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PFOAは中国でも厳格な規制へ。法規制の流れと企業に必要な対応策

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投稿日:2024年6月26日

中国国旗 

世界的にPFOA(ペルフルオロオクタン酸)が規制されている中、中国でも規制が強化されています。特に中国国内に生産拠点を持っている企業は、中国で実施されているPFOA規制について理解を深める必要があります。この記事では、中国国内の規制に関する動向やニュース、PFOA規制の具体的な内容について解説します。

 

INDEX

 

 

PFOAは中国でも問題になっている

科学の発展

中国はPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の加盟国であり、国際的なPFAS(有機フッ素化合物)の規制に取り組む国の一つです。

そのため、中国国内でもPFOAに対する規制を強化する動きが強まっています。ここでは、中国におけるPFOA関連の動向について解説します。

 

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)とは

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、通称「ピーフォア」と呼ばれる化学物質でPFASの一種です。撥水性・撥油性や耐熱性、化学的安定性が高いことが特徴で、繊維や電子基盤、テフロンの合成材料、食品包装紙など多くの用途に使用されてきました。

難分解性、高蓄積性、長距離移動性などの特性があり、一度自然界に放出されると半永久的に残存し続けることから、POPs条約で付属書A(廃絶対象)に指定され世界中で規制されている化学物質です。

PFOAについては、こちらの記事も参照ください。

 

 【関連記事】PFOAとは?人体への影響や各国の動向、法規制の情報について

地球儀

 

二枚貝の缶詰が健康上の懸念となる可能性

中国産の食品からPFOAが検出された事例として、FDA(米国食品医薬品局)が公開した以下のような結果があります。
2022年に小売店で収集された魚介類サンプルに含まれるPFASの検査を実施。その検査結果には、中国産のアサリ缶詰のサンプルからPFOAが検出され、その推定曝露量が健康に影響を及ぼす可能性が高いと判断されたことが記載されています。(缶詰の販売事業者2社はFDAによる検査結果を知り、自主回収を行っています)

また、この結果では、アサリに限らずカキ、ムール貝、ホタテ貝などの二枚貝についても、他の魚介類より多くの環境汚染物質を蓄積しやすい点が指摘されています。

 

 

中国政府もPFOAの本格的な規制に乗り出す

工事現場の男性

中国国内では、PFOAの問題について継続的な取り組みが行われてきました。2001年にPOPs条約に署名し、国内では主に「中国厳格制限有毒化学目録」を通じて、PFAS規制を実施しています。ここでは、中国で実施されているPFOA規制の内容について詳しく解説します。

 

「重点管理対象新汚染物質リスト(2023年版)」により禁止へ

中国の生態環境部は、2023年に「重点管理対象新汚染物質リスト(2023年版)」を公表しました。この重点管理対象新汚染物質リストでは、新たに5種類の化学物質が追加され、その中にはPFOAも記載されています。このリストに掲載されている化学物質は、特定の用途を除いて製造・加工・輸出入の禁止や廃棄等を実施する必要があります。

2023年以前に公開されてきた重点管理対象新汚染物質リストには、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)等が記載されているにもかかわらず、PFOAの名前が記載されていませんでした。2023年に初めてPFOAの名前が記載されています。

 

PFOSについては2019年にすでに禁止済み

PFOAと同じPFASの一種であるPFOSは、2019年に公開された重点管理対象新汚染物質リストに含まれており、PFOAよりも先に規制対象物質となっています。

2020年度版中国厳格制限有毒化学目録以降では、PFOSの輸出入を行う際には「有害化学物質輸出入環境管理通知書」が必要であり、その用途についてはPOPs条約の許可用途であることが定められました。

 

 

中国への輸出はPFOA非含有を証明することが重要

世界的にPFASを規制する動きが強まる中、中国でもその動きが強まっています。PFOAに関する法規制は強化されており、2023年以降に中国国内で製造・加工・輸出入を行えなくなりました。

特に中国との輸出入を行っている日本企業は、中国のPFOA規制による影響を受ける可能性が高くなります。日本国内ではすでに製造や使用が禁止されていますが、今後中国へ輸出を行う際には、製品の含有量測定や、サプライチェーン全体で非含有を宣言するなどの対応を求められる可能性があるため注意しましょう。

 

 

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記事の監修者

ユーロフィン日本環境株式会社 関 友博さん

ユーロフィン日本環境株式会社

横浜PFAS事業部 PFASグループ 
研究開発チーム

技術顧問 関 友博

<経歴>

1986年 岩手大学農学部農芸化学科卒業
大学卒業後、青年海外協力隊としてケニアに赴任し、大学で食品分析を教える。

1990年 株式会社カナポリ入社(後の日本環境株式会社)
環境中有害物質の分析業務や研究所の立上げ・設計、MLAP認定・ISO17025試験所認定の取得などに従事。

2011年からは東日本大震災に伴う放射線・放射能の調査・測定・分析体制の立上げ、2012年には遺棄化学兵器処理に関わる環境管理のコンサルティング業務を統括。

ユーロフィングループの傘下に入ってからは、ユーロフィンジャパン全体の環境・食品部門の品質管理を行い、現在はPFAS分析の立上げや国内分析法・EPA Method・ISO法等の導入を指導。

 

 

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