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ユーロフィン分析科学研究所株式会社 >> 技術コラム >> 容器(包装)完全性試験ガイドラインUSP<1207>の概要を解説

容器(包装)完全性試験ガイドラインUSP<1207>の概要を解説

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無菌医薬品の容器(包装)完全性とは、無菌製剤の容器包装が製剤の品質を維持するのに必要な微生物の侵入及び物質の出入りを防止する能力のことです。

容器完全性試験(CCIT:Container Closure Integrity Test)は、一次包装又は場合によって二次包装に対して、製剤の品質に影響を及ぼす微生物、反応性ガス及び他の物質からバリア機能を有することを確認するために実施されています。

CCITには、物理化学的手法で漏れを見つける漏れ試験、包装のシール部分の適格性を確認することで漏れが発生しないことを保証するシール試験、微生物学的手法で微生物に対するバリア性を確認する微生物チャレンジ試験があります。

漏れ試験は、定性的漏れ試験と定量的漏れ試験に分類されます。

定性的漏れ試験は有用な漏れ検出手法ですが、その結果は不確実性を伴っているため、大きなサンプルサイズと厳しい試験条件管理が必要とされています。

一方、定量的漏れ試験は、漏れに伴って生じる物理化学的な変化を定量的に評価する試験であり、最大許容漏れ限度を設定し管理します。

昨今では、決定的な容器完全性の検証として適していない定性的漏れ試験から、最大許容漏れ限度を設定し客観的なデータが得られる定量的漏れ試験へ移行しつつあります。

 

CCITのガイドラインには、日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、ASTM(American Society for Testing and Materials)規格があります。

JPでは、参考情報の「無菌医薬品の包装完全性の評価〈G7-4-180〉」及び「無菌医薬品包装の漏れ試験法〈G7-5-180〉」が該当します。

USPでは、「USP<1207> Package Integrity Evaluation—Sterile Products」が該当します。

ASTMでは、「ASTM F2095―Standard Test Methods for Pressure Decay Leak Test for Flexible Packages With and Without Restraining Plates」、「ASTM F2338―Standard Test Method for Nondestructive Detection of Leaks in Packages by Vacuum Decay Method」、「ASTM F2391-Standard Test Method for Measuring Package and Seal Integrity Using Helium as the Tracer Gas」、及び「ASTM E499―Standard Practice for Leaks Using the Mass Spectrometer Leak Detector in the Detector Probe Mode」などが該当します。

 

本技術コラムでは、今後、容器完全性試験を実施する可能性がある無菌医薬品を開発・製造する製薬企業の方の参考のため、USP<1207>の概要を解説します。

 

USP<1207>の概要を解説

USP<1207> Package Integrity Evaluation—Sterile Products

USP<1207>PACKAGE INTEGRITY EVALUATION—STERILE PRODUCTS(包装完全性試験―無菌製品)は、包装完全性の概要が以下6項でまとめられています。

  1. INTRODUCTION/イントロダクション
  2. SCOPE/適用範囲
  3. LEAK AND LEAKAGE RATE/漏れ及び漏れ率
  4. CLOSURE TYPE AND MECHANICS/クロージャータイプとメカニズム
  5. PRODUCT–PACKAGE QUALITY REQUIREMENTS AND THE MAXIMUM ALLOWABLE LEAKAGE LIMIT/製品-包装品質の要求事項、及び最大許容漏れ限度
  6. INHERENT PACKAGE INTEGRITY AND THE PACKAGE INTEGRITY PROFILE/固有の包装完全性、及び包装完全性プロファイル

 

1項は、イントロダクションです。

本章は、無菌医薬品を想定した非多孔性の包装完全性の保証に関するガイダンスであることが記載されています。

ここには、漏れ、漏れ率、及び包装のシ―ル/クロージャーメカニズムの背景情報も含まれています。また、指定された漏れ限度に適合する包装が、内容物の無菌性及び関連する物理化学的規格を満たし、それを維持するのにどのように役立つかが説明されています。

包装完全性を保証することは、製品ライフサイクル全体の重要な要素として組み込むべきと強調されています。

また、包装シール品質試験と、漏れ試験方法の選択・バリデーション及び使用に関するガイダンスも含まれています。詳細な推奨事項は、以下のサブチャプターで示されています。

※各章の概要は、後述します。

 

2項は、適用範囲です。

本章で説明されている包装完全性の漏れ試験及びシール品質試験が、無菌医薬品の大容量及び小容量の容器クロージャーシステムに適用されると記載されています。

具体例として、以下が挙げられています。

  • エラストマー製キャップ又はスクリューねじ式キャップで閉鎖されたバイアルやボトル
  • 成形充填シールのプラスチック又はガラスアンプル
  • シリンジ又はカートリッジ
  • フレキシブルバッグ又はパウチ
  • 一部の医薬品/医療機器の組み合わせた製品の包装(例:自動注射器の中に封入された包装)

 

3項は、漏れと漏れ率です。

漏れとは一般的に、定められた直径の孔、又は特徴的な直径と長さの流路として概念化されていますが、自然発生する漏れは複雑であり、サイズや形状が均一であることは稀です。漏れ試験法の開発とバリデーションで使用されるレーザー孔空き欠陥のような人工的に作られた漏れでさえ、サイズ、形状、深さは不規則です。そのため、漏れサイズを述べる場合、測定方法を定義することが重要とされています。場合によって、漏れは寸法的に測定されますが、多くの場合、漏れサイズはガス漏れ率に基づいて決定されます。

