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複数点採取試料について

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はじめに

現在、アスベスト分析方法を定めたJISA1481は、主に1点採取を実施するJISA1481-1法と、3点採取を実施するJISA1481-2法に分かれています。
このうち、3点採取するJIS-2法において、3つの異なる建材を”混合して”分析するようお客様からご依頼をいただくことがございます。

本来、複数箇所採取した試料を混合してご依頼いただく際には、同一建材であることが必要です。
弊社でも、“混合して”分析するようご依頼をいただいた試料を別々に分析した結果、分析結果が異なる事例もありました。
本ページでは、お客様へ間違いのないアスベスト分析結果をご報告するため、適切な複数点採取試料の試料送付についてご案内いたします。

 

 

複数点採取とは

複数点採取とは、3点採取を実施するJIS A 1481-2法の考え方を基にした採取分析方法です。

JIS-2法は前処理として「研削、粉砕、加熱等の処理」されます。
JIS-2法は石綿含有吹付け材や石綿含有仕上塗材のように石綿を添加攪拌し施工され含有する濃度にムラのある建材を対象とした採取分析方法であり、層のある成形板以外を対象とし、吹付け石綿・モルタル・タイル下地等のような層の無い試料に用いられます。

JIS-1法は成形板を含め様々な建材に用いられる方法で、層状態のそれぞれの層を取り出し分析するため、建材のどの層に石綿が含有するのか判別します。

「一部の層にのみ比較的低濃度のアスベストが含まれている場合には全体を混ぜると検出が困難になる場合もある」として分析マニュアルにおいて留意点となっており、「1か所から採取した試料を1試料として扱う。複数箇所から採取した試料を混合して用いることはせず、複数の箇所(3箇所以上)から採取した試料をそれぞれ1試料として分析すること。」とされており、 JIS-2法とは大きく異なるものとなっております。

JIS-2法のご依頼におきまして“混合して分析”する3つの建材が「異なる建材を混合して分析」して欲しいと、ご依頼いただくことがございます。
本来、複数箇所採取した試料を混合して分析する際には、同一の建材である必要があります。
混合して分析した結果は3つの試料うち1つの試料に石綿が含有していたとしても「混合して分析試料全てに石綿が含有している」という結果となってしまい、かつ、その濃度は実際とかけ離れた結果となってしまいます。

 

 

混合試料の事例

複数箇所での試料採取では、同一であることが疑いのない試料を「混合」して分析を実施しています。

見た目や質感といった特徴の異なる試料をご送付いただいた場合、弊社ではその都度、お客様へ「混合」できない旨をお伝えしています。こうした試料を「混合」して分析することが、私たちだけではなく、お客様へもご迷惑をおかけしてしまう可能性が高いためです。
※試料の判別が難しい際は、ぜひ最下部の”お問い合わせ”フォーム等でご連絡ください。弊社では別途、採取作業も承っております。

弊社へ試料をご送付いただく際は、以下の例をご参照の上でご送付いただけますよう、ご協力お願い申し上げます。

 

望ましい例・望ましくない例1

望ましい例・望ましくない例2

望ましい例・望ましくない例3

 

 

採取や分析に伴う当社の見解

弊社では、お客様からご依頼された試料は、厚労省「石綿飛散漏洩徹底マニュアル」に記載されている「同一材料範囲の判断」を行うべく、以下の項目を受付検査で総合的に判断した上で、分析を実施しています。
 

      • 色(表面・裏面・側面、同系色かどうか等)
      • 模様(まだら、無紋、その他)
      • 硬軟の程度(試料が湾曲する、曲がらずに割れる等)
      • 艶・照り(ワックスが表面に塗られている、照りがある等)
      • 手触り(ザラザラしている、何かが塗られている等)
      • 使用感(劣化している、していない等)
      • 裏面の状態(色、接着剤の有る無し、接着剤の量等)
      • 施工年代(同一時期の施工なら同一と判断できる可能性有等)

 

私たちはこれからもお客様へ世界一正しい分析結果をご提示するために、上記のような複雑なアスベスト分析状況下において、適切な意見をお伝えさせて頂き、お客様のお役に立てるよう尽力して参ります。

 

 

