ヘリウム使用量管理 - 持続可能な未来への準備
ユーロフィンバイオファーマサービスの「ニュースレター2023年FALL号」が発行されました。
ユーロフィングループは、食品・製品・環境・アグロ・ジェノミクス・クリニカルダイアグノスティック・医薬品・材料等、幅広い分野に関わる分析及び検査サービスをグローバルに展開しています。
世界61カ国に900以上のグループラボがあり、グループ法人数は1,000社を超え、200,000通りに及ぶ分析項目・手法を採用、年間4億5,000万件を超える試験を実施しています(2023年8月現在)。
医薬品分析は、ユーロフィンバイオファーマサービスが担当しています。日本国内においては、当社「ユーロフィン分析科学研究所(E-ASL)」が受託を行っています。一部のサービスは、当社ラボが海外ラボとの仲介となり受託しています。
バイオファーマサービスでは、お客様に最新情報をお届けするため、定期的にニュースレターを発行しています。
2023年FALL号のうち、以下5つの技術情報を紹介します。
- Eurofins BioPharma Product Testing (BPT)、細胞・遺伝子治療の米国拠点を拡大
- 細胞・遺伝子治療 - スピードが鍵となるのは
- Eurofins BPTにおけるTOX及びCTM測定
- ヘリウム使用量管理 - 持続可能な未来への準備
- 容器完全性試験(CCIT)のニーズに最適なアプローチを見極める
本技術コラムでは、「ヘリウム使用量管理 - 持続可能な未来への準備」を紹介します。
著者:Heidi Wojno, Director Method Development and Validation, Heather Bridwell, Director Pharmaceutical Product Testing, and Terry Schuck, Senior Manager Pharmaceutical Raw Materials
GCクロマトグラフィー試験では、この技術が始まった時からヘリウムが主要なキャリアガスとして利用されています。現在でも、ヘリウムは不活性で、分離効率が高く、一貫した性能を発揮するため、好まれています。
ヘリウムは有限で非再生可能な資源であり、近年、供給網の問題により、コストや入手に関する懸念が高まっています。ヘリウムの使用は環境に悪影響を及ぼします。ヘリウムは天然ガスから抽出されます。天然ガスの採掘工程は、メタンを多く含む温室効果ガスを排出します。
Eurofins Lancaster BioPharmaceutical Chemistryチームは、ヘリウムの使用量を減らすための代替試験方法を評価し、行動に移しています。今後の取り組みにより、GC消耗品としてのヘリウムの使用量を減らすだけでなく、移動相の不活性パージ用としての使用量や、巨大な内部ガス供給インフラからの漏洩量も減らすことができるようになることが見込まれます。
ヘリウムがGC分析において好ましいか、唯一許容されるキャリアガスである場合、以下のような節減策が実施されています。
- 分割流量が過剰なGC法では、注入後にプログラムされた時間内に分割流量を減らすガスセーバーモードを使用することが評価されています。
- 施設のスタッフは、定期的な室内監査で、未使用のバルブを取り外し、何百本ものヘリウムラインに漏れがないかをチェックします。
- ベンダーの推奨により、GC機器は分析間に「アイドリング」状態になりません。分析が終了するとすぐに、カラムを取り外し、次に機器を使用するまでヘリウムの流量を止めます。
既存の分析法でガスの種類を変更するオプションがある場合、実験室では方法の変更と代替パラメータの開発を開始しています。
GC分析において、窒素を加圧・キャリアガスとして使用することが望ましいです。
しかし、窒素の最適な線形速度はヘリウムよりも低いです。これはピークの広がりにつながり、ヘリウムを用いた分析と比較して、分析時間の増加や分離能の問題を引き起こす可能性があります。
GCキャリアガスとしてヘリウムの代わりに窒素を使用する場合は、分析法ごとに評価する必要があります。窒素は、USP <467> 残留溶媒試験において、多くの場合に受け入れられる結果として評価されています。
水素は二次的な代替品ですが、安全性の問題が増します。窒素と水素は、超純度の状態で発生器から供給することができます。すでに、一部の既存のGC法は、顧客の要望に応じて、窒素や水素をキャリアガスとして使用するように変更され、バリデートされています。
イオンクロマトグラフィーのような分析では、移動相のパージ/不活性雰囲気の作成にヘリウムを使用することが唯一の選択肢である場合があります。代替品が使用できない場合は、密閉された容器を確保し、ガスの損失を最小限に抑えることが重要です。
ヘリウムの生産量の変動は、価格と供給に影響を与えます。ヘリウムの使用量を節約したり、排除したりする戦略を開発することは、私たちの業界にとって重要です。Eurofinsは、ヘリウムへの依存と消費を減らせるように、引き続き取り組んでいきます。
原文は、Helium Usage Management – Preparing for a Sustainable Futureをご覧ください。
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