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ヨーロッパ(EU)でのPFAS規制内容は?各規制の対象と日本への影響

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投稿日:2024年10月11日

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ヨーロッパはアメリカ合衆国と並び、国際的なPFAS規制において影響力のある地域です。日本国内におけるPFASを巡る規制動向は、ヨーロッパを含む欧米諸国の影響を大きく受けている部分があります。化学物質の取り扱いに関連する国内の法律に対処するためにも、EUの動向を知っておくことは非常に重要です。この記事では、ヨーロッパでのPFAS規制の内容と日本への影響について解説します。

 

INDEX

 

 

PFASの概要と規制される理由

分析風景

PFAS(有機フッ素化合物)とは、炭素とフッ素を人工的に合成して作った化学物質です。PFASには難分解性・高蓄積性・長距離移動性といった性質があり、一度環境中に放出されると永続的に存在し続けることから「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」とも呼ばれています。

近年の研究によって一部のPFASが人体の健康に影響を及ぼす可能性が指摘されていることから、世界中でPFASを規制する動きが強まっています。

PFASについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

 【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?問題視される理由や具体的な規制を解説

PFASとは

 

 

ヨーロッパでの製造・輸出・使用に関するPFAS規制

管理者

ヨーロッパ諸国のPFAS規制は、EUが主導している規制と、各国で独自に実施している規制があります。今回はその中でも、ヨーロッパ全体に影響を及ぼすPFAS規制の内容を中心に解説します。

 

欧州からの指令によってPFOSは販売、輸入、使用が禁止

PFASの一種であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)を含む製品の販売や輸入、使用については、2006年の欧州からの指令(2006/122/EC)によってEU域内での販売、輸入、使用が禁止されています。

この指令の対象となるのは、重量比で0.1 %以上のPFOSを含む製品や部品、半製品です。ただし、フォトレジスト、反射防止膜、金属メッキ、航空機用作動油は適用除外用途となっています。

 

REACH規則によるPFOA規制

REACH規則とは、欧州における化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限に係る制度です。REACH規則で規制の対象となるのは、以下3つの項目になります。

 

  • 物質そのもの
  • 調剤中の物質
  • 成形品中の物質

 

2017年にREACH規則の制限対象物質リスト(附属書ⅩⅦ)が修正され、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)とその塩及びPFOA関連物資の使用制限が追加されました。その後、2020年には規制の適用が開始されています。

この規制によって、PFOAとその塩を使用した製品については、25 ppb未満であることが求められます。また、PFOA関連物質単体又はその組み合わせの場合は、約1,000 ppb未満でなければいけません。

 

ヨーロッパ各国の製造・使用に関する規制状況

ヨーロッパでは、EUの規制とは別に各国が独自に行っている規制もあります。

例えばノルウェーでは、製品管理法に基づいて、PFOS及び関連化合物を0.0005 %重量以上含む含浸剤及び消火薬剤や、1 μg/㎡以上含む繊維・コーティング剤に対して、製品の製造、輸出入、販売及び使用を制限しています。

また、PFOA又はその塩に関しては、製品中の含有量が規定される限界値又はそれ以上である場合に、消費者製品の製造、輸出入及び販売を禁止しています。

ノルウェーにおけるPFOA又はその塩の限界値とは、0.005 %重量以上含む調剤、0.1 %以上含む製品又はその部品、1 μg/㎡以上含む繊維・コーティング剤のことです。

そのほか、ドイツや英国などヨーロッパ内の他の国でも、独自にPFOSやPFOAを規制する法律を定めています。

 

ヨーロッパにおける今後のPFAS規制動向

ECHA(欧州化学品庁)は、2023年2月に約1万種類のPFASを全面的に規制対象とする規制案を発表しました。

この規制案は、デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの当局によって準備されたものです。この規制案が採用された場合、18ヵ月の移行期間に加えて、特例としてさらに5年間又は12年の猶予期間が提案されています。

PFOS・PFOA以外にも、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)やPFCAs(ペルフルオロカルボン酸類)の規制も進められています。EUでは、2023年8月以降にPFHxSを附属書Ⅰに記載しています。また、2023年2月25日よりPFCAs(C9~C14)の上市が制限されています。

仮にこの規制案が実行された場合、ヨーロッパ諸国との輸出入に大きな影響を及ぼすことが予測されるため、今後の動向を確認しておくことが重要です。

 

 

EUの動向が国内にも影響する可能性が高い

女性管理者

日本の食品安全委員会では、PFASのワーキンググループを設置してリスク評価を実施しています。このリスク評価は国外の研究データ等を参考にしたものであり、ECHAやEFSA(欧州食品安全機関)が発表したデータも参考にされています。

また、環境省が公開するPFAS関連資料の多くで、ECHAやEFSAなどの資料が参考資料として記載されています。

食品安全委員会や関係省庁がヨーロッパの研究機関の資料等を参考にしていることから、将来的に日本の法律もヨーロッパの規制の影響を大きく受ける可能性は高いといえるでしょう。

 

 

ヨーロッパのPFAS規制の最新情報を確認しましょう

ヨーロッパへの輸出入を行っている企業は、ヨーロッパのPFAS規制について注意が必要です。常に最新情報を確認して、早めに対策を講じておきましょう。

化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)等の日本の法律もヨーロッパのPFAS規制の影響を受けて改正される可能性があるため、特に輸出入を行わない企業であっても最新情報を知っておく必要性が高くなっています。

ヨーロッパ諸国と直接取引関係がある企業はもちろん、国内でPFASを取り扱う可能性がある企業も国際的な規制動向を調べておきましょう。

 

 

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記事の監修者

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

PFAS分析を行うユーロフィングループのネットワークを活かして、国内外の様々なPFASにまつわる情報を配信しています。

 

 

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