの内容を報告することが求められます。

 

 

TSCAに提出する3つの届出書類

メモを取る女性

TSCAに基づいて、該当する化学物質を製造・輸入する米国内の事業者は、主に以下の3つの対応が必要とされています。

 

TSCAに基づく3つの届出書類
新規化学物質の製造前届出(PMN) 一部の届出免除物質を除き、新規化学物質を製造・輸入する90日前までに届出。
重要新規使用届出(SNUN) 重要新規利用規則(SNUR)適用物質を、指定された条件以外で製造するか指定された用途以外で使用する場合は、90日前までSNUNを提出。
実績報告(CDR) 年間25,000ポンド以上製造又は輸入された物質、2,500ポンド以上製造又は輸入されたSNUR適用物質等の個別に規制される物質について4年ごとに報告。

 

 

米国向けに輸出する際にはTSCA規制に要注意

米国へ輸出する際には、TSCAの規制内容について十分理解しておく必要があります。

TSCAのインベントリーは半年ごとに見直されるため、規制対象となる化学物質の変化には注意しておきましょう。

特に世界中で規制が強化されつつある化学物質の一つPFASは、今後TSCAによる輸入規制が強くなる可能性もあります。

ビジネスの過程で米国へ輸出する機会がある企業は、TSCAに関する最新の情報に注意しつつ、規制対象になっている化学物質の検査等も視野に入れて動向を注視しましょう。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析については

こちらからお問い合わせください

お問い合わせ

 

 

記事の監修者

eurofins

ユーロフィン日本環境株式会社
品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

関連記事

 

EPA記事

EPA(米国環境保護庁)はどんな組織?PFAS規制の内容と併せて解説

アメリカのPFASの規制を知る上で重要な組織であるEPA(米国環境保護庁)。どのような組織で、具体的に何を行っているのかをわかりやすく解説。

 

 

PFAS MEDIA TOPに戻る→


【参考資料】