JavaScript is disabled. Please enable to continue!
Mobile search icon
PFAS MEDIA >> 世界のPFASニュース >> 化審法とはどんな法律?役割や化学物質の対象範囲、PFASの分類について

化審法とはどんな法律?役割や化学物質の対象範囲、PFASの分類について

Sidebar Image

投稿日:2024年9月9日

化学薬品と規制

多くの化学物質は汎用性の高さから工業的な用途で幅広く使用されてきた歴史がある一方で、公害による環境汚染や健康被害など様々な問題を起こしてきました。

適切な条件や用途を守って化学物質を使用するために、世界各国では化学物質の取り扱いを定めた法律が制定されています。

今回は日本における化学物質の運用を定めた法律、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)について詳しく解説します。

 

INDEX

 

 

化審法とは?

法律を守る

化審法は1973年に公布された法律であり、正式名称を「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」といいます。

化審法は、人の健康を損なう恐れや動植物の生息・育成に支障をきたす恐れのある化学物質による環境への汚染防止を目的に制定され、化学物質の製造や輸入に関する審査、製造や使用等についても必要な規制を行う役割を担っています。

 

化審法が成立した背景

化審法が成立した背景には、PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境汚染があります。PCBは化学的に安定した物質であり、電気の絶縁性も高いため、柱上変圧器の絶縁油などに使用されてきました。
このPCBが製造工程で食用油に混入し、ダイオキシン類へと変化。この食用油を摂取した人たちに健康被害が起きた1968年の「カネミ油症事件」をきっかけに、国民の中で化学物質汚染への危機意識が高まります。
このような背景のもと、化審法は成立しました。化審法は新規化学物質に関して事前審査を設けており、成立当時は世界に先駆けた斬新な法律として知られていました。

 

化審法によって行われること

化審法の役割は大きく3つあります。1つ目は新規化学物質の事前審査です。これは、新たに製造、輸入される化学物質に対して行われます。
2つ目は、市場に投入された後の化学物質の継続的な管理措置を行うことです。製造及び輸入数量の把握を行うとともに、有害性情報の報告などに基づいたリスク評価が行われます。
3つ目は、分解性や蓄積性、毒性、環境中での残留状況など、化学物質の性質や状態に応じた規制と措置の実施です。
特に毒性などの有害性が強い化学物質の場合は、「第一種特定化学物質」に指定されます。特定化学物質に指定されると、製造及び輸入数量の把握と有害性調査の指示が出され、製造や輸入許可及び使用の制限などが課せられます。

 

化学物質の届け出義務と違反した際の罰則

化審法では、化審法に基づいて管理されている既存化学物質名簿等に記載されていない新規の化学物質を製造もしくは輸入しようとした場合、事前に届け出をしなければなりません。
届け出された新規化学物質についての性状や毒性などが国によって審査され、規制対象になるかどうかが判断されます。この時、判定が出るまでは製造や輸入は禁止されます。
違反した場合は、懲役もしくは罰金刑、またはこれらが併科されることになります。罰金は責任者に対して課されるほか、法人も対象であり、法人には最大1億円と非常に高額の罰金が科される可能性があります。

 

 

化審法の体系

化学薬品の危険性

化審法の枠組みでは、化学物質の環境や人体への影響を評価し、適切な管理を行うためのプロセスが明確に規定されています。具体的な実施内容を詳しく見てみましょう。

 

新規化学物質を事前審査

既存化学物質名簿等に記載されていない新規化学物質を製造もしくは輸入する場合には、事前に届出を行い、審査を受ける必要があります。

審査は以下の手順で行われます。

  1. 新規化学物質の届出
    製造者または輸入者は、新規化学物質の製造または輸入に先立ち、所定の届出を行います。
  2. 事前審査
    届出に基づき、当該化学物質が以下の性状を有するかどうかが審査されます。
    • 難分解性:自然的作用による化学的変化が生じにくいこと
    • 高濃縮性:生物の体内に蓄積されやすいこと
    • 長期毒性の恐れ:継続的に摂取される場合に人の健康を損なう恐れがあること
  3. リスク評価
    新規化学物質が環境及び人の健康に対してリスクがあるかどうか調査され、最終的にどの程度のリスクがあるか評価されます。