ガス漏れ率は、特定の温度条件及びバリア壁を越える濃度又は圧力差の下で、漏れ経路を通過するガス流量を測定するものです。これには、圧力と体積を時間で割った単位が使用されます。意図しない漏れは、トレーサーガスを使用して検出又はサイズ測定されることが多いです。

液体漏れ率は、特定の条件下で漏れ経路を通過する液体の体積を時間の関数として測定するものです。液体が漏れ経路を通過するのは、漏れのサイズや形状、包装の材料、漏れの障害物の不在、トレーサー液の組成、及び試験パラメータがすべて揃っている場合に限られます。本章の適用範囲である無菌製品の漏れ試験においては、液体が漏れないことや漏れ経路に液体が存在しないことを確認します。液体漏れ率の測定は、大きなサイズの漏れを測定する場合にのみ有用です。

 

4項は、クロージャータイプとメカニズムです。

様々なクロージャーシステムと包装完全性を確保するために、各クロージャータイプがどのように機能するかについて説明されています。

クロージャーメカニズムを理解することで、包装の特性、モニター、試験をより良く実施することが可能とされています。

 

クロージャータイプとして、以下3つが挙げられています。

クロージャータイプ

具体例

物理的に嵌合(かんごう)したクロージャー(4.1 Physically Mated Closures)

  • 注射器のバレル(外筒)に挿入されるプランジャー(押し子)の干渉フィット*
  • バイアルの仕上げ面にキャップされるエラストマー製クロージャーの圧縮フィット**
  • ボトルにねじ込まれるスクリューキャップのアプリケーション

物理化学的に結合したクロージャー(4.2 Physicochemically Bonded Closures)

  • 単一の材料から連続した容器を形成し密封したもの(例:ガラスやプラスチックのアンプル)***
  • 熱または超音波溶着プロセスによって材料のシートを嵌合したもの

複数回投与包装のクロージャー(4.3 Multiple-Dose Package Closures)

  • 針穿刺を必要とする非経口製剤用エラストマー製クロージャーでリシールできるもの
  • 眼科用製品の容器

<補足説明>

*干渉フィット:注射器のプランジャーがバレル内でしっかりと密着する状態

**圧縮フィット:部品同士を圧縮して密着させることでしっかりと固定する方法

***連続した容器を形成し密封したもの:例として1本のガラス管から連続して生産されたもの(参考:塩谷硝子、アンプル製造

 

5項は、製品-包装品質の要求事項、及び最大許容漏れ限度です。

製品の無菌性と含有量を保持するための許容漏れ限度(5.1 Sterility and Product Formulation Content must be Preserved; Gas Headspace Content Preservation is not Required)、製品の無菌性、含有量、及びガスヘッドスペースの保持が必要な包装(5.2 Sterility, Product Formulation Content, and Gas Headspace Content must be Preserved)、複数回使用する製品包装の無菌性と製品への接触に関する品質要件(5.3 Sterility must be Preserved; Product Access is Required)がまとめられています。

ほとんどの包装タイプでは、よくフィットしたクロージャーでさえ隙間が存在し、ガス漏れします。そのため、包装が絶対に漏れないことを要求するのは現実的ではないとされています。むしろ考慮すべきは、製品品質に影響する漏れが重要で、製品の最大許容漏れ限度を超える漏れを許容すべきではないとされています。

本章では、最大許容漏れ限度を特定することが、科学とリスクに基づいているとされています。

 

6項では、固有の包装完全性、及び包装完全性プロファイルです。

固有の包装完全性とは、欠陥のない部品を使用して組み立てられた容器クロージャーシステムの漏れ特性を指します。

これは、製品-包装の開発及び適格性評価の段階で最初に評価され、材料の組成、寸法、加工、組立などの変動を考慮して、気密性を測定します。

また、固有の包装完全性は、最終製品の保管、流通、使用を想定して評価されることもあります。いずれにしても、固有の包装完全性は製品-包装の最大許容漏れ限度に適合する必要があります。

包装完全性プロファイルは、製品ライフサイクル全体における漏れ及びシール品質試験の結果のデータベースです。このプロファイルは、包装部品の設計や材料、包装の組立や加工、製品の保管、流通、安定性に関する運用上の変動を考慮した包装完全性に関する情報を提供します。

まとめると、完全性を有する製品-包装システムとは、固有の包装完全性が要求される製品-包装の最大許容漏れ限度に適合するシステムとされています。

 

以上がUSP<1207>の概要です。詳しくは原文をご確認ください。

 

 

USP<1207.1>PACKAGE INTEGRITY TESTING IN THE PRODUCT LIFECYCLE—TEST METHOD SELECTION AND VALIDATION

USP<1207.1>PACKAGE INTEGRITY TESTING IN THE PRODUCT LIFECYCLE—TEST METHOD SELECTION AND VALIDATION(製品ライフサイクルにおける包装完全性試験―試験法の選択及びバリデーション)は、以下4項でまとめられています。

