ウイルスクリアランス試験を計画するにあたり検討すべきこと
ユーロフィンバイオファーマサービスの「ニュースレター(2023年Spring号)」が発行されました。
ユーロフィングループは、食品・製品・環境・アグロ・ジェノミクス・クリニカルダイアグノスティクス・医薬品・材料等、幅広い分野に関わる分析及び検査サービスをグローバルに展開しています。
世界61カ国に900以上のグループラボがあり、グループ法人数は1,000社を超え、200,000通りに及ぶ分析項目・手法を採用、年間4億5,000万件を超える試験を実施しています(2023年3月現在)。
医薬品分析は、ユーロフィンバイオファーマサービスの中のEurofins BioPharma Product Testingが担当しています。日本国内においては、当社「ユーロフィン分析科学研究所(E-ASL)」が受託を行っています。一部のサービスは、当社ラボが海外ラボとの仲介となり受託しています。
バイオファーマサービスでは、お客様に最新情報をお届けするため、定期的にニュースレターを発行しています。
2023年Spring号より、以下2つの技術情報をピックアップして紹介します。
- ウイルスクリアランス試験を計画するにあたり検討すべきこと
- 注目の法規制―USP<621>及びUSP<1220>の概要を解説
本技術コラムでは、「ウイルスクリアランス試験を計画するにあたり検討すべきこと」を紹介します。
Eurofins BioPharma Product Testing (以降、Eurofins BPT) は、お客様の医薬品を開発プロセスから市販まで確実にサポートする包括的な試験サービスを提供しています。
Eurofins BPTのウイルスクリアランスチームは、研究開発段階の評価から製造、臨床試験及び生物学的製剤の許認可申請(BLA:Biological License Application)に至るまで、完全にcGMPに準拠したサービスを提供しています。
Eurofins BPTのスタッフは、研究、プロセス開発、製造部門の立場からの多様な視点を持った豊富な経験があります。
Eurofins BPTは、このような幅広い知見と規制当局(例:医薬品規制調和国際会議[ICH]、米国食品医薬品局[FDA]、欧州医薬品庁[EMA])からの要請事項への対応と遵守の専門的かつ実践的な経験により、ウイルスクリアランス試験の設計、実施、報告を支援することができます。
ウイルスクリアランス試験に関心があるお客様が検討すべきこと
- スケールダウン方法をバリデートすること
- 対数減少値(LRV:Log Reduction Value)目標を決めること
- 試験結果受領までの期間を想定すること
スケールダウンしたプロセスは、製造プロセスに相応するものでなければなりません。ウイルスクリアランスを必要とするプロセスステップを選択することも重要であり、除去や不活化といった直交的な方法が必要です。
理想とするLRVの目標を把握することで、どのステップをテストする必要があるのか、サンプリングとアッセイにどのような方法を用いるのかを検討することができます。
試験スケジュールを立てる際には、原材料の入手可能性、希望するサービスモデル、関連する申請日を考慮する必要があります。
想定しているスケジュール通りに進めるためには、事前の詳細な試験計画とコミュニケーションが鍵となります。Eurofins BPTのウイルスクリアランス試験では、結果が必要となる時期の少なくとも6ヵ月前までに試験計画を立てることをお勧めしています。
Eurofins BPTが提供できること
Eurofins BPTランカスターラボ(米国)では、研究開発とcGMPに準拠した業務をサポートすることが可能で、プライバシーと秘密保持を確保した、ウイルスクリアランス試験に特化した4つの独立した専用ルーム(Suite)を完備しています。
以下、当該拠点が提供できることの一部を紹介します。
- 陰圧でHEPAフィルターを備えた実験室、及びお客様の控室とプライベート・オフィス
- GE ÄKTAクロマトグラフィーユニット(Pure 25モデル及びAvant 150モデルが利用可能)
- 真空ラインを備えた生物学的安全キャビネット
- ウイルスや細胞培養の取り扱い訓練を受けたスタッフが配置されている設備の整ったBSL-2実験室
- 天秤、導電率計およびpHメーター、UV/Vis分光光度計、及びその他の基本的な実験用機器
- レトロウイルス検査用の大容量メソッド及びバリデートされたqPCR 検出法のオプションを備えた、6ウェルプレートでのバリデートされたリアルタイム感染性結果の評価
- ウイルスろ過のニーズに最適な高純度のウイルスストックを含め、動物およびヒト由来の製品をサポートするための、特性が明らかな力価が107 PFU/mL以上であることが確認されているウイルスストック
すべてのお客様のニーズに応えられるように、Eurofins BPTでは以下2つのサービスモデルを提供しています。
- トラディショナルサービスモデル
- フルサービスモデル
トラディショナルサービスモデルでは、お客様は前述した専用ルーム(Suite)を利用し、精製ステップのためのÄKTAシステムを使用することができます。
スパイク、サンプリング、及びエンドポイント試験の手順に加え、Eurofins BPTの担当者は、不活化やろ過のステップを実施できますし、外部のろ過の専門業者を招いて作業することも可能です。
フルサービスモデルでは、スケールダウンしたプロセスや精製ステップに関する技術移転を含め、すべてのプロセスのステップをEurofins BPTが実施します。
Eurofins BPTは、すべてのプロセスについて、お客様と共同で作成するオーダーメイドのバッチ記録文書を提供します。本サービスモデルのお客様には、プロセスで必要なすべての原材料とスケールダウンの手順を提供していただきます。
どちらのサービスモデルも、実施した各プロセスのステップの試験成績書と概要レポートを提供します。試験後の申請において規制対応のサポートを受けることもできます。
Eurofinsのウイルスクリアランス試験サービスを利用するメリット
- パフォーマンスと規制対応の両面で幅広い科学的背景を有するスタッフが、試験計画の進行を通じてウイルスクリアランス試験プロセスの最適化をサポート
- 試験報告書リリースまでの達成可能なスケジュールを設定しながら、お客様のプロセスに適合していることを確認するため、試験の進捗状況について定期的なコミュニケーションを実施
- すべての試験手順を円滑に進めるためのEurofins BPT内のサポートネットワーク
- 臨床試験用の新医薬品(IND:Investigational New Drug)、及びBLA申請をサポートするための試験実施と結果報告の確かな実績
Eurofins BPTのウイルスクリアランスチームは、医薬品を扱うお客様を確実にサポートするために、経験とサービスの提供を強化し続けています。
コンサルティングの計画や試験開始については、Eurofins BPTにぜひご相談ください。
原文は、What to consider when planning a Viral Clearance Studyをご覧ください。
関連サービス
関連コラム
・注目の法規制―USP<621>及びUSP<1220>の概要を解説