腐食環境調査 - エコチェッカII
お客様に最適な腐食診断・調査方法をご提案します
屋内大気の腐食診断 エコチェッカII |
窒素系腐食性物質の調査 拡散型サンプラー |
塩害成分の調査 ドライガーゼ法 |
屋外環境の腐食診断 エコチェッカSUN |
粉じん、塵埃の調査 元素分析 |
腐食性の時間変動の調査 QCM腐食センサー |
エコチェッカII
腐食環境簡易調査には当社が開発・製造・販売している『エコチェッカII』を!
低価格で診断手順も簡便。多点調査による腐食性物質のスクリーニングなどの簡易調査が可能です。
腐食性ガス診断キット 『エコチェッカ II』
大気環境の腐食性を簡易的に診断します
「エコチェッカ II」は、大気中の腐食性物質の有無とおよその腐食度合いを金属クーポンの実際の腐食から目視で診断します。金属クーポンには電機・電子機器に一般的に用いられる金属である、銅、銀、鉄ニッケル合金、アルミニウム、鉄、の5種類の金属を利用しています。本品は低価格で診断手順も簡便なため、多点調査による腐食性物質のスクリーニングなどにご利用頂けます。より定量的な診断をご要望の際は、蛍光X線分析やカソード還元分析を別途料金で承ります。
(製品サイズ, 重さ:約 3×9 cm, 約 10 g)
エコチェッカIIの特徴
大気環境の腐食性を簡易診断
亜硫酸ガス(SO2)、硫化水素ガス(H2S)、塩素系ガス(Cl2, HCl, NaClなど) の3種類を同時に診断できます。
目視で腐食性ガスの影響を診断
金属クーポンの変色を所定の診断方法で製品付属の色見本と比較し、腐食性ガスの有無と目安濃度が判定できます。
腐食性ガスの影響の定量的ご報告
蛍光X線分析による腐食性ガス目安濃度診断、カソード還元分析による腐食速度診断の追加分析を当社で直接承っています。
様々な場所の腐食性ガス測定に有効
金属腐食や悪臭のお悩み。室内、屋外の、様々な場所での腐食性ガスを測定できます。
大気環境の腐食性を診断:腐食性物質による金属の腐食しやすさを定量化
エコチェッカは、銅、銀、鉄ニッケル合金、アルミニウム、鉄、の5種類の金属クーポンの腐食の状態を複合的に見て、大気環境の腐食性を診断します。
- 亜硫酸ガス(SO2)
- 硫化水素ガス(H2S)
- 塩素系ガス(Cl2, HCl, NaClなど)
の3種類を同時に診断できます。
これらのガスによる金属の腐食は、種類や濃度のほか、混合状態や温度、湿度、風など様々な要因で変化します。エコチェッカは、ガスの実際の濃度を測定するのではなく、上記3種類の腐食性物質による金属の腐食しやすさを定量化します。
エコチェッカの診断結果は、腐食性物質による金属の腐食度合いを便宜的に大気中の腐食性ガス濃度に換算した「目安濃度」と、実際に問題となることの多い硫化水素に関する銀の硫化腐食速度を報告します。
Q: 腐食環境を診断するためには、何に着目すればいいのでしょうか?