  1. INTRODUCTION/イントロダクション
  2. PACKAGE INTEGRITY TESTING IN THE PRODUCT LIFE CYCLE/製品ライフサイクルにおける包装完全性試験
  3. TEST METHOD SELECTION CRITERIA/試験法選択の基準
  4. TEST INSTRUMENT QUALIFICATION, METHOD DEVELOPMENT, AND METHOD VALIDATION/試験機器の適格性評価、試験法開発、及び試験法バリデーション

 

1項は、イントロダクションです。

本章は製品ライフサイクルの3フェーズにおける包装完全性の適格性確認について記載されています。3フェーズとは、1)包装開発、及び包装加工・組立バリデーション、2)製品製造、3)市販製品の有効期間安定性評価、です。

その他、漏れ試験法の選択、開発、バリデーションに関する情報も本章で提供されています。

 

2項は、製品ライフサイクルにおける包装完全性試験です。

1項で示された3フェーズについて詳しく記載されています。

 2.1 Development and Validation/開発とバリデーション

 2.2 Product Manufacturing/製品製造

 2.3 Commercial Product Stability/市販製品の安定性

 

開発とバリデーションは、包装開発(2.1.1 Package Development)と包装加工・組立バリデーション(2.1.2 Package Processing and Assembly Validation)で構成されています。

包装開発は、製品と包装の要求仕様を定義することから始まります。これには、製品の使用目的、安定性、製造方法、保管・輸送環境などが含まれます。要求仕様に基づいて、各包装の構成部品の材料や寸法、最大許容漏れ限度を設定し、最適な材料や組立方法を選択します。包装完全性の確保には、材料の選定や組立精度が重要です。開発段階では、包装が製品の最大許容漏れ限度を満たすかどうかを確認するための試験を実施します。

包装加工・組立バリデーションでは、包装の組立や滅菌など、製造過程での重要な要素が評価されます。バリデーションの目的は、包装が製品の要求仕様に従い、安定して動作することを確認することです。バリデーションには、漏れ試験やシール品質試験が含まれ、最終的に包装品質が満たされていれば、製造が開始されます。

製品製造においては、包装品質を確保するために、構成部品の品質を適切に選定し、サプライヤーの評価を行います。製品製造中に包装完全性が損なわれる場合があるため、製造条件や包装設計の変更があれば、再評価が行われます。製造時には、適切な漏れ試験や目視検査が行われ、製品の包装が品質基準を満たしていることが確認されます。

包装完全性試験は、製品の安定性プログラムの一部として推奨され、製品の保存中に包装が完全性を維持できるか確認します。これにより、微生物の侵入や製品の品質劣化を防ぎます。包装完全性試験は、最も小さな漏れを検出できる方法で、保存条件が完全性に与える影響を評価します。

 

3項は、試験法選択の基準です。

包装の漏れ試験やシール品質試験は、すべての製品-包装システムに共通するものはなく、製品ごとに最適な方法を選択する必要があるとされています。試験法は、製品のライフサイクルの各段階や包装の特性に応じて異なります。

本項では、漏れ試験法の選定基準について詳しく説明されていますが、あくまで参考であり推奨を意味するものではないとされています。

各漏れ試験法の詳細は、USP<1207.2>で確認できます。

 

本項は、以下の内容で構成されています。

 3.1 Package Contents/包装の内容物

 3.2 Package Design, Materials of Construction, and Mechanics/包装の設計、構成材料及びメカニズム

 3.3 Closure Type and Mechanics/クロージャータイプとメカニズム

 3.4 Maximum Allowable Leakage Limit/最大許容漏れ限度

 3.5 Deterministic or Probabilistic Methods/定性的又は定量的方法

 3.6 Physicochemical or Microbiological Methods/物理化学的又は微生物学的方法

 3.7 Method Outcome/方法による結果

 3.8 Quantitative or Qualitative Methods of Analysis/定量的又は定性的分析方法

 3.9 Leak Test Detection Limit/漏れ試験検出限界

 3.10 Leak Test Method Range/漏れ試験法範囲

 3.11 Nondestructive or Destructive Methods/非破壊的又は破壊的方法

 3.12 Off-Line or On-Line Methods/オフライン又はオンライン方法

 

選択する試験法は包装内の内容物(液体、固体、ガスの有無など)によって異なります。例えば、液体入り包装では、Vacuum Decay(真空度低下法)やMass Extraction(質量抽出)では試験が無効になる場合があり、Electrical Conductivity and Capacitance(高電圧リーク試験法)が有効とされています。

また、包装の形状や材料(硬質、高分子、金属、透明・不透明など)によって、適切な試験法が変わります。例えば、透明な包装はLaser-Based Gas Headspace Analysis(ヘッドスペースガス・レーザー分析法)などで試験できますが、不透明な包装は目視検査ができません。

その他、包装のクロージャーシステムの設計やその漏れ制限機能、及び予想される欠陥の種類も試験法の選択に影響を与えます。

最大許容漏れ限度は、製品と包装の品質要件に基づいて決定されます。「USP<1207> 5. PRODUCT–PACKAGE QUALITY REQUIREMENTS AND THE MAXIMUM ALLOWABLE LEAKAGE LIMIT」に記載されていたように、次のような選定基準があります。