ユーロフィン日本総研の分析ポリシー

こうした状況を踏まえ、弊社では、各協会や団体とも確認を行った上で、ユーロフィン日本総研の分析ポリシーについて策定を検討しています。

弊社は分析で社会に貢献する。その思いでアスベスト分析に取り組んでいます。
間違った分析結果はアスベストの健康被害を拡大したり、不必要な除去作業・処理費用を発生させます。
こうしたアスベスト分析結果の重大性から、私達のアスベスト分析は単なる公定法の反復に留まらず、異なる分析方法を組み合わせた結果の検証、IT化による人為的ミスの排除、ISO/IEC17025認定取得などに取り組んでいます。

皆様と共にアスベストの問題を解決していく事を、正確な分析技術でサポート致します。

 

 

参考:異なる試料を「混合」して分析してはいけない理由

異なる建材を「混合」して分析し、アスベスト除去工事を実施した現場について、例えば以下のような記事がネットニュースに掲載された事例がございます。
 

2019年1月25日「アスベスト調査ミスも工事強行で住民反発大阪・守口の旧市庁舎解体今日にも着工か」
https://www.asiapress.org/apn/2019/01/japan/asbestos-moriguchi/

この中では、「同じ建材でも複数の階にわたる計12か所で採取した仕上げ塗材を混合して1つの検体として分析している等、不適正な分析がいくつもあった」と、会社様の実名を上げた報道がなされています。

 

 

≪「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【1.20版】」の記載≫​
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000201490.pdf​

P.25に吹付材の採取例として、「吹付け層の色が異なる場合は、その一部分は補修した可能性が高いため、その部分は既存部分とは別の試料として採取を行う。また、吹付けの年代が違う場合も別の試料として採取を行う」と記載されています。​

“主成分がバーミキュライト主体の吹付け材に関しては、厚み1㎜以下がほとんどのため、この場合は100cm²角程度の試料採取を行う。​
また、吹付け層全体の表面の色において、一部分、吹付け層の色が異なる場合は、その一部分は補修した可能性が高いため、その部分は既存部分とは別の試料として採取を行う。また、吹付けの年代が違う場合も別の試料として採取を行う。”​

出典:「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【1.20版】」(厚生労働省)​
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000201490.pdf

P.23以降に採取時の注意事項が記載されていますが、例えば、仕上塗材の記載については、以下の注意事項が記載されています。

“目視上、施工が同じようにみえていても、塗り重ねの場合、既存が残存している可能性を考慮し、外壁、内壁、上裏のように施工が異なる可能性を有する部位については、別途採取調査することが望ましい。”

出典:「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【1.20版】」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000201490.pdf

 

 

≪JISA1481法の記載≫

アスベスト含有建材の分析方法について規定したJISA1481-1(2016)には、「試料を複数採取することによって、その結果が材料を代表するという信頼性が加わる」と記載されているものの、「採取された試料が、アスベスト含有量に関し、製品の組成を代表するものであること」が重要であるとされており、そうした条件を適切な建材調査者が検討した上で、1箇所採取で問題ないという記載となっています。

“以前は、広範なアスベスト含有材が使用されていた。試料採取される材料の選定において、経験は非常に貴重であり、試料採取対象の材料及び成分に関し、利用できる予備知識を存分に活用すると、試料採取は容易になる。


最も重要なのは、採取された試料が、アスベスト含有量に関し、製品の組成を代表するものであることである。
アスベスト含有材の多くは、肉眼で検査すると一見均一に見える場合もあるが、顕微鏡でないと見えないほどの粒形範囲では、かなり不均一なこともある。特に、凝集体の断片が他の成分より大きい、テクスチャー・コーティングを施した材料などがこれに該当する。”

出典:「A1481-1:2016(ISO22262-1:2012)第1部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法5.2.2代表試料」太字は引用者による

 

“採取される試料の数は、材料の性質、その材料が均一又は不均一のいずれであるか、また検討対象領域の大きさにも左右される。
従前の経験を基に、均一であることが既に分かっている材料の場合、1件の試料採取で十分と思われるが、試料を複数採取することによって、その結果が材料を代表するという信頼性が加わる。材料の不均一性が疑われる場合、試料を幾つか採取し、各試料の十分な大きさを確保する必要がある。材料の一領域でアスベスト含有量の範囲を判断する場合、全ての試料を個別に分析するか、又は分析試料が確実に材料の平均アスベスト含有率を表すものになるよう、係る試料を分析前に混合してもよい。”

出典:「A1481-1:2016(ISO22262-1:2012)第1部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法5.2.3試料数」太字は引用者による

 

 

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