オージェ電子分光法
オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy, 別名SAM)
最表面(数nm)の元素分析やSEM観察を行うことができます。マッピング分析のほかに、アルゴンスパッタエッチングと組み合わせた深さ方向分析もできるため、金属の酸化膜厚やめっき膜厚の調査に有効です。
アルバック・ファイ製 SAM680
オージェ電子分光法の動作原理
走査型オージェ電子分光装置(Scanning Auger Microprobe)では、固体試料に細く絞った電子線を照射し、表面から数nm(ナノメートル)内の深さから発生するオージェ電子のエネルギー分光を行うことにより、二次電子像観察(SEM観察)しながら表面の局所領域に存在する元素の種類(水素、ヘリウムを除く)とおおよその量を分析できます。
イオンビームスパッタエッチングの併用による深さ方向元素分布や、平面や断面の元素マップ等も取得でき、金属、半導体などの腐食、変色、接合性、薄膜、拡散、異物などの問題解決に威力を発揮します。
AES装置仕様
型格 |
項目 |
SPEC |
---|---|---|
SAM 680 |
分析領域 |
おおよそ40 nm~数十μm |
サンプルサイズ |
おおよそ10 mm×10 mm×10 mm |
分析事例 | オージェ電子分光法(AES)
金属表面異常部の元素分析
異常部には窒素と炭素に塩素と酸素を含む異物が付着していることが判明。※AESでは水素は検出できない。
配線表面汚染部の元素分布
配線パターンの表面がカーボン(炭素)を主成分とする有機物により汚染されていることが判明
はんだバンプ表面のAES深さ方向分析結果
窪んだバンプは、表面の酸化膜厚が丸いバンプよりも厚いことが判明
はんだバンプ表面のAES深さ方向分析結果
半田バンプ断面の線分析・面分析
ニッケルの半田への拡散、リンの錫/ニッケル界面での偏析の確認が可能
断面の錫(Sn),ニッケル(Ni),リン(P)の線分析結果
断面の錫(Sn),ニッケル(Ni),リン(P)の面分析結果
マイクロカプセル型異方導電性接着剤による接合界面の分析
一般的手法では試料調整(断面研磨作成)により観察できないケースが多い接合界面の分析ですが、当社は電極・フィラーの接合界面をAES分析(FE-SAMでライン分析)できます。
接合界面の分析