発熱量
ごみ、廃棄物の処理方法はいろいろありますが、まだ相当の量が焼却されています。そのため燃やしたときに、どのくらいの発熱量があるのか知る必要が出てきます。焼却炉を設計する上でも、燃焼状態を管理する上でも、ごみの性状を把握、エネルギー収支の把握などでも大切な指標になります。最近では、ごみのエネルギーで発電し更には売電する為に必要性は増しています。
低過ぎると、燃料を加えないと完全に燃やすことができなかったり、高過ぎると炉に負担を掛けてしまい、炉の寿命を縮めてしまうことになったりします。
ごみの性状は通常、慎重にサンプリングしてもかなりのバラツキを含んでいます。また、天候、季節・時期などによっても変動しますし、どんなに注意しても偶然による偏り等を排除することはできません。片寄りがないように心がけてサンプリングすることは当然、重要ですが、測定回数を重ね、バラツキ傾向や、大きな変動傾向に注目することも大切です。
計算値と実測値
発熱量の値は水分、灰分などの値から計算で求める計算値と、実際にごみのサンプルの発熱量を測定する実測値があります。両方を求める場合もあります。
計算値
計算値は水分と可燃分の値から求めるもの(環整95号の3成分の式)から、元素組成割合によるも、物理組成比によるものなど、いろいろな計算式(推算式)があります。
単に"計算値"と言うと”環整95号の三成分の式”が一般的です。が、お客様によっては独自の計算式を用いる場合もありますので確認が必要です。
【メリット】
・比較的手軽に低位発熱量を求めることができる。一般に必要な項目が少ない為、コストを抑えることができる。(水分、組成、灰分が必要。ごみの3成分)
【デメリット】
・選択する推算式によっては低コストになるとは限らない。(元素組成が必要な場合、コスト高)
・あくまでも計算により発熱量を推算するもので、ごみの性状によっては実際の発熱量と大きく異なる場合もある。
・たとえば環整95号の計算式の場合、可燃分の発熱量を一律に想定しているため、ごみの組成によっては実際と大きく異なることが多い。特に高分子系(プラ、ビニール)の割合が多い検体では、多くの場合、計算値より実測値のほうがかなり高い。
実測値(環整95号には規定されていない)
実測値はサンプリングしたごみ(検体)を乾燥させ、組成ごとに分けたもの(可燃物のみ)を個々に粉砕し、元の組成割合で混合した試料の発熱量を実際に測定し、水分、水素量(水素の測定が必要です)などで求めます。
【メリット】
・実際のごみの組成状況、性状を反映した実際に近い値を求めることができます。
【デメリット】
・測定項目が多くなり高コスト化する場合あり。(発熱量の実測、水素の測定が必須となります)
・その他の情報