製品の無菌性と含有量を保持が求められる場合(ガスヘッドスペース保持は必須ではない)、液体や微生物の侵入を防ぐ最大許容漏れ限度を超えないことを確認する試験法が必要です。例えば、Tracer Gas Detection, Vacuum ModeやLaser-Based Gas Headspace Analysis(ヘッドスペースガス・レーザー分析法)などです。製品ライフサイクルの後半では、他の漏れ試験が必要になることもあります。

製品の無菌性、含有量、及びガスヘッドスペースの保持が求められる場合、包装のヘッドスペース圧力や内容物を直接確認する漏れ試験が求められます。例えば、Laser-Based Gas Headspace Analysis(ヘッドスペースガス・レーザー分析法)は、ヘッドスペースの内容物や絶対圧力を測定する能力があります。

無菌性が保持され製品への接触が必要な場合、物理化学的及び微生物学的試験が必要で、包装クロージャーシステムのバリア特性を確認し、最終使用に適した試験法を使用します。

 

試験分類には、定性的漏れ試験と定量的漏れ試験があります。

定量的漏れ試験は、漏れが予測可能な現象に基づき、物理化学的技術を使用して漏れを測定し、客観的な定量的データを得る方法です。一方、定性的漏れ試験は、確率分布によって記述されるランダムな結果を得るため、複数の不確実な現象に依存する方法です。

製品の最大許容漏れ限度を検出できる定量的漏れ試験が、包装完全性を確立する場合に好ましいとされています。

具体的な試験法は、以下の通りです。

定性的漏れ試験

定量的漏れ試験

  • Bubble Emission
  • Microbial Challenge, Immersion Exposure
  • Tracer Gas Detection, Sniffer Mode
  • Tracer Liquid
  • Electrical Conductivity and Capacitance (High-Voltage Leak Detection)
  • Laser-Based Gas Headspace Analysis
  • Mass Extraction
  • Pressure Decay
  • Tracer Gas Detection, Vacuum Mode
  • Vacuum Decay

 

物理化学的漏れ試験とは、包装完全性試験のために物理的及び/又は化学的分析技術を使用するものです。この方法には、先の定性的漏れ試験と定量的漏れ試験の両方が含まれます。

微生物学的漏れ試験とは、試験サンプルの完全性を評価するために生菌を用いる定性的漏れ試験です。

漏れ試験の結果は、試験法の選択に影響を与えます。求められる結果には、漏れ経路の検出、漏れ経路の位置特定、漏れ率の測定、液体の出入りの可能性、微生物の侵入の可能性が含まれます。

すべての漏れ試験法は漏れ経路の存在を特定することを目的としていますが、追加情報を提供する方法もあります。

微生物チャレンジ試験は、製品包装が微生物の侵入に対してどの程度保護されているかを評価します。これにより、特定の包装材料やデザイン、環境条件における無菌性のリスクを明確にします。すべての漏れ試験方法は最低限、漏れを検出しますが、すべての結果を一つの方法で得ることはできません。

 

漏れ試験法の選択には、定量的なデータを提供するか、定性的なデータを提供するかが影響します。可能であれば、定量的な測定結果を提供する漏れ試験法が推奨されます。

 

漏れ試験の検出限界とは、対象となる製品包装に対して、その方法で信頼性を持って検出できる最小の漏れ率または漏れサイズのことです。様々な測定単位が使用されるため、異なる試験方法や機器メーカーの性能を比較する際に混乱が生じることがあります。

これを解決するために、表では、理論的な孔の直径とガス漏れ率の関係を示しています。この表は、理論的な孔の直径とガス漏れ率の関係を理解しやすくするための共通の測定スケールを提供します。漏れ検出限界は試験法を選ぶ唯一の基準ではなく、他の要因も考慮する必要があります。

 

Row No.

空気の漏れ量
[std・cm3/s]

孔径[μm]

1

< 1.4 × 10-6

< 0.1

2

1.4 × 10-6 to 1.4 × 10-4

0.1 to 1.0

3

> 1.4 × 10-4 to 3.6 × 10-3

> 1.0 to 5.0

4

> 3.6 × 10-3 to 1.4 × 10-2

> 5.0 to 10.0

5

> 1.4 × 10-2 to 0.36

> 10.0 to 50.0

6

> 0.36

> 50.0

 

漏れ試験方法の範囲は、特定の漏れ試験方法で検出できる最小から最大の漏れサイズ(又は漏れ率)の間隔を指します。すべての漏れ試験方法には最適な検出範囲があり、その範囲外の漏れを検出するためには追加の試験が必要になることがあります。

試験対象の製品包装を保存する必要がある場合、破壊的な漏れ試験方法ではなく、非破壊的な方法を選ぶことが重要です。破壊的な試験方法はサンプルを損傷させたり、汚染物質にさらしたりするため、製品は回収できません。商業用や臨床研究用の製品包装の漏れ試験には、非破壊的な方法が適しています。

 

具体的な試験法は、以下の通りです。

破壊的漏れ試験

非破壊的漏れ試験

  • Tracer liquid ingress tests
  • Bubble emission tests
  • Microbiological challenge tests
  • Tracer gas and pressure decay leak tests(包装のバリアを破る必要がある場合)
  • Mass extraction
  • Vacuum decay leak tests
  • Noninvasive gas headspace analysis tests
  • Electrical conductivity and capacitance leak tests(電流が製品に害を与えない場合)

 

