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化審法のPFOA規制はいつから施行された?規制の内容や法律改正の動向

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投稿日:2024年11月6日

実験風景

日本において、人体や生物に影響を及ぼす化学物質を規制するための法律として、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)が制定されています。

PFAS(有機フッ素化合物)の一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)も同法により規制されており、製造・輸入等が原則として禁止されています。

今回の記事では、化審法のPFOAに対する規制を中心に、関連性の高いその他のPFASの扱いや規制の範囲・対象、エッセンシャルユースなどについて詳細に解説します。

 

INDEX

 

 

化審法とPFAS(有機フッ素化合物)の関連性

実験を行う女性

 

化審法とは「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の略称で、人体・生物への被害を防止するために、化学物質の製造・輸入・使用等に関して規制を行う趣旨で設けられた法律です。

「元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物」を規制対象としており、PFASもこの中に含まれます。

ただし、食品衛生法や薬機法など他の法律の規制対象となる化学物質については、化審法に基づく届出等が不要となる場合もあるのが特徴です。

また、同じ化学物質でも一定の用途で使われる場合は届出等が不要になりますが、それ以外の場合は必要になるなど、状況によって扱いが異なる点に留意する必要があります。

 

 

化審法の規制対象になるのは一部のPFASのみ

PFAS

PFASの中でも化審法の規制対象となっているのは、一部の化学物質のみです。前提としてPFASは炭素とフッ素が結合した有機化合物であり、その種類は1万種類以上にものぼると言われています。

そして、PFASに分類される物質の中でも、フライパンのコーティング剤として利用されるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のように、特段には人体・生物に対する影響が指摘されていないものが多数あるのも実情です。

2024年8月現在、化審法においては以下の3つのPFASに分類される物質が規制対象となっています。

 

  • PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
  • PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
  • PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)

 

これらの物質に対しては、各都道府県による水道水への含有量の定期的なモニタリング、製造・使用・輸出・販売への厳しい規制などにより、対策が行われています。

 

 

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)とは?

PFOAは、PFASの一種であり、分子の中に炭素が8つ含まれていることから「C8(シーハチ)」と呼ばれることがあります。撥水性・撥油性に優れる特徴があり、主に以下のような製品の製造・加工等で使用されてきました。

 

  • 泡消火薬剤
  • 繊維
  • 電子基板
  • 自動車
  • 食品包装紙
  • 石材
  • フローリング
  • 皮革
  • 防護服

 

ただし、人体や生物に対する有害性や、分解されにくく環境中に長期間残留する性質が危惧され、2019年5月にはPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)による規制対象物質(附属書A:廃絶対象)に指定されました。

 

【関連記事】PFOAとは?人体への影響や各国の動向、法規制の情報について

地球儀

 

 

PFOAは2021年に化審法の第一種特定化学物質に

禁止、注意のマーク

PFOAがPOPs条約によって2019年に廃絶対象の物質に指定されたことを受けて、日本でも2021年に化審法の第一種特定化学物質として指定されました。具体的には、以下のような規制が敷かれています。

 

  • 製造・輸入の禁止
  • 特定用途での使用禁止
  • 環境管理基準
  • 回収命令

 

また、以下の製品について「PFOAまたはその塩」が使われている場合は、輸入ができません(化審法施行令第7条)。

 

  • 耐水性能又は耐油性能を与えるための処理をした紙
  • はつ水性能又ははつ油性能を与えるための処理をした生地
  • 洗浄剤
  • 半導体の製造に使用する反射防止剤
  • 塗料及びワニス
  • はつ水剤及びはつ油剤
  • 接着剤及びシーリング用の充塡料
  • 消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤
  • トナー
  • はつ水性能又ははつ油性能を与えるための処理をした衣服
  • はつ水性能又ははつ油性能を与えるための処理をした床敷物
  • 床用ワックス
  • 業務用写真フィルム

 

なお、一般化学物質であるPFOAの異性体とその塩については、化審法第8条の規定に基づき、毎年度、前年度の製造・輸入数量等の届出が義務付けられました。異性体とは、分子式が同じで構造が異なる化合物を指します。

PFOAの異性体とその塩は、一般化学物質の届出制度が開始された2010年度以降の製造・輸入実績はなく、今後の製造・輸入・使用を予定している事業者はありません。

 

 

化審法で規制対象に指定されるその他のPFAS関連物質

PFASのうち、本記事で取り上げたPFOA以外では、PFOS、PFHxSおよびその塩が、現状の化審法における規制対象物質となっています。

PFOSは高い耐熱性、耐薬品性を誇ることから、製造条件の厳しい半導体の製造や電子機器の製造工程等で多用されてきました。一例として、以下のような製品に使われています。

 

  • 半導体用反射防止剤・レジスト
  • 金属メッキ処理剤
  • 泡消火薬剤

 

PFOSは2010年4月に化審法における第一種特定化学物質に指定され、一部の用途を除いて製造・輸入等が原則禁止されました。その後、2017年には例外用途も廃止され、全ての用途で製造・輸入等が禁止されています。

また、PFHxSは、PFOAやPFOSの代替物質として用いられてきた化学物質です。撥水性と撥油性に優れており、熱に強く、耐久性が高いことから、以下のように様々な製品に使われてきました。

 

  • 泡消火薬剤
  • 金属メッキ
  • 織物
  • 革製品及び室内装飾品
  • 研磨剤及び洗浄剤
  • コーティング
  • 含浸/補強剤(湿気、真菌などからの保護用)
  • 電子機器及び半導体の製造

 

ただし、PFOAやPFOSと同様、人体や動物への影響の疑い、環境への残留性が危惧されたため、2024年2月に第一種特定化学物質に指定されています。

 

 

化審法のエッセンシャルユースについて

消火器

エッセンシャルユースとは、化審法における例外規定の一種です。第一種特定化学物質が製品の製造に不可欠であり、かつ、環境汚染のおそれがない場合に限り、例外的にその使用を認めることをいいます。

現状、指定されているエッセンシャルユースはありません。また、エッセンシャルユースではありませんが、PFOS等を含有する消火器・消火器用消火薬剤・泡消火薬剤については、以下の2点を遵守した状態での使用が容認されています。

 

  • 取扱上の技術基準の適合義務
  • 譲渡・提供する場合の表示義務

 

数量の多さと短期間での代替品への切り替えの困難さから設けられた措置ですが、可能な限りは早期に代替品への切り替えを行うのが望ましいとされているのが実情です。

 

 

化審法改正でPFOA関連物質が新たに追加

パソコンでデータ解析

2024年7月には、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されています。

これにより、「PFOAの分枝異性体又はその塩」についても「PFOAまたはその塩」と同様、製造・輸入の禁止等規制が敷かれるので注意が必要です。

 

 

化審法のPFAS規制は将来的に厳しくなる可能性がある

化審法によるPFASの規制は、将来的に厳しくなる可能性が十分にあり得ます。PFASの全てが人体に有害ではないものの、将来的に人体・生物に影響を与える化学物質が発見されることは十分に考えられます。

また、人体・生物に対する影響がなくても、難分解性の物質であることから、EUのようにより厳しい製造・輸出入の規制が敷かれる可能性も否定できません。

いずれにしても、化審法の管轄省庁である厚生労働省、経済産業省、環境省からの発表を中心に、最新の動向に常に注意を払いましょう。

 

 

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記事の監修者

品質保証グループ

ユーロフィン日本環境株式会社 品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

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