発熱量推算値
推算値は実際に発熱量を測定せずに他のパラメータ(組成比率、3成分、灰分値、元素組成など)から低位発熱量を推定(予測)するものです。
推算値に対して実測値は実際にサンプルの水分量、組成比、発熱量、水素量などを測定し必要な値に換算して求めます。
三成分の式
推算値を求める為の式はいろいろありますが、環整95号では、水分、可燃分から求める式となっています。
(三成分の式、環整の式)
HI=45V-6W
HI:生ごみの低位発熱量(kcal/kg)
V:生ごみの可燃分(%)
W:生ごみの水分(%)
生ごみの可燃分の発熱量を一律に4,500kcal/kgに仮定しています。
【メリット】
・実際に発熱量を測定せずに求める低位発熱量を求めることができる。水分、可燃分(灰分)のみで算出でできる。
【デメリット】
・可燃分の発熱量を一律に想定している為に、組成比率による影響が反映されない。特に高分子系の発熱量は想定値よりかなり高いことが多い為、高分子系の比率が高い検体では、実際より低く推算してしまうことが多い。
・設定当時(昭和50年代)はプラ類も少なく、今日の組成割合とはかなり違っていたことが予想される。
高分子の発熱量を意識し、修正を加えた式が色々と提案されている。さらに元素組成から推算する方法も提案されている。但し、実際のごみは多様であり、どの式も、よく一致する場合もあれば、大きく異なることも当然ありうる。万能の計算式はない。
また、たくさんの測定値(ファクター)を使う式だとコストもそれなりに掛かってしまう
【参考】:その他の推算式(詳しくは参考文献等をご覧下さい)
- 本多の式 (3成分からの推算)
44.75×可燃分V(%)-5.85×水分W(%)+21.2 (kcal/kg)
・環整の式をより実測値に近づける為、パラメーターが調整されていますが、考え方は環整の式と同じ。 - 狩郷の式 (組成分析からの推算)
45×高分子以外可燃物B(%) + 80×高分子可燃物R(%) - 6×水分W(%) (kcal/kg)
・高分子系可燃物(プラ、ビニール、ゴムなど)の発熱量を他の可燃物より高く想定しています。
- 狩郷の式に関する私見
式中の可燃物を「組成上の割合」とするか、「それぞれの可燃分」とするかによって結果が微妙に変わります。ネット上を検索するとどちらの場合も出てきます。参考図書の”試験マニュアル”では可燃物(%)となっています。分類も"組成分析からの推算"になってます。
また”四成分の式”を紹介している図書ではBを可燃分、Rをプラスチック(%)と呼んでおり複雑です。実際にはプラスチック類はほとんど全てが可燃分となることが多い為(灰分が少ない)、大きな差にはならないことも多いです。
【参考2】:元素組成からの推算式
- Dulongの式
81C + 342.5(H-O/8) + 22.5S - 6(9H+W) - Steuerの式
81(C-(3/8×O)) + 57×3/8×O + 345(H-(1/16×O)) + 25S - 6(9H+W) - Steuer-Kestnerの式
81(C-3/4×O) + 342.5H + 25S + 57×3/4×O - 6(9H+W) - 日本環境衛生センターの式
81C + 345H - 33.3×O + 25S - 6(9H+W)
等があります。
・その他の情報