オフライン漏れ試験は、製造ライン外で行うもので、破壊的又は非破壊的試験を用いることができより精度の高い試験が可能です。一方、オンライン漏れ試験は、製造ライン内でリアルタイムに行うもので、非破壊かつ短時間での試験が求められます。

 

4項は、試験機器の適格性評価、試験法開発、及び試験法バリデーションです。

漏れ試験法は、その有効性を示すためにバリデーションされます。方法の検証は、機器の適格性評価に続いて行われ、その後、試験法の開発が行われます。本項は、USP<1058>Analytical Instrument Qualification、及びUSP<1225>Validation of Compendial Proceduresを補足するものとされています。

漏れ試験に使用される機器や装置の適格性評価には、機器/装置の機能評価、適切な校正ツールや基準標準器を使用して、漏れ試験条件をシミュレートすることによる試験システムの検出能力の判定が含まれています。

漏れ試験法の開発とバリデーションは、機器の適格性評価後に行われ、特定の製品と包装システムに適した漏れ検出基準を満たすように最適化されます。バリデーション項目は、正確性(Accuracy)、再現性(Precision)、特異性(Specificity)、検出限界(Detection Limit)、直線性(Linearity)、範囲(Range)、頑健性(Robustness)です。

試験法開発とバリデーションの結果、システム適合性試験が設定されます。ここでは、漏れ試験法が結果に影響を与える可能性がある変動要因(機器、分析者、試験サンプル調製、試験環境など)を適切に管理し、試験方法が安定していることを確認します。システム適合性試験は、試験方法の信頼性を高めるために試験開始時と終了時に実施することが推奨されています。

物理化学的漏れ試験法の能力と微生物の侵入リスクの関係を理解することは重要かもしれませんが、比較試験はすべての場合において有用とは言えません。

必要ない場合として、「漏れ試験法が製品-包装の最大許容漏れ限度を下回る検出限界の場合」や「漏れ試験法がすべての漏れを検出するのではなく、最大許容漏れ限界を超える大きな漏れを検出するために使用される場合」が挙げられています。

一方、有用な場合として、「漏れ試験法が製品-包装の固有の完全性を確認するために使用され、検出限界が最大許容漏れ限界を大幅に超えている場合」や「最大許容漏れ限度が不明又は定義されていない場合、漏れタイプ/サイズと微生物侵入リスクを関連付ける場合」が挙げられています。

ネガティブコントロールとは漏れがない包装であり、ポジティブコントロールは意図的に漏れを作った包装です。これらは、試験法開発やバリデーションのために使用され、包装クロージャー設計、構成材料、予想される漏れの特性、及び製品内容物が試験結果に与える影響を考慮して作成されます。

マスターは、ネガティブコントロールの一種で、包装のプロトタイプ、モデル、又は模造品であり、試験包装の形状やデザインをシミュレートするために作られます。

ポジティブコントロールは、包装の欠陥のサイズや種類を模倣するために作られます。欠陥を作る方法は多様で、材料や欠陥の種類によって漏れの特性が異なるため、慎重なアプローチが求められます。

タイプ欠陥は、現実的な包装の不具合を模倣するためのポジティブコントロールです。これらは、漏れ試験法の実際の適用性を評価するために重要とされています。具体例として、以下が挙げられています。

  • ヒートシールされた袋:シールの弱さ、シールのしわ、シールの隙間、シールの溝、シールへの製品の巻き込み
  • ストッパー付バイアル包装:バイアルの仕上げチャネル欠陥、キャップが緩いストッパー、ストッパーとバイアルに挟まれた製品
  • プレフィルドシリンジ:針で穴が開いた針シールド、プランジャー不良
  • 眼科用点眼ボトル:キャップの緩み、点眼用チップの欠落又は挿入不良、チップ又はキャップの不良

 

タイプ欠陥に正確なサイズを割り当てることは、その不規則性と複雑さのため、一般的に意味がなく、実現可能でもありません。選択した漏れ試験法で、特定の包装クロージャーシステム内のすべての欠陥を見つけることはできないため、タイプ欠陥の試験から収集された情報は、選択した漏れ試験法で見つけにくい重要な欠陥を検出又は発生を抑制するための代替アプローチを特定するのに役立ちます。

 

以上がUSP<1207.1>の概要です。詳しくは原文をご確認ください。

 

 

USP<1207.2> PACKAGE INTEGRITY LEAK TEST TECHNOLOGIES

USP<1207.2> PACKAGE INTEGRITY LEAK TEST TECHNOLOGIES(包装完全性の漏れ試験技術)は、以下3項でまとめられています。

  1. INTRODUCTION/イントロダクション
  2. DETERMINISTIC LEAK TEST TECHNOLOGIES/定量的漏れ試験技術
  3. PROBABILISTIC LEAK TEST TECHNOLOGIES/定性的漏れ試験技術

 

1項は、イントロダクションです。

本章の目的は、漏れ試験技術の選択と適切な使用に関する情報を提供することとされてます。紹介されている漏れ試験技術は、信頼性の高い研究データや標準的な試験方法に基づいて選ばれています。漏れ試験技術は、製品の包装によって異なるため、すべての包装に適用できる普遍的な方法はないとされています。

