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EPA(米国環境保護庁)はどんな組織?PFAS規制の内容と併せて解説

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投稿日:2024年5月21日

EPA記事

日本において、PFAS(有機フッ素化合物)の規制は環境省が主体となって行われていますが、アメリカではEPA(米国環境保護庁)が主体となって進めています。同国におけるPFASの規制を知る上で重要な組織となるため、併せて押さえておきましょう。この記事では、EPAがどのような組織で、具体的に何を行っているのかをわかりやすく解説します。

 

INDEX

 

 

EPA(米国環境保護庁)とはどんな組織か?

EPA

EPAとは「Environmental Protection Agency」の略で、日本の環境省に相当する中央省庁のような存在です。司法捜査権を持つ捜査官をはじめ、水、大気、土壌、生物、衛生、法律などの専門官が在籍しています。

 

EPAの具体的な活動内容

EPAの具体的な活動内容は、日本の環境省や厚生労働省、農林水産省のように、人の健康および大気・水質・土壌などに関する環境の保護や保全を行うことです。具体的には以下の内容が含まれます。

 

  • 有害化学物質や廃棄物処理・管理に伴う汚染防止対策の立案・実行
  • 抗菌剤など、人の健康・生態系に影響を与える物質の管理・規制
  • 大気汚染、水質汚濁、残留農薬等による食品汚染の防止・対策
  • 化学物質目録の作成や環境問題に関する法律、改善計画の整備
  • 環境保護に関する調査や監視
  • 一般消費者、企業向けの情報提供や教育活動

 

 

EPAによるPFAS関連の規制動向

EPA

EPAではPFASに対しても、規制の立案を中心に様々な施策を講じています。ここからは主な施策に絞って解説します。

 

2021年2月:PFASの規制強化に意欲

アメリカでは2016年に当選したドナルド・トランプ大統領政権下の時代からPFASに関する規制を行ってきました。2019年には、EPAによりPFASを規制するための包括的国家アクションプランが発表されています。

大統領選の終了直後である2020年12月17日、ジョー・バイデン新大統領はPFAS規制の強化を公約に対する具体的な施策の第一歩として、マイケル・リーガン氏をEPAの長官候補として指名しています。

マイケル・リーガン氏は、ノースカロライナ州環境品質局 (DEQ)長官として、同州で起きたPFAS汚染の解決に尽力した実績がありました。
2021年2月3日に上院環境・公共事業委員会が実施した承認公聴会で、今後の方針として「PFASに関する排水上限や水質基準の設定を目指すこと」「具体的な規制が固まるまでは各州政府による対応を連邦政府として強力にバックアップすること」などを示しています。

 

2021年10月:戦略ロードマップを公表

2021年10月、EPAからPFAS戦略ロードマップ(PFAS Strategic Roadmap: EPA’s Commitments to Action 2021-2024)が発表されています。これは、2021年から2024年にかけて、EPAがPFASを規制するために行う具体的な取り組みについて説明したものです。細かい部分は省きますが、以下の5つのアプローチに基づき「PFASを有害物質排出目録(TRI)に追加する」などの様々な施策が盛り込まれています。

 

  • Consider the Lifecycle of PFAS(PFASのライフサイクルを考慮)
  • Get Upstream of the Problem(問題の源を捉える)
  • Hold the Polluters Accountable(汚染者の責任を追及)
  • Ensure Science Based Decision Making(科学的根拠に基づく意思決定の確保)
  • Prioritize Protection of Disadvantaged Communities(不利な立場にある地域社会の保護を優先)

 

2023年10月: 報告ルールの策定

戦略ロードマップに基づき、PFASに関する様々な規制が策定されましたが、その中でも特に重要な要素の一つが報告ルールです。2023年10月11日付官報(88 FR 70516、有害物質規制法(TSCA)8条 (a) (7) Reporting and Recordkeeping Requirements for Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl Substances)として公示されました。

この規則には、以下の内容が盛り込まれています。

 

  • 報告すべきPFASの範囲
  • 報告内容
  • 報告形式

 

なお、その他の米国の有害物質規制法に基づく報告規則では、小規模企業に対する報告の免除や、報告免除の閾値が設けられていることがあります。

報告がなくても甚大な影響が及ぶわけではないという観点に立っているためですが、PFASの報告ルールについてはこのような扱いはありません。つまり、企業の規模や扱う量に関係なく、PFASを業務で使う事業者であれば必ずこのルールに従わないといけないため、調査や事務処理の負担が大きくなります。

 

EPAのロードマップを日本語でわかりやすく要約しています。
ぜひこちらからダウンロード下さい。

EPA(米国環境保護庁)のPFAS対策 2021~2024年までの取り組みと目標 具体的な行動

 

 

PFASに関わる分析方法「EPA Method」も発表

EPAでは化学物質による汚染の実態を知るための分析方法「EPA Method」も策定しています。

 

EPA Methodとはどのような分析方法なのか

「EPA Method」とは、EPAが定める所定の手順に従って行う分析法です。所定の装置・試薬・カラム(※長細い配管に充填剤があり、配管の内壁に液相が塗られている物)を用意する必要があります。各分析法によって用意するものは異なります。

 

EPA Method 1633の特徴とは

「EPA method 1633」は、土壌・水質等に含まれるPFASを対象に、最大40項目を分析できる方法です。ユーロフィンでは「EPA method 1633」で国内初のISO17025認定を取得しました。

現状、日本国内では、3項目(PFOA、PFOS、PFHxS)に対してのみ公定法が設定されています。

公定法とは、政府や関連組織によって定められた正式な検査法のことで、法的な有効性を持つことから、品質保証や製品の安全性確認、法規制の遵守という意味では非常に重要です。

ただし、PFOA、PFOS、PFHxSに関するデータしか手に入らないため、多角的な解析には使いにくいのも事実です。一方で、「EPA method 1633」はPFOAやPFOS前駆体を多項目にて分析することが可能となります。これにより多角的な解析を行うことで、現状において公定法の対象となっていない物質についてもデータを入手できます。

公定法よりも高品質なPFAS分析を行いたい場合は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

EPAの規制動向には今後も注視すべき

メモを取る男性

アメリカは、PFASに対する規制をいち早く進めています。アメリカに生産拠点を構えて輸出入を行う日本企業が決して珍しくない以上、今後EPAがどのような規制を設けるかには注目する必要があります。情報は常にキャッチアップしておきましょう。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析については

こちらからお問い合わせください

お問い合わせ

 

 

記事の監修者

ユーロフィン日本環境株式会社 高藤 晋さん

ユーロフィン日本環境株式会社

横浜PFAS事業部 PFASグループ
セールス・マーケティングチーム

Manager 高藤 晋

<経歴>

2012年 University of Otago 微生物免疫学部卒
2015年 東海大学大学院 博士前期 修了
2019年 横浜市立大学大学院 生命ナノシステム研究科博士後期課程修了
2019年 株式会社ベリタスに入社し、オルガノイド関連商材の展開に携わる。2024年より現所属。

オタゴ大学では、食品微生物など、東海大学ではトランスジェニック植物を使用したホルモン作用の解析、横浜市立大学では植物ホルモン化合物の定量分析などを行っていた。

 

 

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