A: 腐食性物質の影響を正しく把握するためには、金属の腐食挙動を直接診断する必要があります。
腐食性ガスの金属に対する腐食の度合いを正確に知るためには、実際の金属で腐食を評価することが大切です。図は、以下の4条件の腐食ガスを含んだ環境中に銀を曝したときの腐食の進行(腐食膜厚)を調査した結果です。
- 硫化水素(H2S) 0.25ppmを含む空気
- 二酸化窒素(NO2) 0.13ppmを含む空気
- 亜硫酸ガス(SO2) 0.15ppmを含む空気
- 硫化水素 0.25ppmと二酸化窒素 0.13ppmと二酸化硫黄 0.15ppmの3成分を含む空気
それぞれのガス成分の濃度は同じでも、複数のガスを混合することで、金属に対する腐食性が非常に大きくなることがあります。 実際の環境は、複数のガスが混在しているだけでなく、温度・湿度・風の影響も加味されるため、非常に複雑な腐食挙動を示します。よって、腐食トラブルに対応するためには、腐食性ガスの濃度を測定するよりも、腐食性ガスによる実際の金属の腐食しやすさを調査しなければなりません。
目視で腐食性ガスの影響を診断
本品を診断したい環境に1ヶ月間設置してください。その後の金属クーポンの変色を所定の診断方法で製品付属の色見本と比較し、腐食性ガスの有無とおよその腐食度合い(目安濃度)が判定できます。
腐食性ガスの影響を定量的にご報告(追加分析)
金属クーポンの目視と色見本を比較することにより、お客様ご自身によって大気環境の腐食性を簡単に診断することもできますが、腐食性ガスの濃度や腐食速度をより定量的に診断する場合は、蛍光X線分析による腐食性ガス目安濃度診断やカソード還元分析による腐食速度診断を別途料金で承ります。
- ご報告までに要する期間は、当社へのサンプル到着後10営業日が標準となっています。
- エコチェッカサンプルは原則として返却いたしません。
Q: 腐食度合いの定量分析サービスとは何でしょうか?
A: 蛍光X線分析による腐食性ガス目安濃度診断、カソード還元分析による腐食速度診断のご依頼を当社で直接承っています。
蛍光X線分析サービス
エコチェッカを大気中に曝露すると、各金属クーポンは大気中の腐食性ガスと反応し、酸化物、硫化物、塩化物などの腐食物(さび)を生じます。その腐食物の成分であるCl,S,Oの3元素を蛍光X線で分析し、腐食量を元素の検出カウント数として定量します。
このカウント数を、腐食診断に利用可能な値である腐食性ガス濃度と腐食速度に換算してご報告します。
腐食性ガスの目安濃度換算
蛍光X線分析によるCl,S,Oの3元素の定量結果を、当社の合成腐食環境試験及びフィールド試験で得られた腐食性ガス濃度と蛍光X線定量結果との関係にあてはめ、硫化水素ガス、亜硫酸ガス、塩素ガスの3種類のガスの濃度に換算します。この換算結果を、「目安濃度」としてご報告いたします。 (実際のガスの濃度の絶対値ではありません)
銀の硫化腐食速度換算
ISO11844-1やANSI/ISA-71.04-2013などの国際規格・海外規格では、腐食環境の診断基準として腐食速度を用いています。 電機・電子機器の腐食トラブルの原因として実際に問題となることが多い腐食性ガスは硫化水素であることから、銀の硫化に着目して蛍光X線カウント数を腐食速度に換算してご報告します。
- 硫化水素を含む合成環境中で銀を腐食したときの銀表面の蛍光X線分析カウント数と カソード還元分析による硫化銀の厚さの関係は、図中◆のように極めて良好な対応が見られます。この関係は、実際のフィールドで腐食した銀の硫化とよい一致を見せることから(図中×)、蛍光X線分析によって腐食厚さを求め、暴露期間を基に腐食速度に換算いたします。 この腐食速度をANSI/ISA-71.04-2013が示す銀の腐食速度と比較して腐食環境を診断できます。
- 蛍光X線分析で銀表面に塩素が検出されたときは、硫化銀と塩化銀の厚さを足して腐食速度を診断する必要があります。 塩化銀の厚さ分析には、カソード還元分析をご依頼ください。 また、銅の腐食速度をご希望の場合もカソード還元分析にて対応いたします。
様々な場所の腐食性ガスを測定するのに有効
金属腐食や悪臭のお悩み。室内、屋外の、様々な場所での腐食性ガスを測定できます。
Q: 風の影響を加味したいのですが可能ですか?