漏れ試験の方法は、定量的(Deterministic)と定性的(Probabilistic)の2つに分類されます。定量的な方法が推奨されますが、製品と包装の特性によっては、定性的な方法が適している場合もあります。漏れ検出限界は、文献や経験に基づいて示されていますが、各試験方法の性能は、特定の製品と包装に対して開発とバリデーションを通じて決定する必要があります。

本章の情報は、漏れ試験の選択、開発、バリデーション、及び使用の支援を目的としており、必ずしも制限を意味するものではないとされています。記載のない方法でも、適切な評価を経て使用することができます。

 

2項は、定量的漏れ試験技術です。

本項は、以下の試験技術について、それぞれ、説明、適用、試験機器、試験パラメータが記載されています。

 2.1 Electrical Conductivity and Capacitance (High-Voltage Leak Detection)

 2.2 Laser-Based Gas Headspace Analysis

 2.3 Mass Extraction

 2.4 Pressure Decay

 2.5 Tracer Gas Detection, Vacuum Mode

 2.6 Vacuum Decay

 

Table 1. Deterministic Leak Test Technologies」に、各試験法について、以下の情報が簡潔にまとめられています。

  • Package Content Requirements/包装内容物の要件
  • Package Requirements/包装の要件
  • Leak Detection Limit/漏れ検出限界
  • Measurement Outcome and Data Analysis/測定結果及びデータ分析
  • Effect of Method on Package/試験法の包装への影響
  • Test Time Order of Magnitude/試験時間の桁数

 

Electrical Conductivity and Capacitance (High-Voltage Leak Detection)の概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

液体(燃焼のリスクがないもの)は包装よりも電気伝導性が高くなければなりません。

製品は漏れ箇所に存在している必要があります。

包装の要件

液体製品より電気伝導性が低い。

漏れ検出限界

Row No.3(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

製品包装、機器、試験サンプルの固定具、試験法のパラメータによって異なります。

測定結果及びデータ分析

試験サンプルを通過する電流の定量的測定。

試験サンプルの電気抵抗の低下によって示される漏れの存在と漏れの位置を間接的に判断し、その結果として電圧の読み取り値が所定の合否限界を超えて増加します。

試験法の包装への影響

非破壊、試験曝露が製品の安定性に与える影響を評価することが推奨されます。

試験時間の桁数

数秒

 

Laser-Based Gas Headspace Analysisの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

ガスの体積、経路長、及び内容物は、機器の検出能力と適合していなければなりません。

包装の要件

近赤外光の透過を許容します。

漏れ検出限界

Row No.1(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

分析間隔によって異なります。

測定結果及びデータ分析

レーザーを用いたガス分析によるテストサンプルのガスヘッドスペース内容物の定量的測定。

酸素、二酸化炭素、又は水蒸気濃度が低いヘッドスペース、又は絶対圧力が低いヘッドスペースを必要とする製品に適用されます。

試験サンプル全体の漏れ率は、時間の経過に伴う読み取り値を集計することで決定されます。

試験法の包装への影響

非破壊

試験時間の桁数

数秒

 

Mass Extractionの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

漏れ箇所にガス又は液体が存在すること。

漏れ箇所に液体が存在する場合は、蒸気圧以下の試験圧力が必要です。

製品は漏れ経路を詰まらせてはなりません。

包装の要件

硬質、又は包装拘束機構付きのフレキシブル。

漏れ検出限界

Row No.3(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

製品包装、装置、試験固定具/チャンバー、試験法パラメータによって異なります。

測定結果及びデータ分析

試験サンプルを収容する真空試験チャンバー内の試験サンプル・ヘッドスペースの漏れ又は液体生成物の揮発に起因する質量流量の定量的測定。

試験サイクル初期の定量的圧力測定値は、より大きな漏れの存在を示します。

試験サンプル全体の漏れ率は、試験サンプルの質量流量の結果を、漏れ率標準及び陽性対照を用いた結果と比較することによって決定されます。

試験法の包装への影響

非破壊

試験時間の桁数

数秒から数分

 

Pressure Decayの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

漏れ箇所にガスが存在すること。

製品(特に液体又は半固体)が漏れの可能性のある場所を覆っていないこと。

包装の要件

圧力検出モードに対応。

硬質、又は包装拘束機構付きのフレキシブル。

漏れ検出限界

Row No.3(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

製品包装、機器、試験法のパラメータによって異なります。

測定結果及びデータ分析

加圧された試験サンプル内の圧力降下の定量的測定。

圧力降下の測定値は、漏れ経路を通るガス漏れの測定値です。

試験サンプル全体の漏れ率は、圧力減衰の結果を漏れ率標準及び陽性対照を使用した結果と比較することによって決定されます。

試験法の包装への影響

非破壊、試験サンプルの内部に接触する手段が試験サンプルのバリアを損なう場合を除きます。

試験時間の桁数

数分から数日、包装の容量と必要な漏れ検出限界によります。

 

Tracer Gas Detection, Vacuum Modeの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

トレーサーガスは包装に添加しなければなりません。

トレーサーガスは、漏れ試験を行う包装表面に接触できなければなりません。

包装の要件

高真空試験条件への耐性

硬質、又は包装拘束機構付きのフレキシブル

トレーサーガス透過性が限定的

漏れ検出限界

Row No.1(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

機器の性能及び試験サンプル固定具により異なります。

測定結果及びデータ分析

真空チャンバー内に配置されたトレーサーで満たされた試験サンプルから放出されるトレーサーガス漏れ率を分光分析により定量的測定。

試験サンプル全体の漏れ率は、測定されたトレーサー漏れ率を試験サンプル中のトレーサー濃度で正規化することにより算出されます。

試験法の包装への影響

非破壊、トレーサーガスが包装内に導入され、試験サンプルのバリア性が損なわれない場合に限ります。

試験時間の桁数

数秒から数分

 

