水分測定(ごみの3成分)
ごみ質の基本的かつ大切な指標のひとつに”ごみの3成分(三成分)”があります。
乾燥させる、分別する、燃やすなどの工程を経て、”水分”、”灰分”、”可燃分”の3つの成分を求めます。
- 生ごみ = 水分 + 可燃分 + 灰分
となります。
・水分
- 乾燥させることにより減った分を、水分とします。乾燥の温度は105℃とされています。
- ごみ以外の分野(木材の分析まど)ではまれに、乾重量を分母にする例もありますが、ごみ分析では一般に湿重量が分母になります。その場合、水分は100%を超えることはありませんが、乾重量を分母にした場合100%を超える水分もありえます。
- 乾燥させることにより減る重量は必ずしも水分だけではありません(その他の揮発性の成分など)が・・・水分と見なします。
- 乾燥温度は105℃とありますが、この温度ですとごみが変形、変質してしまう可能性があり、さらには発火の危険性も高まります。通常はより低い温度で時間を掛けて乾燥させることが多いです。
■水分(%)
=( 湿重量 - 乾重量 ) / 湿重量 *100
※水分測定の仕様などで”恒量を得るまで”と言う表現が使われることがありますが、意味は「もうそれ以上、値(重量)が変化しない(減らない)ことが確認できるまで」と言うことになります。実際にはある時間後に計測して、さらに一定時間経過して計測してその値に変化がないことを確認すると言う、手間の掛る作業になります。
・可燃分
- 乾燥させたごみを分別(仕分け)して”可燃物”と”不燃物”とに分けます。実際にはもっと多項目に分け、計算で2区分の重量を求めることが多いです。
- さらに、”可燃物”は燃やして”燃え残った分”と”燃えた分”(燃えて無くなった分)に分けられます。(灰分測定で求める)。この”燃えた分”(燃えて無くなった分)が”可燃分”となります。
■可燃分(%) = 生ごみ - 水分 - 灰分 - 可燃物(ブツ)と可燃分(ブン)の違いに注意。使い分けは一般的に統一されているとは限らず、意識的に明確に区別されていないこともあります。当サイトでは意識して使い分けしています。
【参考】:組成項目
実際には”可燃物”の少量のサンプルを燃やして計算で換算します。この工程が”灰分測定”になります。
・灰分(カイブン)
- ”可燃物”を燃やして”燃え残った分”(これも、”灰分”と呼ぶ。乾燥可燃物の灰分)と”不燃物”(金属、ガラスなど)を足したものが”灰分”となります。
- ”不燃物”を燃やすと100%燃え残ると考えて(実際にはもやさず)単純に加算します。
・土砂などは、一般的には不燃物として扱うことが多いようですが、組成割合として多い場合には、実際に熱灼する場合もあります。埋設廃棄物、掘り起こし廃棄物などでは特に注意する必要があります。
・”ハイブン”と読む人もいるようですが”カイブン”が一般的です。同様に”灰化”は”カイカ”と読みます。
【参考】:灰分測定
※灰分測定で灰の割合を言う”灰分”と、3成分で言うところの”灰分”では意味合いが異なります。前者は「乾燥可燃物の灰分」のことで、後者は不燃物と、可燃物を燃やして残った物(灰)を合わせた物の生ごみ全体に対する割合(3成分の灰分)。
断りなく”灰分”と言う時は後者の”3成分の灰分”であることが多いです。
・同業分析会社様から「灰分データ」として頂くときは前者の場合もあるので要注意です。
それぞれの工程の設定温度、時間、計算方法などは”環整95号”をご参照下さい。
3成分の概念図
- 乾燥させることで水分を求める。乾燥させて減った分は水分とする。
- 分別、仕分けすることで可燃物と不燃物とに分ける。
- 可燃物の一部を燃やし燃え残った分を求め、可燃物全体に換算する。
- 不燃物と、可燃物の燃え残った分の換算値を足したものが全体の灰分(3成分の)
- 全体から水分と、灰分を引いたものが可燃分。
一般には百分率で表す。
100 - 水分 - 灰分 = 可燃分
・3成分を求める計算例
・10kgの”生ごみ”を乾燥させたら 4kgになったとすると。 水分は (10-4) / 10 * 100 = 60%(水分) 残りの3kgが可燃物となる。 0.3kgの灰が出ることになる
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