バイオ医薬品の試験法開発におけるAQbD:ICH-Q14に向けた取り組み
ユーロフィンバイオファーマサービスの「ニュースレター(2021年6月号)」が発行されました。
ユーロフィングループは、食品・環境・医薬品に関わる分析及び検査サービスをグローバルに展開しています。世界50カ国に800以上のグループラボがあり、200,000通りにも及ぶ分析項目・手法を取り扱っています。
医薬品分析は、ユーロフィンバイオファーマサービスが担当しています。日本国内においては、当社「ユーロフィン分析科学研究所(E-ASL)」が受託を行っています。
バイオファーマサービスでは、お客様に最新情報をお届けするため、年3回ニュースレターを発行しています。
2021年6月号では、以下6つの技術情報を紹介しています。
一部のサービスは、当社ラボが海外ラボとの仲介となり受託しています。
- バイオ医薬品の特性評価で注目の新技術ddPCRの2つのメリット
- 化粧品中に存在するクマリン:安全性(毒性)に関する論争の解決
- 製剤のバイオアベイラビリティを向上させるナノミリング技術と特性評価
- 神経変性疾患試験に必須なバイオマーカーアッセイに超高感度な試験法を活用
- バイオ医薬品の試験法開発におけるAQbD:ICH-Q14に向けた取り組み
- うつ病治療における抗うつ薬選択のためのABCB1ジェノタイピング検査とは
本技術コラムでは、「5.バイオ医薬品の試験法開発におけるAQbD:ICH-Q14に向けた取り組み」を紹介します。
試験法開発は、バイオ医薬品業界にとって常に重要な課題です。
バイオ医薬品をその寿命全体にわたってサポートするための迅速で効果的かつ頑健な試験法はどのようにしたら開発できるでしょうか。非臨床試験からルーチン分析まで、Analytical Quality by Design(AQbD)がこの課題に対する答えです。
ICH-Q14 分析法の開発(*)(ICH Q2(R1)の改訂)が2021年に予定されており、分析開発の枠組みの中でQuality by Design(AQbD)の概念について説明されています。
試験法開発の豊富な経験と最新のサポートをお客様に提供するために、Eurofins Amatsi Analytics(Fontenilles、フランス)は、2013年からAQbD法開発のために専門家チームを設けています。
実験計画法(DOE)により、AQbD戦略によるHPLC法開発のための種々の重要なパラメータのスクリーニングが可能となります。最大で4種類のカラム、6種類の水性移動相、2種類の有機溶媒、3種類のグラジエント時間を同時に評価することが可能です。
定番のOFAT(One Factor at A Time:一時一事法)アプローチと比較して、AQbDは試験されたパラメータ間の相互作用を評価するので、より短時間で非常に広範な知識ベースを提供することができます。このように、クライアントの方法にとって最良なパラメータを決定することができます。
Fusion QbD®(S-Matrix)は、DOEを実行し生成されたデータを処理するためにEurofins Amatsi Analyticsで使用されるソフトウェアであり、統計処理全体を迅速かつシームレスに行なうことができます。
ピークカウンティングにより、どの試験条件がその試験法に最適であるかを決定することができます。さらに、頑健性をシミュレーションしそれを実行することで、試験法のライフサイクルとリスク評価を改善することができます。
このソフトウェアは、Eurofins Amatsi Analyticsが保有するUPLCシステムが装備されたEmpower3に直接接続されます。最新バージョン(9.9.0)は2020年に取得しており、最適なクロマトグラフィーのプロファイルと溶出条件を動的に視覚化することが可能です。
AQbDは、頑健な試験法を得るための強力なツールであり、バイオ医薬品プロジェクトのさらなる進展とライフサイクル管理の改善に寄与します。
*:参考資料
- Final Concept Paper ICH Q14: Analytical Procedure Development and Revision of Q2(R1) Analytical Validation[ICH公式ホームページより]
- Q2(R2)/Q14:Analytical Procedure Development and Analytical Validation(分析法開発/分析法バリデーション改定)[独立行政法人人医薬品医療機器総合機構、第42回ICH即時報告会より]
原文(英語)は、Analytical Quality by Design: Eurofins BPT France delivers new level of expertise for methods developmentをご覧ください。
ニュースレター(2021年6月号)のその他の記事は、下記よりご覧ください。
- バイオ医薬品の特性評価で注目の新技術ddPCRの2つのメリット
- 化粧品中に存在するクマリン:安全性(毒性)に関する論争の解決
- 製剤のバイオアベイラビリティを向上させるナノミリング技術と特性評価
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- うつ病治療における抗うつ薬選択のためのABCB1ジェノタイピング検査とは