Vacuum Decayの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

漏れ箇所にガス又は液体が存在すること。

漏れ箇所に液体が存在する場合は、蒸気圧以下の試験圧力が必要。

製品は漏れ経路を詰まらせてはなりません。

包装の要件

硬質、又は包装拘束機構付きフレキシブル

漏れ検出限界

Row No.3(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

製品包装、機器、試験サンプルチャンバー、試験法パラメータにより異なります。

測定結果及びデータ分析

試験サンプルを収容する真空チャンバー内の圧力上昇(真空減衰)を定量的測定。

真空減衰測定値は、試験サンプルからのヘッドスペースの漏れ、又は液体製品の揮発の測定値です。

試験サンプル全体の漏れ率は、試験サンプルの真空減衰結果を、漏れ率率標準及び陽性対照を用いて実施した試験結果と比較することにより決定されます。

試験法の包装への影響

非破壊

試験時間の桁数

数秒から数分

 

3項は、定量的漏れ試験技術です。

本項は、以下の試験技術について、それぞれ、説明、適用、試験機器、試験パラメータが記載されています。

 3.1 Bubble Emission

 3.2 Microbial Challenge, Immersion Exposure

 3.3 Tracer Gas Detection, Sniffer Mode

 3.4 Tracer Liquid

 

Table 2. Probabilistic Leak Test Technologies」に、各試験法について、以下の情報が簡潔にまとめられています。

  • Package Content Requirements/包装内容物の要件
  • Package Requirements/包装の要件
  • Leak Detection Limit/漏れ検出限界
  • Measurement Outcome and Data Analysis/測定結果及びデータ分析
  • Effect of Method on Package/試験法の包装への影響
  • Test Time Order of Magnitude/試験時間の桁数

 

Bubble Emissionの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

漏れ箇所にガスが存在すること。

製品(特に液体又は半固体)が漏れ試験を行う包装の表面を覆っていないこと。

包装の要件

硬質、又は包装拘束機構付きフレキシブル

漏れ検出限界

Row No.4(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

製品包装、試験サンプルの固定具と位置、試験法パラメータ、分析者の技術とスキルによって異なります。

測定結果及びデータ分析

試料が浸漬され、差圧条件に曝されている間、試験試料ヘッドスペースから気泡が放出されることを目視で確認することにより定性的測定。

あるいは、試料表面を界面活性剤に曝すこともできます。

連続的な気泡の放出は、漏れの存在、位置、および相対的な大きさを示す。

試験法の包装への影響

非破壊

試験時間の桁数

数秒から数分

 

Microbial Challenge, Immersion Exposureの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

成長をサポートする培地又は製品。

試験法の信頼性を確保するためには、漏れ箇所に液体の存在が必要です。

包装の要件

圧力や浸水への耐性

漏れ検出限界

Row No.4(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

包装の密閉度、試験サンプルの固定具と位置、チャレンジ条件の厳しさ、固有の生物学的変動性により異なります。

測定結果及びデータ分析

微生物増殖支援培地又は製品で満たされた試験サンプル内の微生物増殖の目視検査による定性的測定。

差圧条件に曝されながら高濃度に汚染されたチャレンジ培地に浸漬した後、微生物の増殖を促すために培養を行う。

試験サンプル内の増殖は、微生物の受動的又は能動的な侵入を可能にする試験サンプルの漏れ部位の存在を示す。

試験法の包装への影響

破壊

試験時間の桁数

数週

 

Tracer Gas Detection, Sniffer Modeの概要は、以下の通りです。

包装内容の要件

トレーサーガスは包装に添加しなければなりません。

トレーサーガスは、漏れを試験するために包装表面に接触できなければなりません。

包装の要件

プローブが接触可能な漏れ部位。

トレーサーガスの透過性が低い。

漏れ検出限界

Row No.2(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

試験サンプル、試験法パラメータ、試験サンプル固定具、分析者の技術やスキルによって異なります。

最適な試験条件下では、より小さな漏れ検知が可能な場合もあります。

測定結果及びデータ分析

スニファープローブを用いてサンプリングした、トレーサーを注入した試験サンプルの外表面近傍のトレーサーガスの分光分析による定量的測定。

合否判定限界値を超えるトレーサーの存在は、漏れの存在と場所を示す。

試験法の包装への影響

非破壊、包装内部へのトレーサーガス導入が試験サンプルのバリア性を損なわない場合に限ります。

試験時間の桁数

数秒から数分

 

Tracer Liquidの概要は、以下の通りです。

包装内容物の要件

内容物が液体トレーサーに適合すること。

漏れ経路を詰まらせないこと。

包装の要件

液浸に耐性がある。

液体トレーサー検出モードに対応。

漏れ検出限界

Row No.4(USP<1207.1>3.9 Leak Test Detection Limitの表参照)