A: 可能です。簡単に風の影響を加味いただけます。
金属試験片の保持性を改良し、カバーを取り外して風の影響を加味した腐食診断を実施できます。従来通りの調査をご希望の場合は、カバーをつけた状態で使用してください。
Q: 調査の目的は、電子機器設備の腐食の懸念からくるものだけですか?
A: 公共施設や職場の環境管理、生活悪臭調査など、様々な目的でご活用いただけます。例えば、
- データセンター、マシン室、コンピュータールーム
- 局舎、基地局、通信機械室
- 電機・電子機器の製造工場、クリーンルーム
- 食品貯蔵庫、冷凍室、加工場
- 部品、製品の保管倉庫
- 一般事務室
- 河川、ゴミ処理場、下水処理場
- 博物館、美術館
- 製紙工場、ゴム工場
- 計装設備、電力設備
エコチェッカSUN
インフラの構造材など、主に屋外環境の腐食診断なら :長期大気暴露試験キット
近年、道路、鉄道、電力網など屋外の社会インフラの老朽化が問題となっています。特に、大気に含まれる海塩粒子や火山、腐敗物からの硫化ガス、工場や大気汚染からの酸性ガスなど、様々な腐食性物質による経年腐食がトラブルの原因となっており、インフラの適切なメンテナンスには、大気環境の腐食性を正確に診断・把握する必要があります。エコチェッカSUNは金属試験ピースと架台をセットにした長期屋外大気暴露試験キットです。ISOに基づいた腐食性区分の診断・分類が可能です。
ISOに基づく大気環境の腐食性区分を診断
ISO 9223では、屋外大気環境の腐食性は、指定材質の金属試験ピースを1年間大気暴露した後の腐食度合いによってC1~CXの6段階に分類されます。
エコチェッカ SUNは、金属試験ピースと架台をセットにした長期大気暴露試験キットであり、ISOに基づいた腐食性区分の診断・分類が可能です。
エコチェッカ SUNの特長
屋外暴露に適した構造
- 1年以上の屋外暴露を想定して、堅牢なステンレス製架台を使用
- 金属試験片と架台金属との接触による局部電池腐食や貰い錆びを防止するため、試験片を高強度の紐で吊り下げた構造とし、ピース毎の回収・分析が可能
- 金属試験片は、二枚の金属を特殊な接着剤で貼り合わせることで、表面と裏面の腐食量を各々把握できる構造
設備保全ニーズに対応した様々な材料の金属試験片を装着
構造材料として広く使用されている金属である鉄や亜鉛、アルミニウムを試験片として標準で用意しています。これらの材料以外について、お客様の設備保全ニーズに対応した多様な材料の金属試験片を装着致します。お気軽にご相談ください。
腐食減量法による腐食量分析(別料金)
- 大気曝露後の金属クーポンの腐食量診断は、JIS Z2371に準じて大気暴露後の金属クーポン表面の錆を除去した時の重量を分析、暴露前の金属クーポンの重量との差分で診断する「腐食減量法」を実施
- ご要望に応じ腐食物の同定や断面観察など、材料分析サービスも提供
※金属試験片サンプルは原則として返却いたしません。
ご利用上の注意
- エコチェッカ SUN キットの取付けに際しては、お客様にて周囲の安全に十分ご配慮下さりますようお願いします
- 屋外暴露時の強度や耐久性を考慮した材料・構造を採用していますが、設置環境や期間によっては破損の可能性がありますのでご了承ください
拡散型サンプラー | 窒素系腐食性物質の調査
NO, NO2, NH3などの窒素系腐食性物質は、金属の腐食を分析しても痕跡を見つけることができません。これらの物質の診断には、ガス濃度の簡易分析のためのサンプラー(写真奥)をご用意しています。
ドライガーゼ, 拭き取り調査キット | 塩害成分の調査
堆積した塵埃、飛来・浮遊している塵埃、それぞれの中の塩害成分の種類と量(塩分量)を調査いたします。
元素分析 | 粉じん、塵埃の調査
現地でサンプリングした塵埃を元素分析し、腐食成分を推定します。