 

危険性ごとに分類

事前審査の結果により、新規化学物質は以下のいずれかに分類されます。

 

分類 特徴
第一種特定化学物質 特に有害性が高く、人の健康や環境に対するリスクが大きいと認められる化学物質
第二種特定化学物質 第一種よりも有害性は低いが、一定のリスクを有する化学物質
監視化学物質 リスクが完全に明らかにはなっていないが、注意が必要とされる化学物質
優先評価化学物質 環境中の広範囲に残留しており、有害性をもつ可能性がある化学物質
一般化学物質 上記のどの分類にも属さない化学物質

 

この分類により、各化学物質の特性や潜在的なリスクに応じた適切な管理が可能となります。

 

PFAS(有機フッ素化合物)の分類は?

化審法におけるPFASの分類ですが、PFASの中のPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)が2010年に第一種特定化学物質に指定されています。PFOSは2018年に化審法の政令改正により、全ての用途で原則製造及び輸入等が禁止されました。

PFOSの次にPFOA(ペルフルオロオクタン酸)が2021年に第一種特定化学物質に指定され、原則製造及び輸入が禁止されました。

2024年2月にはPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)が第一種特定化学物質に指定されており、第一種特定化学物質に指定されるPFASは今後増えていく可能性があります。

 

情報はデータベースとして一般公開

化審法に基づき審査された化学物質はデータベース化されており、製品評価技術基盤機構が運営する化審法データベースに情報が記載されています。
化学物質の安全性に関する情報を広く公開することにより、企業や地域社会が化学物質のリスクに関する情報を共有し、リスクコミュニケーションを行うことに役立っています。

 

 

化審法の運用について

項目を確認する

化審法は、化学物質に関連する健康被害、環境被害、産業利用等を網羅的に管理するため、関係する複数の省庁がそれぞれの分野で運用しています。このため、化学物質の規制は多方面にわたる複雑なシステムとなっています。

 

化審法を運用している省庁は?

化審法を運用する省庁は、経済産業省、環境省、厚生労働省の3つがあります。それぞれの運用目的について解説します。

経済産業省
化学産業の観点から、産業の健全な発展を促進するための規制と支援を行う

環境省
環境保護の視点から、化学物質による環境汚染を防止するための管理を担当

厚生労働省
公衆衛生の観点から、化学物質による国民の健康被害を防ぐための管理を担当

各省庁はそれぞれの専門分野から異なる視点で化学物質を管理しており、各省庁が連携することで国民の健康と自然環境の保護を実現しています。

 

 

化審法は化学物質から身を守るための重要な法律

NO PFAS

化審法は、新規化学物質の審査を通じてそのリスクを評価し、化学物質が安全に使用されるための基準を提供する包括的な法律です。審査の結果はデータベースを通じて公開されるため、企業・メーカーや消費者に提供される情報の透明性が確保されています。

化審法はPFOSやPFOAなどの有害性が確認されるPFASから人々や環境を保護するために、重要な役割を果たしています。

化審法による審査結果を注視することで、どのPFASにリスクがあるかを把握し、適切な対策を講じることができます。引き続き化審法の最新の評価結果に注視しましょう。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析については

こちらからお問い合わせください

お問い合わせ

 

 

記事の監修者

eurofins

ユーロフィン日本環境株式会社
品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

関連記事

2人の男性調査員の採取

日本のPFAS規制の現状は?国内の動向や各省庁の取り組みについて解説

規制に関する最新情報や今後の方向性などが注目されているPFAS。日本におけるPFAS規制動向や各省庁の取り組みについて解説

女性製造業者

これまでのPFAS規制の歴史と動向は?現状と今後の規制を予測

国内でもの進められているPFAS規制。この記事では、POPs条約と化審法に注目して、これまでのPFAS規制の歴史と今後の動向予測について解説。

 

 

PFAS MEDIA TOPに戻る→


【参考資料】