包装の密閉度、試験サンプルの固定と位置、チャレンジ条件の厳しさ、トレーサー液の含有量によって異なります。

化学分析トレーサー検出を用いた最適な試験条件下では、より小さな漏れ検出が可能な場合があります。

測定結果及びデータ分析

トレーサーをチャージした液体にあらかじめ浸した試験サンプル中のトレーサーを、差圧条件に曝しながら測定する。

あるいは、トレーサーをチャージした試験サンプルを、トレーサーを含まない回収液に浸すこともできる。

トレーサー移行の測定は、定量的(化学分析による、小さな漏れ検出には好ましい方法)又は定性的(目視検査による)に行うことができる。

試験法の包装への影響

破壊

試験時間の桁数

数分から数時間

 

以上がUSP<1207.2>の概要です。詳しくは原文をご確認ください。

 

 

USP<1207.3> PACKAGE SEAL QUALITY TEST TECHNOLOGIES

USP<1207.3> PACKAGE SEAL QUALITY TEST TECHNOLOGIES(包装シール品質試験技術)は、以下6項でまとめられています。

  1. INTRODUCTION/イントロダクション
  2. CLOSURE APPLICATION AND REMOVAL TORQUE/クロージャーの取り付け及び取り外しトルク
  3. PACKAGE BURST/包装破裂
  4. PACKAGE SEAL STRENGTH/包装シール強度
  5. RESIDUAL SEAL FORCE/残留シール力
  6. AIRBORNE ULTRASOUND/空中超音波

 

1項は、イントロダクションです。

本章の目的は、包装のシール品質を評価するための試験方法を紹介し、適切な選択と使用をガイドすることとされています。

シール品質テストは、包装のシールに関連する特性を確認し、完全性を維持できることを保証しますが、漏れテストとは異なり、実際の漏れ情報は提供しません。シール品質テストは、包装の材料や組立プロセスが基準内で維持されていることを確認し、包装の完全性をサポートします。本章で紹介される試験方法は科学的データや標準(例:ASTM:American Society for Testing and Materials)に基づいて選ばれています。ただし、これらの方法が必須ではなく、他の適切な方法も使用できます。

 

2項は、クロージャーの取り付け及び取り外しトルクです。

本項では、キャップの取り付けと取り外しに必要なトルク(力)を測定する試験について説明されています。

キャップ取り付けトルクは、ねじ付き容器にキャップを取り付ける際にかかる力を測定し、取り外しトルクはキャップを外すために必要な力を測定します。適切なキャップの取り付けトルクは、漏れを防ぎ、過剰な力でシールが損なわれるのを防ぎます。一方、取り外しトルクは、時間や環境による影響で小さくなることがあります。キャップが過度に緩むと、製品の漏れリスクが増加します。適切な設計と適正な取り付けトルクにより、製品の保存中にシールが保持され、使用時に開封できます。

 

3項は、包装破裂です。

包装破裂試験は、包装に圧力源を挿入し、シールが破裂するまで圧力を加える試験です。

この試験は、内圧によってシールが損なわれる可能性のある包装(例:熱シールで作られた柔軟な袋やポーチ)に対して行われます。試験結果は、シールの強度や最も弱い部分を示しますが、シールの均一性や包装全体の完全性を測ることはできません。

試験には、ASTM F2054とASTM F1140があり、F2054は包装膨張を制限するプレートを使用してシール部に均等にストレスをかけます。一方、F1140は制限プレートを使用せず、通常の圧力差がかかる状況での包装の性能を測定しますが、シールの最も弱い部分が特定できない場合があります。

 

4項は、包装シール強度です。

包装シール強度試験(ピールテスト)は、2つの接着面を剥がすのに必要な力を測定します。

この試験は、柔軟な材料同士(例:ポーチや袋)や柔軟な材料と硬い材料(例:蓋付きトレー)のシールをテストするために使用されます。試験結果はシールの強度を示し、シールを開けるために必要な最大力や平均力を測定できます。また、包装の組み立ての一貫性を確認するのにも役立ちます。

試験は、引張力モードの試験機を使用し、専用治具で試料を適切に保持して行います。この試験はASTM F88に記載されています。結果は、治具の設計やピール角度、引っ張る方向、速度、試料の特性によって影響を受けます。

 

5項は、残留シール力です。

残留シール力(RSF)試験は、キャッピング後にキャップがバイアルにかける圧縮力を測定します。

RSF値が一貫して高いほど、キャッピングプロセスが安定していることを示します。試験は圧縮力モードの試験機と金属ツールを使い、圧縮による応力と時間の関係からRSFを算出します。試験は包装に損傷を与えず、結果はキャップの設計や圧縮速度などに影響されます。

 

6項は、空中超音波です。

空気中超音波試験は、包装のシール部分に超音波信号を通して品質を確認する方法です。

シールが不完全な部分は超音波を通しにくく、これによりシール不良や弱さを検出できます。この方法は、液体やジェルを使わず、包装を破壊することなく試験できます。主に柔軟なポーチや金属・プラスチックのトレイに使用され、シールの不良や強度の問題を特定できます。この試験は、ASTM F3004に基づいています。

 

以上がUSP<1207.3>の概要です。詳しくは、原文をご確認ください。

 

 

まとめ

無菌医薬品を開発・製造する製薬企業の方の参考のため、USP<1207>の概要をまとめました。これらの製品に関わる企業の方の参考になれば、幸いです。

 

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