QCM腐食センサー
曜日や時間帯など、腐食性の時間変動の調査なら
富士通研究所の開発した「QCM腐食センサー」は、水晶振動子微小天秤(QCM)を応用した腐食センサーです。腐食の度合いを数時間で診断できる上、測定環境の時間変化(日内変動、設備稼働変化)と腐食の進み方の関係を調査することが可能です。これにより腐食性物質の発生源を推定することができます。
QCMの測定原理
QCM(水晶振動子微小天秤)の表面に被覆した金属電極の腐食を、QCMの共振周波数変化から算出できる重量変化としてリアルタイムに確認できます。
当社のQCMは共振周波数25MHzの素子を使用し、0.7 ng/cm2/Hz の極めて高い感度で重量変化を測定できます。
(QCMでは腐食性物質の種類を特定することはできません。 エコチェッカ II で腐食性物質を特定してください。)
QCM腐食センサーの特長
電子機器に使用する金属材料の中で特に腐食が問題になりやすい銀、銅をQCMの電極として用いています。
様々な場所で測定するために
屋外、装置内部、遠隔地など様々な場所で腐食環境を測定するための機能を備えています。
- 内蔵メモリにデータ保存
- Liイオン電池による長時間動作
- 温湿度センサー内蔵
- ワイヤレス・リアルタイム通信機能 (通信可能距離 100m (Typ.))
- コントローラ1台でセンサー10台を制御
- 型・軽量なセンサーユニット
腐食環境の評価事例
腐敗物からの発生ガスによる電極腐食を防止するため、腐敗ガス除去設備を設置した時の導入効果をQCM腐食センサーを用いて確認した事例です。
未対策エリアでは電極の重量が急速に増加する腐食性の高い大気でしたが、対策エリアでは重量変化が大幅に抑制されていることから腐敗ガス除去設備の効果が得られていることを数時間で確認することができました。
富士通の腐食環境診断の歴史
腐食環境診断を簡易的に行える『エコチェッカ』。1994年の発売以来の運用実績を誇り、現在は年間200以上のユーザ様に約5,000個をご活用いただいています。
腐食の防止は、精密機器、電気部品の製造品質確保と密接に関わっています。
1936年、富士通川崎工場の用地選定の際、『エコチェッカ』の前身とも呼べるテストピースを置き、錆の発生度合いをチェックした上で現在の地(川崎市中原区)を選びました。
長年の富士通の品質管理に磨きあげられた当社の技術。ぜひ貴社でも有効にお役立てください。
富士通沼津工場に展示されている昔の金属クーポン
腐食環境の診断・製品の耐腐食性、故障解析に関するサービス
腐食環境ソリューションでお客様の課題解決をサポートいたします
製品・装置・設備に使用されている電子部品、または、製品・装置・設備を設置している環境に対しての『腐食対策』は十分でしょうか?当社では製品の故障解析による腐食メカニズムの推定、お客様の製品・装置・設備に対する腐食対策のご提案、腐食対策の効果検証を致します。
腐食環境ソリューションについてパンフレットを公開しています。是非ご検討ください。
腐食環境の調査なら
エコチェッカIIほか
腐食環境簡易調査には当社が開発・製造・販売している『エコチェッカII』を! 低価格で診断手順も簡便。多点調査による腐食性物質のスクリーニングなどの簡易調査が可能です。
環境中の塩害成分調査
大気環境中の塵埃に含まれる塩害成分を、飛来・浮遊塵埃、堆積塵埃の塩分量を、JIS Z2382 規格/JEITA IT-1004A規格に準じた方法で調査・測定致します。
耐腐食性の評価、不具合の解析なら
ガス腐食試験
高温恒湿試験にとどまらず、耐腐食性試験、耐候性試験、減圧試験、塩水噴霧試験など、特殊な環境を想定した試験を実施致します。
電子部品の故障解析
電子部品の故障解析・良品解析を実施。また、対策品の信頼性評価後のサンプルについて詳細を調査致します。