改正GMP省令(2021年8月)のポイント理解に役立つ記事はコレ
2021年4月28日付けで、令和3年厚生労働省令第九十号「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」が公布され、同年8月1日に施行されます。
本技術コラムでは、医薬品や医薬部外品の製造管理及び品質管理に関わる方のため、改正GMP省令の理解に役立つ記事をピックアップしています。
まず初めに、GMP省令の位置づけと、改正GMP省令の経緯と趣旨について簡単にまとめています。
GMP省令の位置づけ
医薬品において、最も大枠となっているのが、法令として存在する、薬機法です。
正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保の他、これらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進を目的としています。
同じく法令として、政令である薬機法施行令、厚生労働省令である薬機法施行規則、各種省令があります。
改正GMP省令は、この各種省令に分類されています。
法令の解釈、補完として、各都道府県衛生主管部の局長や課長等に対し、施行通知や各種通知がなされます。
今回の改正GMP省令では、薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令 の一部改正について」が通知されています。
この文書の「第3 逐条解説」では、今回のGMP省令の条文の意義・要件・効果等について解説がなされています。
また、Q&Aは、パブリックコメント制度等が活用されています。
パブリックコメント制度は、政令や省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民から意見、情報を募集する手続きを言います。
今回の改正GMP省令では、2020年11月27日~12月26日において、パブリックコメントの募集がなされました。提出された意見数は462あり、国からの回答の開示があり、一部の意見は反映され、案が修正されました。
意見に対する回答は、2021年5月14日に公示されたe-Govパブリック・コメント「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令(案)に対して寄せられた御意見について」より確認できます。
その他としては、ガイドラインやISO等認証規格があります。
改正GMP省令の経緯と趣旨
厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、及び都道府県は、2015年7月から医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム(PIC/S)に加盟しています。そのため、国際標準の製造管理及び品質管理の運用が求められています。
PIC/Sにおいて、医薬品GMPの国際調和に向けたガイドラインが合意されており、国内においても、従来からその内容が参考情報として示されてきました。
PIC/S加盟以降、上記のガイドラインが改訂されていること、また医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業において、GMP等のガイドラインの国際整合化に関する研究が行われ、その検討結果を踏まえ、GMP省令について、一層の国際整合を図る観点から本改正が行われることになりました。
改正GMP省令の理解に役立つ記事・文献
改正GMP省令原文を読んだだけでは、理解しにくいという方のため、参考になる記事や文献を3つ紹介します。
1.GMP省令改正案のポイント(平成30年度マスターファイル講習会)
PMDA 品質管理部が作成した資料です。
先述した「改正GMP省令の経緯と趣旨」の中で記載した、「GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」が詳しく解説されています。
前回のGMP省令改正(2004年12月)から、現在までGMPを取り巻く環境変化について振り返ることができます。
また、研究班が厚生労働省に提案した、以下7点の改正案についても記載されています。
- 医薬品品質システム
- 承認書遵守の徹底
- GMP施行通知(2013年8月30日付)に追加した、PIC/S GMPガイドライン重要項目
- 品質保証業務担当の設置
- 製販業者への連絡・連携
- 設備共用に関する規定
- Data Integrity
本資料は、2018年当時に作成された資料ではありますが、過去の経緯を知るという点では理解の助けになると思われます。
2.PHARM TECH JAPAN 2021年3月号(Vol.37 No.3)
PHARM TECH JAPANは、株式会社じほう が出版する製剤技術とGMPの最先端技術情報誌です。
本号では、改正GMP省令の特集が2つ組まれています。
- インタビュー さらなるガバナンス強化・法令順守の徹底を
- GMP省令案(パブリックコメント)に見るGMP省令改正のポイントについて
インタビューでは、先述した「改正GMP省令の経緯と趣旨」の中で記載した、「GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」において、研究代表者を務めており、現在、東京理科大学薬学部「医薬品等品質・GMP講座」教授の櫻井 信豪 氏が執筆しており、改正GMP省令のポイントや製薬企業等へのメッセージを読むことができます。
GMP省令に見るGMP省令改正のポイントについてでは、熊本保健科学大学 品質保証・精度管理理学共同研究講座の蛭田 修 氏が、パブリックコメントで追加・修正された以下の事項を解説されています。
- 承認書を遵守した製造
- ICH Q10の医薬品品質システムの概念の追加
- 品質部門に、「品質保証に係る業務を担当する組織」と「試験検査に係る業務を担当する組織」の設置を規定
- PIC/S GMPとのギャップ解消のためGMP施行通知改正(2013年)に追加された事項
- 基準書(衛生管理、製造管理、品質管理)を手順書へ
- 交叉汚染防止
- 外部委託業者の管理
- 製造業者と製造販売業者との連携強化
- 変更管理、逸脱管理プロセスの見通し
- CAPAの追加
- OOSの考え方の追加
- 教育訓練の結果の評価
- データ完全性の確保
- 医薬部外品GMP条文の独立
本資料は、条文が理解しやすく記載されており、今後のGMP体制を整える上でも参考になります。
3.PHARM TECH JAPAN Online
PHARM TECH JAPAN のOnline版です。製剤技術とGMPの最先端技術に関するニュースが配信されています。
改正GMP省令については、「【特集】GMP省令改正の動向」として、最新記事、及び過去の記事が一覧になっています。
GMP関連について、タイムリーに情報を入手したいという方には、参考になる情報サイトです。
本技術コラムは、2021年4月28日時点の情報に基づいて作成しています。
改正GMP省令の詳細は、厚生労働省の資料をご確認ください。
当社ユーロフィン分析科学研究所では、改めて品質活動とのGAP分析、リスクアセスメントを実施し、改正GMP省令にもれなく対応を進めております。
各種GMPに準拠した試験を受託しておりますので、ご相談・ご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。