赤リンによるトラブルの解析/含有分析
赤リンによるトラブルの解析/含有分析
難燃剤として使用される赤リンが原因で、電源コード・コネクタなどが絶縁不良になり、発熱・発煙などのトラブルを起こす場合があります。
燃えにくくするはずの難燃剤が製品の発煙原因?
難燃剤として使用される赤リンが原因で、電源コード・コネクタなどが絶縁不良になり(赤リンによるマイグレーション)、発熱・発煙などのトラブルを起こす場合があります。(*1)
ここ数年、気付かないうちに下請け企業が部品の材料を変更してしまう 「サイレントチェンジ (*2)」 と呼ばれる問題が顕在化しています。 いつの間にか含有していた赤リンが原因で、数年後に数十万台もの製品リコールに至った事例もあります。 部品採用時だけではなく、製品量産中も定期的な含有分析が必要不可欠な状況です。 (*3)
こんなお悩みありませんか?
- 電源コードやコネクタ、ケーブル、DCプラグなどが発熱した/煙が出た
- 発熱、発煙の原因を知りたいがどうして良いか分からない。
- 赤リンが原因のリコールを耳にしたが当社の製品は大丈夫か?
- 今後採用する部品について、事前に赤リンの有無を確認したい。
- 知らないうちに材料が変更されていないか、至急確認したい。
赤リン含有分析調査フロー(例)
部材に赤リンが入っているかどうか、費用や時間を鑑みて次の手順での分析をお奨めしています。
部材にリン元素が入っているかどうかを調べます。 ・リン元素が検出されなければ赤リンは入っていません ・リン元素が検出された場合、次の詳細分析に進みます
リン元素が赤リンかどうかを調査します。
- 赤リン粒子が確認されなければ、赤リンは入っていません
- 赤リン粒子が確認された場合、赤リンが入っていることになります
赤リントラブル防止のため、コーティングされた赤リンである場合があります。コーティング膜の有無をTEM分析で調査します。
スクリーニング-蛍光X線分析(XRF)
部材にX線を照射し、部材内部にリン元素があるかどうか調べます。部材によっては解体等が必要となりますが、分析自体は数分という短時間で可能です。
詳細分析-断面観察
部材に使用されるリンは赤リンとは限りません。発熱トラブルとは無縁の有機リン系難燃剤もあります。
豊富な経験を生かした断面観察技術で赤リン含有有無をご報告致します。
通常の光学顕微鏡写真(左):白く光る粒を確認。赤リンとは限りません。
独自の技術で撮影した光学顕微鏡写真 (右):赤リン粒は赤く見えます。
SEM-EDX分析により、確実に赤リン粒であることを示すことも可能です。
SEM像および各元素のマッピング像
リン粒の部分ではリン元素のみが検出されるので、純リン、すなわち赤リンです。
コーティング調査-TEM分析
赤リントラブル防止のため、コーティングされた赤リンである場合があります。コーティング膜の有無をTEM分析で調査します。
TEM像および各元素のマッピング像
リン粒の周囲にアルミニウムが検出されます。このアルミニウムはおそらく水酸化アルミニウムで、 これが赤リン粒をコーティングしていると考えられます。
調達品の品質リスク確認
赤リン含有に起因するイオンマイグレーション
絶縁抵抗を測り、赤リントラブルの可能性を調査します。絶縁低下、絶縁劣化が認められれば、断面観察でイオンマイグレーション箇所を特定し、赤リンが原因かどうかの分析を行います。下図は銅がマイグレーションした例を示しています。
- *1 赤リン難燃剤によるトラブルは、独立行政法人 製品評価技術基盤機構様の平成26年度製品安全業務報告会で、「(3)プラスチックの難燃化手法と難燃剤によるトラブル事例について」として紹介されています。
品質リスク検証 - 仕様変更品(サイレントチェンジ検証)
赤リン分析以外にも、構造解析を通して納入品を確認することはトラブルの未然防止において重要です。